さいたまと
ワールドカップ





COLUMN●コラム


#122
来年のレッズより再来年の山形

 レッズの移籍組は、優勝経験者が多い。それくらいの選手でないと意味がないこともあるが。
 そのうち路木とはあまり頻繁に話さないのだけど、19日の月曜日、こんな話をしてくれた。


 サンフレッチェは、チームに入るときに、サンフレッチェのサッカーとはこういうものだ、ということを言われるんですよ。たとえば「ボールがラインを割っても追え」とか「最後まで全力で」とか…、いろいろあるんですが、とにかくそれを入るときも入ってからも言われる。だから、そのうちチームに浸透してくるんですよ。レッズって、そういうのがないじゃないですか。
 レッズは選手はタレントがそろってるとか言われてますけど、それで選手が勘違いしちゃってるところあるんじゃないですかね。そんなことだけでは勝てないと思うんですよ。チームの方向性が定まったら、もっと強くなると思うんですがね。


 ちなみに、上記の言葉を選手に徹底していたのはバクスター監督ではなく、今西総監督だそうだ。だから監督によって戦術その他が左右される前に、クラブとしての方向性が定まっていたことになる。バクスターは、その路線の中で自分のサッカーを展開していったという訳だ。たしかに当時のサンフレッチェのサッカーは華々しさはなかったが、いやらしいくらいに粘っこかった。あれはバクスター監督の教えというよりも、クラブの(今西総監督の)方向性だったのか。
 レッズも一時、バクスター監督を招聘する可能性があったように聞く。けれども、そうなってもかつてのサンフレッチェのような規律ある粘り強いサッカーになったかは疑問だ。なぜならクラブにそういう方向性が感じられないから。いや、クラブはそう決めている、と言ってもそれを選手たちに口がすっぱくなるまでたたき込んでいないから。


 監督によって、やり方が違うのは当然。だけど何から何まで監督、スタッフにお任せで本当にいいのか?フロントは選手に対して毎年11月末から12月にかけて契約更改交渉をするだけなのか?監督は長くても3年か4年で替わる。しかし選手は10年以上在籍する可能性がある。誰が監督になろうと、不動のレッズの精神というものをフロント、スタッフ一丸となって注入していけば、選手も迷わないし、年によって波が出ないのではないか?サンフレッチェが弱くなったのは、今西さんがいなくなってしばらくしてからではなかったか。


 レッズの来季の監督を誰がやるのか。これは選手はもちろんサポーターにとっては大きな関心事だ。しかし本当に大事なことは監督が誰か、とか、ブラジル路線かヨーロッパ路線か国産路線か、とかいうことより、レッズのサッカーはこれだ、というものを決めて、しかも決めるだけではなく、それを徹底することができるかどうかだろう。
 Jリーグも発足10年を過ぎようとしている今、指導者も選手も知識と経験が蓄積されてきている。10年たってポリシーも何もないクラブの監督を引き受けるのは、優秀な人ほど躊躇するだろうし、新卒の選手にサポーターの応援を見せて加入させても、2〜3年たつと彼らはクラブの将来性に不安を持つようになるだろう。


 もうすぐ契約更改の時期になる。選手にとっては来季も契約してもらえるかどうかの正念場になる訳だが、今年あたりは選手の方からクラブのポリシーを問いただしたり、「来年もあなたがフロントをやるのですか?じゃあ、今年までと何を変えるのですか?」と聞いてみたりするのはどうか。その結果、選手が移籍を決意しても、何の不思議もない。


 ポリシーがなく将来性が感じられないJ1のチームより、来年、再来年が楽しみなJ2のチームのほうがいい、と言われても返す言葉が見当たらないのだ。

(2001年11月20日)