コラム

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間抜けなガッツポーズ
清尾 淳 


 「清尾さん、あれはポーズだったんですか。それとも本当に知らなかったんですか」。 11月27日の夜、あるレッズサポーターが僕に聞いた。「あれ」というのは、その日のレッズ−広島戦で、福田がVゴールを決めた瞬間、ゴール裏で写真を撮っていた僕が立ち上がって「よっしゃあー!」とガッツポーズで叫んだことだ。そのサポーターは僕の後ろのスタンドで応援していた。あの「無意味」なVゴールに大喜びした僕は相当に目立っていたらしい。

 本当に知らなかった。ハーフタイムにG大阪−市原が前半0−0だったことは聞いたが、後半から僕はずっとグラウンドレベルにいて、試合が延長に入ったときも、本部に聞きに行こうとは思わなかった。

 「そんなの、選手の様子を見ていればわかるじゃない」と福田正博が言った。「いいや、わからなかった」。「スタンド見たってわかったでしょうが」。「ううん」。

 確かに後からビデオを見ると、何人かの選手の雰囲気から、「もうだめ」ということが伝わってくる。スタンドにもうなだれているサポーターがいる。僕は延長の間、いったい何をしていたんだろう。

 「知りたくなかったんじゃないの」と福田。そうかもしれない。目の前で繰り広げられている現実の戦い。もし市原が勝ってしまっていたら(勝っていたのだけれど)、それをどんな気持ちで見守ればいいんだろう。無意識にそう思っていたのか。

 自分のその弱さを思うと、あの延長の間、応援を続けたサポーターと、彼らと一緒に戦い続けた選手たちに、あらためて敬意を表する。特にサポーターたち。僕の背中から聞こえてくる応援は、とてもJ2降格決定を気づかせるものではなかったのだから。それとも僕がよほど間抜けだったのだろうか。

(1999年12月2日)