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COLUMN●コラム


#196
必死

 「清尾さ〜ん、あの写真はないですよ」
 「自分で分かんなかったですよ。13番見て、あ、俺か!って」


 MDPの表紙の写真のことで選手本人から苦情をもらうことはほとんどない。これまでも、粗い出来の表紙がなくもなかったが、本人が我慢したのか、僕とのコミニュケーションが少なかったのか。
 それが今回は11月16日(G大阪戦)の試合後、初めて顔を合わせた22日、開口一番、鈴木啓太が発したのが冒頭の言葉だ。
 もっと写りのいい啓太の写真も手元にある。MDPの表紙にしておかしくないものも少なくない。なのにどうして、よりによって目はつぶっているわ、顔はくしゃくしゃだわ、という写真を使ったのか。聞くところによると、啓太は試合の前にMDPを見て「90分でこんな写真しかなかったのか!」と憤慨していたそうだ。あれは10月27日のヴェルディ戦だから、正確には108分だが。よけい悪いか。以下は、本人にした言い訳。


 209号の表紙は鈴木啓太、と決めていた。シーズン前から決めていた訳ではなく、トゥーロン国際大会、出場停止、アジア大会などで欠場したり、ほかの選手のタイミングだったりして、結局この試合になった。
 いくつかの候補の中から、一番必死で戦っているムードのものを使った。ほかの写真もどれも真剣な表情だけれど、その中でも「必死」という言葉が浮かんで来るのが、209号の表紙に使ったものだった。それが今のレッズに最もふさわしいと思ったからだ。連敗中という時期に表紙になった啓太の運が悪かったのか。
 いや、もちろん「必死さが伝わり、出来栄えも良い」という写真を撮れなかった、僕の腕が一番悪いのだけれど。


 「最近闘志が伝わってこない」とよく聞くけれど、レッズの選手たちが必死でないとは思わない。サポーターよりも近くで、しかも望遠レンズで表情も見える僕だから、その判断がズレているとは思えなかった。
 しかし僕にそう言うサポーターは、勝てば「頑張っている」、負ければ「闘志がない」と単純に決め付けるような人ではない。なぜだろう、と思って昨日の夜、FC東京戦のビデオを見た。忙しぶって、負けた試合はこれまであまり見る気がしなかったのだ。
 なるほど。僕は選手を見ているが、試合を見ていないのかもしれない。マイボールでも相手ボールでもフリーのボールでも、ボールに対している選手は必死でやっている。しかし、それ以外の選手の動きが、連勝していたころに比べて少ないように思えた。
 いちいち例えを挙げなくてもいいだろう。いわゆる3人目の選手の動き。それどころか2人目の選手、マイボールになったときにパスをもらおうとする選手までも動き出しが遅いように感じた。


 攻撃がつながっていないからそう思うだけなのかもしれない。いろんな試合のビデオを見比べた訳ではないから、今は「そう感じた」としか言えない。でも、だとしたら何故なんだろう。あの流れるような、かつ効果的なパスワークが最近見られないのは。
 以前とメンバーは変わっていない。新しいことに挑戦している訳でもない。守備偏重?いや相手へのマークをしっかり決めるのは前からやっていたはずだ。チームがガラリと変わった訳ではない。
 たしかに勝っているときも辛勝が多かったし、負けだしてからも惜敗ばかりだ。紙一重の差がどちらに転ぶか。その違いだけという気もする。しかし1分けを挟む8連勝のあとの5連敗というのは、偶然ではないはず。何なんだ?以前にはあって、今足りないものは!


 最終戦のMDPの締め切りまでに見つけよう。


(2002年11月25日)

<追伸>(にしては長いぞ)
 11月20日の日本−アルゼンチン戦のとき、以前サガン鳥栖のサポーターで、現在サッカー雑誌の編集をしておられるMさんにお会いした。久しぶりだった。「実は今季の前半まで、FC東京のマッチデー・プログラムの編集をしていたんですよ」と聞かされて興味深かった。「サポーターから、浦和のマッチデーと比べてまだまだ、と言われて参りました」と苦笑いしておられた。


 以前にも書いたと思うけど、各クラブのマッチデーは各クラブ内で批評されていればよいのであって、違うクラブのもので優劣を比べても仕方がない。レッズサポーターから「アウエーに行ってそこのマッチデーを買ったけど、やっぱりMDPが日本一」と言われるとうれしいけれど、僕は清水や磐田や横浜Mのプログラムは素晴らしいと本当に思っている。柏やFC東京は、まだ日が浅いけど、これからどんどん良くなっていくだろう。もちろん現在でも読みごたえがある部分は少なくない。京都のものは「こんなのを無料で配るなんてもったいない」といつも思っている。
 逆に、ほかのチームのサポーターが駒場へ来てMDPを読み「なにこれ?くっさ〜!」と思うかもしれないが、他のサポーター百万人にそう言われても気にならない。だけど、レッズサポーターから「○○のマッチデーみたいに××して」と言われたら、ちょっと考えるだろう。ホーム&アウエーにおけるマッチデー・プログラムとは、天皇杯やナビスコ決勝のプログラムとは違って、そのクラブ独自の個性があっていいのだ。
 ただ今回は、Mさんから他チームサポーターのMDP評を聞いて、ちょっと興味深かった。


 しかし、しかし!
 FC東京のサポーターに「マッチデーでは負けてるけれど、試合じゃ負けたことがねえよ」と言われてると思うと、そっちの方が何万倍も悔しい!
 これが一番言いたかった。