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COLUMN●コラム


#188
消し炭

 「消し炭」を知っているだろうか。炭や薪を燃やして、途中で消したもので、二度目は簡単に火が着く。炭は火が着いてしまえば火力は強いし長持ちするが、最初が着火しにくい。だから、まず「消し炭」に火を着けて、それに新しい炭を重ねて火を起こすのだ。最近は手軽な着火剤があるからあまり使わないだろう。
 どうして火が着きやすくなるのか、その理由は知らないが、とにかく燃え尽きる前に(酸素の供給を止めるかなんかして)火を消さないと「消し炭」にはならない。


 「日本一」という称号は別に欲しくないが、「日本一熱い」ならレッズサポーターで間違いないだろう。10年間、燃え盛ってきた。2000シーズンは防火体制が整っていない地方へも行って混乱を招いたこともあった(だから、もう行かない)。
 今まで一番熱く、大きな火になったのはいつだろうか?95年の1stステージ終盤?その年終盤の福田の得点王?翌年11月2日の鹿島戦?99年のファイナルファイブ?00年の大分戦?最終戦?
 いつも、その都度、これまで以上の応援をやってきたはず。人数の違い、結果の成否はあっても、そういう気持ちだったはず。「燃え尽きるまで戦う」。誰もがそのたびに思ったはず。
 燃え尽きやしないって。
 どんなに熱く燃え盛っても、レッズサポーターは燃え尽きて灰になることはない。「消し炭」となって、またすぐ火が着く。真っ赤に燃える。どうやら、この「消し炭」は前よりも火力が強くなるようだ。そして戦いが終わればまた「消し炭」となって次の戦いを待つ。

 鹿島サポーターは、レッズが相手だとテンションが上がるようだ、と記者の多くが言う。しかし、それは浦和レッズのチームではなく、レッズサポーターを意識してのことだそうだ。それはそれでいい。相手のサポーターが誰を意識しようが知ったこっちゃない。
 だけどレッズの応援は?うちの選手に見せる、選手に聞かせる、相手の選手の足を止める…。試合に勝つための応援なんだ。その結果、相手のサポーターがライバル意識を燃やそうが、ブイーングを飛ばそうが関係ない。「応援合戦」?マスコミは勝手に言ってくれ。俺たちの相手は鹿島サポーターじゃない。鹿島アントラーズなんだ。

 初めてのタイトルを奪うために、「消し炭」はまた赤く燃える。10年目の火は熱いだろう。そして燃え尽きずにまた「消し炭」となる。レッズの戦いは次のステージに移ってさらに続くのだから。


(2002年11月1日)