さいたまと
ワールドカップ


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COLUMN●コラム


#138
グリコ

 23日のレイソルとの練習試合は0−4で負けた。これまでの練習試合で、大学生相手にはできていたことがプロ選手相手には通用しなかったということか。
 練習開始1ヵ月。どんな特効薬を使ってもそんなに早く強くなるはずがない。ましてやオフトは特効薬を使う気などなく、言わば漢方薬による体質改善を図っているのだから、効果が上がるのはまだまだ先のはずだ。インタビュー(MDP増刊号)では「半年もすれば成果が見えてくる」と言っている。
 してみれば負け惜しみでなく、開幕前に負けたことは、ある意味で安心した。高校生、大学生相手に大量点で勝ち、ジュビロにまで1−0の勝利。まだプロセスの初級ぐらいのはずなのに、サポーターも、ひょっとすると選手も勘違いしてしまうかもしれない。


 水の量を測るには、それ以上の大きさのメジャーがないと計れない。こぼれてしまうからだ。自分の力を計るのにはそれ以上の器が必要。レッズの集客力を測るのに、駒場ではなく国立でないとわからない、というようなものだ。不調だった(と言っていいと思う)ジュビロはともかく、大学生ではなくレイソルぐらいの器を使って、ようやく今のレッズの力が測れた、ということか。
 ジュビロに勝ったとき、オフトは「練習試合では勝ち点はもらえない」と言った。レイソルに負けたとき「これが開幕戦でなくて良かった」と語った。今のレッズにとっての練習試合は、何ができて何ができないかを測る物差しとして位置づけていけばいいのだ。自分の力を勘違いせず、ステップ・バイ・ステップを続けていくことのほうが大事だ。


 しかし公式戦となるとどうか。
 MDP増刊号を読んだ人から、「10年待たせておいて、まだ3年待つなんて。今シーズンのチームが掲げるべきは優勝の二文字しかない」というFAXが来た。
 塚本代表も森GMも口をそろえて「1、2年目はステップアップ。3年目には優勝を」と言っているし、オフトも「トップ3に入るようなチームになるには時間がかかる」(語る会)と言っている。
 それで誤解されるのかもしれないが、選手は誰も「3年後の優勝を」などと言っていない。3年契約でも結んでいるならともかく、1年1年が勝負のプロの世界で、そんなことを頭に入れて戦う選手は誰もいない。今季の目標を聞けばほとんどの選手が「タイトル」と言う。MDP増刊号で、そう語っている選手もいる。試合になれば点を取ること、勝つことに全力をあげるに決まっているではないか。
 試合になったのに、「うちはまだここまでしか練習していないから」と、勝負を度外視してステップアップだけを図るなんてことはありえない。だから失点すれば悔しがるし、負ければ気落ちする。あせる必要はないが、のんびりしてもらっては困る。
 それは我々も同じだ。シーズンに入ったら、試合になったら勝つために全力のサポートをする。MDPも目標は「7位以上」などではなく全試合の勝利、すなわち優勝をベースにしていく。その姿勢なくしてステップアップは図れないと思う。本当に強いチームになるには確かに2年や3年かかるかもしれない。しかし、それは試合の結果とイコールではない。底力がなくても勝つ場合もあれば、強くなってからも負けることがある。だから1年目からどんどん勝ちを狙っていくべきだし、勝って悪いことはないのだ。


 オフトは「プロダクツ(成果)とプロセス(過程)」と二つのことをやっていくという。我々も今季は公式戦で2つの楽しみがあると思う。
 一つは言うまでもなく、目の前の試合に勝つこと。もう一つは、ステップアップがどこまで進んだか、というこだ。
 勝利と成長。1試合で2つとも味わえたら最高だ。グリコシーズンとでも呼ぶか。

(2002年2月25日)