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COLUMN●コラム


#168
脱皮

 3連敗に始まって3連敗に終わった1stステージだった。5勝1分け9敗。星を数字で表すとこうなる。
 
 
  鹿
 
 
 なんか左右対称っぽい感じがする。しかし内容的なものをちょっと比べてみよう。前半と後半の違いは…。
 まず言えるのは、後半の方が自分たちのペースで試合を進める時間帯が増えたことだ。これは0−2で負けた鹿島戦の前半なども含めているから、試合の勝敗を度外視して言っている。
 もう一つ、後半の特徴と言ってもいいのは、出場停止や退場、ケガで主力選手の誰かが抜けていたことだ。入れ代わり立ち代わり、多いときは2人。あまり多すぎて、MDPを見ないといつ誰がいなかったのか記憶だけではおぼつかないほどだ。最終節などは福田がケガ、アリソンが出場停止、おまけにエメルソンが前半で退場…。
 まあステージの後半ともなれば警告累積で出場停止選手が出てくるのはどのチームも同じだろうが、レッズの場合FWの選手1人(エメルソンかトゥット)の出場停止よりも二列目の選手(福田、アリソン)がいないときの方が厳しい。というか福田またはアリソンが欠場した試合で勝っていない。


 オフトは2ndステージの見通しについて、こう言った。
「2ndステージはある程度自分たちのやり方が安定して楽にプレーできる分、勝ち点も1stステージより簡単に取れていくと思います」(MDP201号から)
 おいおい、そこまで言っていいの?僕は一瞬耳を疑ったが、本当にオフトの口から「勝ち点が1stステージより簡単に取れていく」という言葉が出たのだ。オフトは試合に負けても悲観的なことをあまり言わないし、どちらかと言えば楽天家に見える(見えるだけで、断じて楽天家ではない。外部にはダイジョウブ、ダイジョウブと言っていても、実際はかなりシビアな考えと動きをしているのを知っている)。しかし、成績に関してこんなに大胆なことをことを言うのは珍しい。しかも来年の話ではなく、あと数カ月後には結果がしっかり出てしまうというのに。それだけに信憑性のある感じがして、そのままMDPに載せた。


 何人かの選手と話をして、僕は今のレッズが「生みの苦しみ」の中にあるような気がする。
 後半戦8試合の失点シーンを見ていると、カウンターでやられたものが多くなっている。それも相手の陣地深くから1本のロングパスでやられたものよりも、レッズが自陣でマイボールにして、これから攻めるぞというときに、取られてやられたものが多い。相手の攻めの時間帯でレッズが守りに集中しているときにはなかなか失点しない。
 相手が攻めてきたときにボールを奪う。さあ攻撃だ。ボールを持っていない選手がパスコースを作るためにボールより高い位置に展開する。DFが自分のマークから一瞬気をそらす。そのときに早く正確に攻撃に移れればよいが、もたもたしてまた奪い返されたときが大ピンチだ。取られた位置は自ゴールに近い。守備陣形は緩んでいる。相手のFWにマークが追いつかずやられてしまう。どうだろう、そんな失点パターンが次々に浮かんで来ないか。


 格闘技など攻守が表裏一体の競技では攻めにかかる瞬間が逆にスキとなることが多い。それに酷似している。最後の3試合、いずれも立ち上がりはペースを握っていた。ふわーっとした立ち上がりが半ば当たり前だったレッズとは思えないではないか。
 ザリガニなど大きくなるために脱皮しなくてはいけない甲殻類は、脱皮の瞬間が一番無防備だという。レッズはオフトの目指すアクションサッカー、自分たちから攻撃を仕掛けるサッカーへの脱皮を図っているのではないか。そこを狙われて失点しているが、チームが変貌していくときには、必ず通らなくてはならない道なのかもしれない。逆に言えば脱皮に成功すれば、自分たちが主導権を握るサッカーを、たまにでなく毎回90分通してできるようになるはずだ。
 これを楽しみに2週間過ごそうと思う。


(2002年8月19日)