さいたまと
ワールドカップ





COLUMN●コラム


#062
  僕にとってのアウェー


 また4月23日の話で引っ張ります。

 仙台戦は久しぶりにアウェーを感じさせる試合だった。スタンドの観客の4割近くはレッズ系だと思ったし、声はレッズの方が圧倒的に出ていたけれど、ベガルタの選手がボールを奪ったり、攻撃に転じたときのメーンスタンドからの大きな拍手がすごかった。

 そんなの当たり前じゃん、と思うかもしれないけれど、等々力や平塚ではあまり感じなかった。レッズサポーターが試合前にいきなり「浦和レッズ」とコールしたとき、スタンドが「おおお」と、どよめいたのだが、そのどよめきの大きさにアウェーを感じた、という表現をわかってもらえるだろうか。

 でも僕が、僕だけが「アウェー」を感じる場所。それはプレスルームだ。それもカメラマンルーム。地方へ行くと地元のプレス関係者は、地元チームにどっぷり漬かっている人が多い。仙台も、チームは割と古いし、すっかり「おらがチーム」というムードが出来上がっていた。そしてスポーツ紙とかフリーのペン記者の知り合いは結構仙台まで来ていたけど、カメラマンルームには、埼玉新聞社の写真部はいないし、テレビ埼玉や浦和ケーブルテレビのクルーもいない。おそらく部屋にいる人の9割が仙台びいき、という状態だったろう。

 その中に1人入っていく僕は、人間の皮をかぶった獣…いやカメラマンビブスをかぶったレッズサポーターである。よく、カメラマンの山添敏央さんから「清尾さん、サポーターなのかプレスなのか、はっきりしてよ」と言われるけど、別にサポーターとプレスって相反するものじゃない。もちろん仕事中にサポーターの活動はできないけれど(してないよね?僕)、仕事中だからといって、レッズサポーターとしてのハートまで封印する必要はない。試合中にゴールラインの際で相手のラフプレーや判定に怒って立ち上がったり、レッズのゴールに喜んだり、というのが好ましくないのかもしれないが、それはクラブから何か言われたら考える。といっても無意識の行為を止めるのは難しいけど。

 そんな訳で、「俺は1人でも負けねえぞ」という無意味なオーラを出しながら、ベガルタの話で持ちきりのカメラマンルームに出入りしていた僕だった。そして仙台2−0浦和で迎えたハーフタイム。カメラマンルームは至上の喜びに包まれていた。それはよくわかる。

 「どうしたの?今日。こんなサッカー出来たの?」

 「私、1年見てますけど、こんなチームだとは思わなかったです」

 「俺、ベガルタがサイドチェンジするのを見たら感動しちゃった」

 サイドチェンジしただけで感動させるようなチームに、2点も負けてんのかよ!と思いながら、後半の準備をしていた。悔しかったんだから、実際。

 そして試合終了。Vゴール勝ちに興奮してはいたが、僕は人間ができているから、カメラマンルームで、露骨に喜びを表したりはしない。何せこちらはJ2の新記録を塗り替えながら1年でJ1に復帰するチームなんだからさ。

 たまたま部屋の前を通った顔見知りのフリーライター、小齋さんにこう話しかけただけだ。

 「あ〜あ、勝ち点1つ減っちゃった」。

 嫌な奴だったろうな、きっと。

 そうそう。仙台で撮ったフィルム8本、息子が乗せてもらったサポーターの車の中にありました。出来ばえは…?MDP158号をご覧ください。

 

(2000年4月27日)