さいたまと
ワールドカップ





COLUMN●コラム


#096
よくぞあのシーンを映してくれたフジテレビ


  コンフェデレーションズカップで日本が準優勝した。正直言って意外だった。やっぱり国内では強いんだなあ。じゃあ2002年も…と、それは甘いか。

 僕は全部テレビ観戦だったけれど、一番印象に残ったシーンは小野伸二のFKでも、 川口のナイスセーブでもない。カナダ戦で西沢がダイビングヘッドで日本の2点目を挙げた場面。その直後に、カナダのオジェック監督が「だめだ、こりゃ」と言わんばかりに首を横に振りながら、ベンチに戻っていくシーンだ。
 「おお、オジェックだよ! たしかにオジェックだよ」
 そう興奮して叫んだレッズサポーターはいっぱいいるはずだ。95年、96年に嫌と言うほど見てきたオジェックの仕種だ。思わず横に山内直さん(当時の通訳)を探してしまった。あの場面でカメラをカナダベンチに切り替えたフジテレビのスイッチャーに感謝したい。 考えてみれば、これまでのレッズの監督の中で丸2年間やったのは、今のところオジェックだけだ。それもあるし、96年あたりから、僕は特に決まったインタビューとかがなくても大原の練習を見に行くようにしたこともあって、他の監督よりも馴染みが深い。
 MDPに、レッズサポーターにはおなじみの「LEABE SUPPORTERS」から始まるコメントを寄せてくれていて、毎回原稿を見るのが僕自身楽しみだった。
 ドイツ人らしい謹厳実直さと、喜怒哀楽を体中で表す部分が同居していて、個人的にも好きな人だ。

 97年以降、レッズの調子が悪くなると「オジェック待望論」が出るが、それは最下位のレッズを3位にまで引き上げた実績ももちろんだが、試合のときの言動や報道などからうかがえる彼の人間性が好きな人が多いからだろう。
 監督としての手腕は、「優勝」ということに関しては未知の部分だが、選手やサポーターの心をつかむのも監督の仕事の中で大きな比重を占めるはずだから、その部分では待望論が出るのもうなずける。
 これまでレッズに来た外国人の選手や監督と再び会う機会は滅多にない。でも再会したい相手には、彼らが日本を離れるとき「またいつか会おう」と僕は言う。だから6月5日、浦和市内の居酒屋でオジェックと再会したときは、心底うれしかった。「リーベ・サポーターの原稿はどうしました?早くください」の冗談が通じてホッとした。日本に来たら、ここの居酒屋に来る。そんなオジェックがまだ好きになった。来年、ワールドカップに代表監督として来ることはないだろうけど(もしかして出場国の監督に就任…なんて可能性もなくはないが)、おそらくまた会えそうな気がしてきた。
 そのときレッズはどんなチームになっているだろうか。

   

(2001年6月11日)