さいたまと
ワールドカップ


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COLUMN●コラム


#155
Go Reds Go!

 浦和の居酒屋「ばすぼ−い」のマスターから「清尾さん、オジェックが来てるんだよ」と電話が入ったのは、たしか「どっちの料理ショー」の最後の判定の瞬間だったから、夜の10時ちょっと前。対戦は肉団子と蟹爪フライだったから、5月30日か。
 すぐにタクシーでかけつけてみると、いたいた。カウンターに座っている大きな外国人が。ほかに客は誰もいなかった。給料日後だってのに、いいのか?あの店は。


 MDPの第2ページ、監督のメッセージのコーナーにサポーターの人気が集まったのはオジェックのときからだった。その前の横山さんや森さんのときも、みんな読んではいただろうけど、そんなに興味深くは見なかったはずだ。どちらかと言えば、サポーターにもある程度想像がつくような内容だったから。
 オジェックも、別に奇抜なことを書いて寄越した訳ではないが、しかし何かサポーターに訴えるものがあった気がする。考え方のヒントというか、目を開かせるというか。それを僕はみんなより早く読んでいた訳だ。へっへっへ。


 しばらく旧交を温めてから、僕は切り出した。
 「実はお願いがあるんだけど」
 「なんだい」
 「僕はワールドカップの埼玉スタジアムで働くボランティアのためのニュースペーパ−を作っている。それに載せるボランティアへのメッセージを集めているんだけど、オジェックさんからも欲しいんだ」
 「…」
 「埼玉スタジアムでは2000人くらいのボランティアが働くが、その中にはレッズのサポーターも多い。ぜひお願いしたいんだけど」
 僕が差し出したペンとメモ用紙を受け取ると、オジェックはサラサラと書き出した。


 To All Volunteers
 Good Luck And Best Wish



 「“ボランティアのみなさんに幸運がありますように”か、フンフン」


 Go Reds Go!


 「うわっ!これはまずいよ。レッズのサポーターが多いと言ってもワールドカップのボランティア向けにこれは載せられない。MDPになら喜んで載せるけど」
 「Go Nippon Go?」
 「ああ、それならいい。それに換えて載せますよ。どうもありがとう」


 原稿料代わりにビールを1杯おごろうとすると、もう帰るという。ロイヤルパインズホテルに泊まっているのかと思えば、都内だという。浦和からだと電車で1時間はかかりそうだ。
 日本に来たら必ず浦和を訪れ、この「ばすぼーい」に飲みに来る、ムチャクチャ義理堅い男、ホルガー・オジェックは帰っていった。ワールドカップにはFIFAの「テクニカル・スタディ・グループ」のメンバーとして参画し、埼玉スタジアムの試合は4試合全部見るという。ほかの会場ももちろん行くがドイツ戦は入っていない。
 期間中、もう1回ぐらいは「ばすぼーい」で会えそうだから、6日で「お祭り」の前半が終わったら毎日顔を出して見ようかな。


(2002年6月6日)


「オジェックが書いたメッセージ。RedsをNIPPONに直したのは僕」