さいたまと
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COLUMN●コラム


#159
「俺たちのもの」とは


 日本代表、決勝トーナメント進出。負け知らずで一次リーグを突破できるなんて、正直思っていなかった。
 自国開催というアドバンテージを割り引いても、これはすごい。最近、日本代表の勝利を心の底から喜べなくなっていた僕も、14日は素直に感心した。いや、それだけ自国開催というのはメリットが大きいのか、というのは皮肉すぎるか?
 開催国だから予選免除で出られた、という見方は今回の一次リーグ突破で消えたと言っていい。決勝トーナメントからの試合で、日本が世界との真剣勝負をしたときにどうなるか、それが試されるだろう。


 これからの試合は、「にわかサポ」による騒ぎのことは心の中から取り除いて、純粋に日本の勝利を祈りながら試合を見たい。
 「準決勝の埼スタがまた大変だなあ」とか、「万一、日本と韓国で決勝なんてことになったら、フランスやアルゼンチンのマスコミから、史上最低レベルの大会とか言われそうだな」なんて懸念も、試合中はどこかへ追いやる。


 だけど、ここでは「駒場パブリック・ビューイング」のことに戻る。本来ならば18日の「日本−トルコ戦」でも行われるはずのものだ。
 先週はいつもに比べて、このコラムに対する数多くの感想をいただいた。アドレスが明記されているものに関しては、ほとんど返事を差し上げたが、名前もアドレスもない感想について、ここでお返事しておこう。我ながら、細かいことにこだわる自分にあきれるが、こういう意見は他でも聞かれるだろうから言っておいたほうがいいだろう。


駒場はレッズやレッズサポーターの物ではありませんよ。サッカー選手以外は、グラウンドに入って欲しくないというのならば、レッズこそ駒場に来て欲しくありませんね。駒場は、市民のものですから。


<お返事>
 僕はNo156で、「駒場は持ち主であるさいたま市からレッズが借りているスタジアムだから、レッズの試合がないときに、さいたま市がどういう催しをやろうが、どうこう言う立場にない」と書いています。「駒場はレッズやレッズサポーターの物」などとは言っていません。比喩的な意味で「駒場は俺たちのもの」と言うレッズサポーターもいますが、その場合も本当に所有権を主張している訳ではないでしょう。
 No158ではこう書いています。「さいたま市のサッカー施設、そして自分たちの家が荒らされるのを黙って見てはいられない」。はっきりと市の施設であることを認めた上で言っているのですから「自分たちの家」というのが比喩的な意味であることはおわかりだと思いますが。
 またNo156で「駒場のピッチをサッカー選手以外の者に、しかも無意味に踏み荒らされるのは我慢ができない」と書いていますが、これを「サッカー選手以外は、グラウンドに入って欲しくない」と言い換えるのは少々乱暴ではないでしょうか。「無意味に」と「踏み荒らされる」が抜けていますよ。たとえば、スポーツ少年団(サッカーだけではなく)の式典が駒場の芝の上で行われたとしても、それは「無意味」ではないし「踏み荒らす」ことにもならないでしょう。

 レッズサポーターが今回の件で「俺たちの聖地、駒場を荒らすな」と叫んでいるのを、レッズファン以外の市民は不快に思っているのかもしれない。ふだんは我が物顔に騒いでおいて、こういうときは「マナーを守れ」とは、自分勝手もいい加減にしろ、と。そこには誤解がある。今回、レッズサポーターは、芝や施設を荒らし、ゴミを撒き散らかした人たちに対して「来るな!」「市は使わせるな!」と言っているのであって、さいたま市やさいたま市民に対して「駒場はレッズサポーターのもの」と主張しているのではない。騒音や交通渋滞で近隣に迷惑をかけていることを自覚しているレッズサポーターは多いし、駒場が市の施設であることは十二分にわかっている。
 いくら「サッカーのまち」だからと言って「さいたま市民=レッズファン」ではない。レッズファン以外のさいたま市民とレッズが共存していくことは、Jリーグの存在意義にも関わる重要なことだ。人気が高まれば高まるほど、浦和レッズのスタッフが、近隣との関係を気に留めていることも僕は知っている。
 一方、駒場スタジアムを一番数多く利用し、一番大事にしているのもレッズとレッズサポーターであるというのも間違いのない事実だ。さいたま市民の方々にはこのことを認めていただきたい。

 No158の最後に僕はこう書いた。
 「今回のことは僕に二つのことを教えてくれた。ああいうときは自分の立場にこだわらず積極的にモノを言った方がいいということ。もう一つは、レッズサポーターがふだん、いかに駒場を愛し、サッカーを愛し、ルールを守るヤツらだったか、ということだ」。
 これに一つ付け加えたい。

 今回のことで、「じゃあ、文句を言ってる当のレッズサポーターはどうなんだ」という疑問の声が出ることは間違いない。ようし、みんな。レッズが優勝した、そのときこそ、日本中がうらやましがるような、そんな喜び方、騒ぎ方をしようじゃないか。


 そこ!「いったい、いつやねん」と突っ込まないように。

(2002年6月17日)