さいたまと
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COLUMN●コラム


#130
誠意

 室井市衛のレッズ復帰が発表された。


 昨年の12月、ある忘年会で中村修三さんと一緒になった。新しくチーム統括チーフマネージャー(世間で言う「強化部長」。ああ、めんどくさい)に就任して2週間ぐらいたっていただろうか。


 隣同士に座って、あれやこれや話していたが、ふと会話が途切れたとき、僕にポロっと言った。
 「明日、大阪に行ってくるよ」


 16日に天皇杯で京都に行ったばかり。確か、その夜は泊まって岡野とじっくり話したはず。じゃあ今度の相手は室井?でも彼には契約しない通知をしたんではなかったか。
 「そうなんだけどね。でも、それは前の体制が決めたことだから。俺たちとしてはやっぱり室井は必要だと思う。一度いらないと言っておいてやっぱり戻ってくれというのは彼に対して失礼な話だし、クラブとしてみっともないんだけど、それは仕方ない。納得してくれるかどうかわからないけど誠意だけは見せてくるよ」


 その選手を採る、残す、クビにする、レンタルから戻す。それはクラブの専決事項だから、僕がどうのこうのと言うことではない。室井とは去年の夏に大原で、「ここで優勝するために来たんで、また戻ってきます」と言われ「レギュラーが用意されている訳じゃないだろうけど、活躍してまた戻ってきてよ」と握手して別れたから、また会えるのはうれしいが、それはどの選手でも同じ。一度一緒に戦った選手は、誰であれ心に残っている。再会がうれしいのは室井だけではない。


 うれしかったのは、クラブが面子にこだわらず、再オファー(というのかな、これ)を出したという事実。その結果がどうなるか、ずっと気にしていたが、今回の発表を見れば、修三CMの誠意が通じたということなのだろうか。


 誰はいらない、誰を採れ、と言うのはこの時期のサポーターの楽しみの一つ。大いにやればいい。しかしプレーする選手は人間、それを決めるフロントも人間。ゲームソフトのパラメーターに「誠意」という項目はない(よね)。

(2002年1月10日)