コラム

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おいしい世代
清尾 淳 


 僕が勤めている埼玉新聞社は、9年前から「NTTカップ埼玉県少年サッカー大会」という大会を、埼玉県サッカー協会とともに主催している。小学5年生以下の選手が対象で、彼らが6年生になる直前の2月に中央大会(16チームの決勝トーナメント)が行われるところから、少年サッカーの「新人戦」と呼ばれている。年度が開けた4月ころから全日本少年サッカー大会の地区予選が始まるのだ。

 この大会は、中央大会の期間中にNTT関東サッカー部(現在は大宮アルディージャ)の現役選手によるサッカー教室が行われるのが大きな特徴。これは第1回大会から今までずっと続いている。各地で行われるサッカー教室は少なくないが、2部とはいえ日本リーグの現役選手が、しかも何人かではなく全員が指導してくれるものは当時ほとんどなかったはずだ。

 この第1回大会のサッカー教室(1991年2月)では、当時日本サッカー協会の強化委員で、代表のコーチをしていた落合弘さん(現在、浦和レッズ強化委員会副委員長)にチーフ指導者をお願いした。今なら、ちょっと考えられない組み合わせだ。打ち合わせをしているときに落合さんが僕に尋ねた。「小学5年というと何歳?」「10歳か、ほとんど11歳ですね」「一番おいしい世代だね」。

 おいしい?僕は一瞬、何のことかわからなかった。10歳前後が、スポーツの基礎を教えるのに一番大事な時期だということは聞いていたが、そのことではなかった。

 2002年には22歳前後。やや若いが、日本代表選手としてもおかしくない年齢だ。落合さんは、そのことを言っていたのだった。今(当時)、その世代の選手をきちんと指導していくことが2002年の日本代表を強くしていくために決定的に重要なこと。サッカー少年の年齢を聞いて、すぐに2002年に結び付けて考える落合弘という人を、僕はこのときすごいと感じた(本当ですよ、落合さん)。

(1999年10月14日)