さいたまと
ワールドカップ





COLUMN●コラム


#085
  「語る会」ネタあります
~下部組織とファン対応スタッフ


 3月2日、埼玉会館でレッズの「語る会」が開催される。昨年から始まって、これで3回目。「公約」通り、定期的にやられている。

 今回は、新体制、新戦力になってまだ間もないことから、チームの現況についてはチッタ監督に聞くしかなく、また監督としてもそう突っ込んだ回答はできないだろう。サポーターは期待や希望を述べ、監督は抱負を語る、という感じだろうか。埼玉新聞の河野記者の公開インタビューみたいな形式もあるようなので、スムーズな進行になると思う。

 では横山GM、中川社長にはどんな質問が出るだろうか。「あなた方、やめるんじゃなかったの?」「どうして今年からブラジル路線なの?」「いつになったら優勝できるの?」など、すぐに浮かんでくる。それらは、ほとんどのサポーターの頭の中にある問いであると同時に、答えの想像が容易につくものだ。まあ言っても仕方ないけど、一応押さえておかないといけない質問、という感じかな。

 ところで僕が聞きたいことも2つある。

 一つはユース、ジュニアユースの指導体制だ。今季はユースが名取篤監督、池田太コーチ。ジュニアユースが淀川知治監督、広瀬治コーチ。両カテゴリーを合わせたGKコーチが佐藤長栄氏、ということになった。

 個々の人物について評価をするつもりはないし、「あれ?名取って、いったん辞めさせられたんじゃないの?」などと言う気もない。ただ、本当に良い選手を育てるのに少なすぎるし、顔ぶれが変わりすぎる、と思うのだ。

 60人近くいる選手をそれぞれ2人(正確には2.5人)で見る、というのは少ない。最強メンバー18人ぐらいが試合に出かけると、残りの40人の練習を1人で見ることになってしまう。試合に行くのに、監督1人でいいのか、という疑問もある。ユースの卒業者を補助スタッフとして使っているが、彼らは指導者ではない。

 坂庭泉氏とか村松浩氏など、育成グループのスタッフが埼玉県サッカー協会全体の育成の仕事に専属的に動いていて、レッズの指導に回れない、という事情があるのも知っているが、それは理由にはならない。指導される選手にとっては何の関係もないのだから。

 それと、トップチームの事情があるのは重々承知だが、それにしても顔ぶれがこんなに毎年変わっていいの?と思う。小学校、中学校、高校と進学のたびに、選手の個性や育成過程をまったく知らない指導者に変わってしまい、当然指導方法や内容も変わってしまう。これを3年ごとの「輪切り」指導と呼び、クラブチームであれば小学生年代から高校卒業年代までの一貫指導ができる。ジュニアユースの選手がユースに混じって練習したり、試合に出たり、ということもできる。これがクラブチームの良さだった。

 レッズは、育成のグループで話し合いを持ち、指導方針を全員で確認し合ってやっているのは知っているが、どうして担当する指導者の顔ぶれがこんなに変わらなければいけないのだろう。指導者が変わる刺激と、指導者が同じメリット。子どもにとってはどちらがいいのだろうか。

 「レッズの下部組織はプロ選手育成だけが目的ではない」

 横山GMが語ったこの言葉に文句をつけた人もいたけれど、これには何の問題もない。これはつまり、レッズの下部組織はプロ選手の育成もするし、プロのなれない選手がサッカーを楽しみながら、あるいはサッカーの周辺で大人として立派に生きていくような指導をします、という意味だと思うから。

 しかし今は、プロ選手の育成「さえ」できていないではないか。本当にその原因をきちんと考えた方がいい。今回挙げたことも、その一つなのではないかと思う。

 もう一つの疑問というか要望は、クラブの事務所スタッフの増員。これを言うと、サポーターの中には「他のクラブはもっと少ない人数でやっている。レッズは社員が多すぎる」という人がいると思う。

 たしかにレッズの事務所スタッフは、他クラブより少なくはないが、相手にするファン、サポーターの数がまったく違うことを忘れてはいけない。

 たとえば広報関係で言えば、月間100万件を越えるアクセスがあるホームページをきちんと更新し、毎日大原を訪れるマスコミの取材に対応し、試合の取材の準備もし…とやっていれば、これまた毎日クラブに届く、メール、手紙、電話に対応することなど到底できまい。今の3人では。

 グッズの担当でも、これだけ多くのファンがいれば、毎月いろんな種類のものを出していかなければならない。その対応だけでも大変である。運営部、ホームタウン部にしても同様だ。指導スタッフの数や質は、選手の数やチームの強さと関わりを持つが、事務所スタッフの数は、ファンの数と大きな関わりがある。

 4月に組織変更や人事異動がありそうだが、それにしても絶対的人数が足りない。入れ替えをやってみても、180忙しい人と、120忙しい人の仕事量をならして150にするだけだろう。本当に数万人のファン、サポーターに対応していくには、人を増やさなければ無理ではないだろうか。

 しかし三菱自動車が9000人の人員削減を打ち出しているなか、100パーセント子会社ではなくなってにしても、レッズがスタッフを増員するのは難しいかもしれない。これにはファンやサポーターからの強い要望が必要だろう。

 そうなると、頭に浮かぶのは選手の人数だ。33人という数字は、他のクラブと比べて多くはない。しかしその人件費のトータルはかなりのものになるはず。これだけ多くの選手を抱えておく余裕があるのか、と思ってしまう。「じゃあ、誰と誰をクビにしろって言うんだ」と聞かれると難しいが、28人でやれと言えば十分やれるのではないか。そうすると、その5人分の経費で事務所スタッフを増やしたり、設備を入れたりすることは可能だ。こういうことも考えていってほしいな、と思う。

 語る会で上記2点、誰か質問してみてくださいな。

(2001年3月1日)