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COLUMN●コラム


#165
最初からハンデ戦だった訳じゃない

 「最初から坂道を登るような試合だった。いきなり2発ぶんなぐられ、おまけに1人少なくなってしまった」。
 サンガ戦後の記者会見でのオフト監督のコメント。まあ監督としては率直にそういう気持ちだろう。「おいおい、こんなんで勝てってのかい」と。
 これで勝つとしたらオフトが答えたように「1−2のままギリギリまで引っ張って、最後の10分、15分でDFとFWを替えて勝負に出る。それ以上交代が早いと守備の人間が少ない時間が長過ぎて危険だ」というのは一つのテだろう。
 残り10分で追い付けば、相手がバタバタしているスキに逆転できるかもしれない。もし延長になったら、再度DFを入れて引き分けを考えつつ、カウンターやセットプレーでのVゴール勝ちを狙う、と。
 もちろん、その通りに行く保証はどこにもない。だから「勝負」なんだし、負けているのを引っくり返すのだから50パーセント以上の確率があるとは思えない。ただ土曜日のレッズが勝つとしたら、その戦術もうなずける。


 オフトのコメントに、妙に納得してしまった僕だが、「ちょ、ちょっと待ってくれよ」と後で気が付いた。
 試合前のコイントスで決めるのはエンド(とキックオフ)だけだ。抽選の結果「はい、今日は0−2からね。あ、それとレッズさん、10人スタートね」となった訳ではない。オフトのコメントは「0−2+10人からスタートしていたが、どうしていきなり2点も取られたのか、どうして10人になってしまったのか、という分析はなかった。サンガ戦の一番の敗因は、オフトの采配ミスとか選手の(10人の)やる気のなさではなく、まさしくその「0−2+10人」にあるのだから。いや「一番」と言ったら一つだから、ここは「10人」の方を挙げる。
 あなただったら、あのサンガ戦で「前半12分で0−2」と「前半32分でエメルソン退場」。どちらか一つハンデを選ぶとしたらどうする?


 サンガ戦は、GK山岸のミスもあった。福田のシュートふかしもあった。選手交代のタイミングも結果的には遅れた。でもそれらは少なくとも戦った上での失敗だ。
 僕は見ていなかったが、エメルソンの「つば吐き」が本当なら、それは戦った結果じゃない。ハッスルプレーが度を越して警告を2枚もらったのと訳が違う。いきなり2失点して、やる気がなくなったのか?だったらベンチにそう言って替えてもらえばいい。それが嫌なら倒れてケガしたふりでもすればいい。そしたらまだ11対11で戦えたのだ。
 数的な不利イコール決定的な不利ではない。点の状況にもよるが、残った選手の気持ちでカバーできる部分は多い。去年の4月7日、マリノス戦で井原が退場した後と、4月14日のFC東京戦でアドリアーノが退場したのとでは、残された10人のモチベーションがまるで違ったのと似ている。


 2失点のパターンはきちんと分析して繰り返さないようにしないといけない。同時にエメルソンの退場はもっと厳しく対処しないといけない。集合日に遅れたり、練習のアップやクールダウンでダラダラとやっているのも見ていてどうかと思うが、試合で結果を出しているから、それがマイナスになっていないことを彼は自分で証明していた。しかし「つば吐き」一発退場は(しかも2点負けている試合での)、チームを破壊する行為だ。
 オフトは、試合で失点すると練習で何度も同じ状況を作って鍛え直す。エメルソンにはどう対処するのだろうか。クビにしろとか謹慎にしろとか言っているのではない。二度と同じ間違いをしないように鍛え直すことができるか、だ。これは処分の内容を公表してもらっても仕方がない。エメルソン自身が試合で証明するしかないのだが。


 ところで、本当に退場になるようなことしたの?僕は見ていなかったのだけど。


(2002年7月29日)