コラム

parts

parts

parts

parts

parts

back

parts
ニュースステーションの弁護
清尾 淳 


 11月29日の月曜日、テレビ朝日の「ニュースステーション」のスポーツコーナーでレッズのJ2降格を取り上げていたのを見た人は多いだろう。そのコーナーの後で、作家の村上龍氏が発言した内容が、レッズサポーターの怒りを買ったようだ。

 具体的には、レッズの降格が決定してから、サポーターが「We are REDS」などのコールをしていたことについて、「日本は甘い。外国だったらただでは済まない」などと言ったことだ。

 僕も見ていて「薄っぺらな意見だなあ」と思ったので、これについてコラムで何か書こうかな、とい気でいたが、会う人会う人、みんな同じ感想のようなので、いまさら僕が言っても同じことの繰り返しだな、と遠慮していた。

 12月9日、大原グラウンドに行くと、「ニュースステーション」のスポーツコーナー担当ディレクターK氏がいた。小野伸二の契約交渉の日だったので、取材に来ていたのだ。

 僕は開口一番「Kさん、どうですか。村上龍への抗議が殺到しているんじゃないですか?」と皮肉めいた冗談を言った。Kさんは苦笑しながら「ええ」と答えた。それで終わりだと思っていたのだが、僕が荷物を置いて落ち着くと、すぐにこっちへやってきて「清尾さん、村上龍のことは相当みんな怒ってますか?」と深刻な顔で聞いたのだ。

 「そうですね。会う人みんな言いますよ。みんな見ていたようですね」と僕は答えたのだが、詳しい事情をKさんから聞いて、彼に同情してしまった。

 スポーツコーナーのスタッフの意図としては、村上龍にコメントを求める予定などなかったらしい。つまり大住良之さんの登場がコーナーの締めだったらしいのだ。ところが番組全体のゲストとして来ていた村上龍が、あんなことを言ってしまったので、聞いていたスタッフもびっくり、そしてがっかりしてしまったらしい。

 たしかにスポーツコーナー全体としては良くできていたと思う。「あんな悲しいVゴールは初めて見ました」という大住さんのコメントは、サポーターの心情もよく言い表していた。大住さんをテレビにひっぱり出したこと自体がすごいことだと思う。それをぶち壊されたのだから、Kさんたちはさぞかし無念だったろう。

 これを聞いて、少なくとも「ニュースステーション」のスポーツコーナー担当スタッフの名誉は守りたいと思って、2週間も前のことをほじくり返した次第だ。

 ほじくり返しついでにレッズの11・27についての評論を振り返ってみようかな。

(1999年12月14日)