さいたまと
ワールドカップ


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COLUMN●コラム


#135
塾生

 2月2日の土曜日、流通経済大とレッズが練習試合をした。亜細亜大、帝京高に続いて3試合目。5日も明治大と予定しているから、合宿前に週2回のペースで4試合やることになる。
 11人対11人の紅白戦はやっていない。11人による練習も、たぶんやっていないのだろう。ゲーム形式の練習は7対7とか8対8だけ。それもただのミニゲームではなく、シュートするときには全員がハーフラインより前にいなくてはならない、などの特別ルールが付く。
 後の練習はほとんどがフィジカルを鍛えるトレーニングのようだ。ただ、それにも指示が細かい。足をこう上げろとか、ボールが来てからジャンプしろとか。11人でのサッカーは練習試合でしか見ていない。

 練習試合は毎回30分×3本で、そのすべてが素晴らしい訳ではないが、3試合、だんだんチームになってきている。試合の進め方は直前のミーティングだけでするらしい。たぶん簡単なことしか言っていないのだろう。試合中の指示から推測するに、「サイドから攻めろ」「サイドの選手は上がって待つのではなく、ボールが出るときに上がれ」「みんな下がるな」などなど。横パスや後ろのパスを繰り返すのもよろしくない。それでピンチを招こうものなら雷が落ちる。
 11人でのフォーメーションの練習などをやらなくても、そういうことをみんなが徹底すれば、ちゃんと戦えるようになっていく。3回の練習試合を見るうちにそう思った。オフトプランは着々と進んでいるのか。

 先日オフトが記者に話しているのが聞こえた。
「最後の精神的な頑張りも、肉体的な頑張りができて可能になる。肉体的な強さがあった方が精神的にも強くなる」(正しくは通訳の人の言葉が聞こえたのだが)
 なるほど。聞けば当たり前なのだが、確かにそうだ。ただ、それが具体的な成果になって現れるのは時間がかかる。勝利に結びつくまではもっとかかるだろう。選手たちはそれまで地道に頑張らなくてはならない。我慢する部分も出てくるだろう。
 何もフィジカルトレーニングに限った話ではなく、今のところ選手たちに不満の様子は見えない。誰が使われるのかわからないし、トレーニングに新鮮さもあるからか。しかしトップ、サテライトが分かれたり、トップ組になっても試合のメンバーにならなかったりすれば、不満も出てくるだろう。そのときに、いかに努力を続けさせるか。ある意味で我慢をさせるか。それが監督、コーチの大きな役割だ。

 直接オフトの指導を受ける選手、直接対話ができるフロント、直接練習を見ることができる報道陣(練習も見に来ずに、ああだこうだ言わないでね、××さん)。このあたりまでは、ある程度将来を展望して我慢することもできる。しかし試合でしかオフトの成果を見ることができないサポーターにも、我慢が必要になりそうだ。
 もちろん、今季のサポーターの期待は、即優勝というよりチームを強くすることに傾いているようだから、しばらく我慢することに異論はほとんどないだろう。さらに楽しみが自分で見えればもっといい。毎試合、勝つに越したことはないが、サポーターが見ていてレッズの数カ月先が楽しみになるような試合になれば、我慢はもっと容易になる。「この部分は前の試合より前進したな」とか「ああ次の段階に入ったな」とか。味噌作りではないが、我慢する期間が長ければ長いほど、つまりたとえ結果がなかなか出なくてもオフトが監督をやり続ける期間が長いほど、レッズは強いチームになりそうだ。

 今年のキーワードは「我慢」?それじゃ、ちょっとつらい。ん?味噌作りの話が出たな?そうだ「熟成」がいい。
 選手はみんなオフトの「塾生」なんちって。あれ、みんな帰っちゃったの?
(2002年2月4日)
 注・上記の××は特定の人を指したものではありません。