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Weps うち明け話 #1003

彼に期待する理由~武富孝介(2020年1月27日) 

 

 そもそも武富孝介がレッズに移籍してきた2018年、なぜ活躍できなかったが不思議なのだ。

 浦和生まれであり、FC浦和が全国優勝した1990年組でレッズジュニアユースやレッズユースにかつての同期も多かったことから、柏時代の彼にも注目していたが、相手にいると嫌な選手だった。ドリブル突破とかキャノンシュートとか派手なところはなかったが、危険なスペースにいつの間にか入り込んでシュートを打ったり、味方のチャンスにつなげたりと、神出鬼没のプレーが持ち味だと僕は思っていた(本人がそう思っていたかどうかはわからない)。

 

 なのでレッズに来たときは、良い補強をしたなと思ったし、ちょうどかつての盟友、山田直輝も湘南から戻ってきた年で、意味は違うが「浦和復帰」コンビが大暴れ、という図を想像していた。

 しかし攻撃的なポジションが多士済々なレッズで出番をつかむことが難しかったこともあるだろうし、堀監督→大槻監督→オリヴェイラ監督と指揮官が替わる中で、狙いとするところが定まらなかったのだろう。ケガもあり、その年はリーグ戦8試合、ルヴァンカップ8試合出場2得点という、期待からすれば物足りない成績に終わった。

 

 レッズに1年いただけで、昨年湘南に期限付き移籍になったときは驚いたが、湘南でリーグ戦18試合出場5得点という成績を挙げたことには全く驚かなかった。それぐらいは普通にできる選手だと思っていたし、湘南は柏から期限付き移籍していた「古巣」でもあるからだ。

昨年の8月、レッズに戻ってきたときは、右足第五中足骨の疲労骨折を抱えており、その後手術。今季の始動からは通常の練習に参加していて、紅白戦などを見る限りでは良い動きに見えたが、本人は「まだパーセンテージは上がっていない」とし、沖縄キャンプでもときに全体練習から離れて手術の箇所を気遣いながら、完全復帰を目指している。

 今季、採用されそうな4-2-2-2のシステムの中では、左右のサイドハーフか2トップがポジションとなりそうだが、そういう意味では武富自身のやりやすさもありそうだ。

 ケガはどれでもそうだが、得に第五中足骨骨折はしっかり治しておかないと選手生命にも関わるから、慎重に復帰してほしいが、「二度目の浦和復帰」では昨季の湘南以上に活躍し、レッズの攻撃陣に新風を吹き込んでくれることを期待している。

 

 1990年9月生まれ。30歳の誕生日は先発出場している時期に迎えて欲しいものだ。

 

(文:清尾 淳)

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