さいたまと
ワールドカップ





COLUMN●コラム


#117
ナメたらいかんぜよ

 またミッドウイークだけど。いま福岡行きのJASの中。


 16日の火曜日、大原で新しい外国人選手、アリソンに会った。本当は月曜から練習に加わっていたのだけれど、その日は僕の都合で取材ができなかった。小柄な白人で、なんとなくジュニーニョ(前はミドルスブラにいたブラジル人選手。今はどこだ?)を思い出した。顔はそばかすが残っているところは若さを感じるが、表情は大人。トゥットの23歳と同様、彼の21歳も「うそおー!」だ。


 新外国人が来たときの、お決まりの内容のインタビューとお約束のような受け答えがあった。攻撃的MFだが、シュートも得意だ。特にエリアの外からのシュート、FKなども得意、とアドリアーノのようなことを言っていた。さらに「自分には6試合しか残されていない」と言っていたので、テレビのインタビューが終わってから言いたいことを言ってみた。
 「あなたは日本に来るのは初めてでしょうが、ブラジルと日本ではサッカーのレベルにこんなに(両手を縦に広げて)差があります。日本でのプレーぐらい、なんとかなるさ、と思っているのではありませんか」
 「そんなことはありません」
 「日本に来た多くの外国人が、Jリーグの意外なスピードに戸惑います。そして、それにうまく対応できないまま何試合も過ぎてしまう選手も少なくありません。あなたに残された6試合がそれで終わってしまうこともあるのではないですか」
 「今は、そうならないようにしたい、としか言えません。チームメートはコーチからアドバイスを受けて試合に臨みます。私は6試合だけでなく、できれば来年もこのチームでプレーをしたいと思っています」


 時間もあまりなかったので、それで終わった。インタビューに続いて聞いたので質問という形を取らざるをえなかったが、本当はこう言いたかったのだ。
 「日本をナメてると、アドみたいに結果出せないで終わっちまうぞ」と。


今季、レッズに来たブラジル人の中で、今でも残っているのは、トゥット、エメルソン、ピッタ、アベリーノ(理学療法士)、フラビオ(フィジカルコーチ)、ベゼーハ(ホペイロ)、※アカシオ(GKコーチ)。
 来て、いなくなったのは、※ドニゼッチ、※アドリアーノ、※チッタ、バリ(通訳)。
 ※マークは、今年初めて日本に来た人である。4人のうち3人が途中でやめた。特に選手については日本が初めてだった2人とも途中でやめているし、2年ないし3年過ごしている2人は、主力選手としてチームを引っ張っている。偶然なのかもしれないが、ドニゼッチもアドリアーノも才能ある選手だったのに、Jリーグに合わなくてやめてしまった(ドニゼッチはケガだったけど、それも「日本に合わない」に含まれそうだ)。
 中盤でのプレスの厳しさという点だけ見れば、ひょっとして南米、ヨーロッパにひけを取らないかもしれないJリーグのサッカー。新しい外国人選手が、これにとまどうことなくプレーできるように、しっかりと情報を与えてやるのもクラブの仕事だと思うが、ちゃんとやってたの?と聞きたくなってしまう結果だ。
 アリソンが初出場しそうな20日、土曜日のガンバ戦。どこまでJリーグに対応できるか、しっかりと見ておこう。テレビ中継もないことだしね。
 それにしても5、7、8、10番がいないチームって…。

(2001年10月17日)