コラム

parts

parts

parts

parts

parts

back

parts
「5月27日の謎 ハーフタイムで「あの人」が寝た!」
清尾 淳
 


 マンチェスター・ユナイテッド(以下、マンU)の劇的な勝利に終わった、ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの決勝。5月27日の午前3時30分から民放で生中継されたので、ご覧になった人も多いでしょう。

 知ってる人もいるだろうけど、このさいしんのコラムにも書いている、浦和レッズの運営部にいる佐藤仁司さんは、大のマンUファンだ。いやファンなどと軽く言うのは申し訳ない。昔、少年ジャンプで「男一匹ガキ大将」というマンガがあった。その主人公の名前(戸川万吉)のようだと言っていい。

 この決勝の日、それをあらためて感じさせられる出来事があった。  試合が終わった午前5時40分ころ。特にマンUファンという訳ではない僕でさえ興奮してしまった幕切れに、誰かに電話したくなった。いや熱烈なマンUファンなら、誰かと話したいはずだ。それで佐藤さんを思い出した。

 午前5時40分。電話をするには非常識きわまりない時間だ。別に緊急事態という訳ではない。しかし37年に1回の出来事なのだからいいだろう。危惧するのは佐藤さんが、どこか余所で見ていること。奥さんだけを起こしてしまうことになる。しかし、あの人は家で見る人だ。でなければカンプ・ノウまで行く人だ。

 思い切って電話した。「はい、佐藤です」。あら、奥さんだ、本人ではない。申し訳 ないな。
「朝、早くからすみません。まだ(!)起きていらっしゃいますか?」
「はい、少々お待ちください」

「はい、佐藤です」。あれ?全然うれしそうじゃないぞ。
「起きてました?」
「ハーフタイムで寝ました」
「ええ〜!」。驚いた。なんで、なんで?
「見たほうがいいですかね?」
「あ、ああ。いいんじゃないですか」。あれえ、後で見るのを楽しみにしていたとしたら悪かったなあ。結果も内容も言ってないけど、少し感激が薄れてしまうかもしれない。

 とりあえず電話を切ったが、どう考えても変である。ハーフタイムで0−1。あきらめてフテ寝する試合ではない。いやヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの決勝にマンUが出ているのだ。たとえ0−5で負けていたって、最後まで見守っている人だ。僕と違って大酒を飲む人ではないから、酔っぱらって寝てしまったということはない。ああ、訳がわからん。

 その日の午後に顔を合わせたとき、当然その話になった。それで謎が解けた。と同時にファン心理の奥の深さをあらためて知った。さてみなさん、なぜだと思いますか?

(1999年6月1日)