さいたまと
ワールドカップ





COLUMN●コラム


#071
  TAKAJI MORI THE BEEFEATER


 6月23日。翌日は大分へアウェー旅行という日だが、友達と約束があったので浦和市内の居酒屋へ飲みに行った。大分へは朝8時25分の飛行機だから、早めに寝ようと思い、帰ろうとした頃、その店にある人が現れて、帰れなくなってしまった。

 森孝慈。言うまでもなく92年、93年の浦和レッズの監督を務めた人だ。93年の不振の責任を取って監督を辞め、その後横浜マリノスのゼネラルマネージャーとなり、そこを辞した後、アビスパ福岡に籍を置いている。アビスパでは総監督、監督、ゼネラルマネージャーといろいろな職に就いたが、現在は強化統括部長とかいう肩書だ。

 24日はJ1の2ndステージ開幕日。アビスパは等々力で川崎フロンターレと対戦する。チームの一行は当然川崎に前泊しているが、森さんだけは浦和駅前のホテルに宿を取って、こっちに遊びに来たという訳だ。僕も知っている浦和の友人と一緒だったが、東京でも横浜でもなく、浦和というのがうれしかった。後で別の人から聞いたのだが、森さんの旅費、宿泊費は自費らしかった。

 いろんな話をして、12時を過ぎたから流石にもう帰ろうと思ったとたん、「清尾さん、焼き肉食いに行こうや」。出たあ!目一杯飲んだ後の焼き肉。森さんのお決まりのコースである。僕はそんなに森さんと数多く飲んでいる訳ではないが、最後に焼き肉屋に行かなかったことがない。それも寿司屋へ行って、スナックに行って、さあ帰ろうとなってからである。それでいて、焼き肉をたらふく食べるかというとそうでもない。つまり森さんにとって、飲んだ後の焼き肉は、「締め」なのである。

 浦和駅のガード下の焼き肉屋(そこも森さんの行きつけの店だ)へ行って、1時間ちょっとだろうか。森さんはまだ帰らなかったが、僕は勘弁してもらって家に帰った。結局寝たのは午前3時を過ぎていた。それで翌朝は5時半に起きて、羽田行きである。さすがにこたえた。

 ところで大分に着いて午前中、ブラブラしていたら、前日森さんを連れてきた人から電話があった。

 「忙しそうだったの悪かったね。ちゃんと大分に着いたかと思って」。義理堅い人である。

 「大丈夫ですよ。昨日は結局何軒行ったんですか」と僕。
 「ええと、あの前が○○でしょ、その前が××、それで最初が伽椰(かや)」。

 僕は絶句した。だって、伽椰(かや)って知ってますか?浦和にある焼き肉屋なんですよ。

 

(2000年6月30日)