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COLUMN●コラム


#197
我慢の成果


 「結果」を見れば予想の範囲内、「経過」は予想外の繰り返し。そんな2002年のナビスコカップとJリーグだった。一番肝心の「成果」はどうだったのだろう。もちろん成績ではなく、チーム力アップという点においてだけど。
 オフトの今季の目論見(しつこいようだけど成績でなく成熟度)がどのくらいだったのか、聞いていないからわからないけど、素人目にも想像がつくことはある。
 一つは守備の強化ということと相まって、大崩れした試合が1試合もなかった、ということ。次に、得点に結び付くかどうかはともかくサイドからの攻撃は完全に意識付いたということ。また、実践できなかった試合もあるが、スリーラインを保ち、中盤をコンパクトにという基本が選手に徹底されたという実感もある。選手が勝手なことをするのではなく、役割をきちんと守らなければならない(使ってもらえない)ということも、目に見えた。


 そして、これは成果と言っていいのかどうかわからないけれど、固定したメンバーで戦った、というシーズンだった。
 MDPのシーズン最後の号は、表紙に選手数人を使う、というのが恒例になっている。この選手を決めるのに毎年苦労していた。できれば、登録選手全員、少なくともその年に出場した選手は全員載せたいのだけれど、そうすると1人あたりのスペースが小さくなってしまう。だいたい16人〜18人。それくらいだ。
 編集長なんだから、僕の好き嫌いで決めてもよいのだろうけど、そこは冷静に総出場時間でラインを引く。ただし機械的に上から18人と決める訳ではなく、たとえば18人目と19人目の出場時間がほぼ同じだったら、両方とも入れるとか、逆に両方ともはずして17人で切るとか、データに加味できない最終戦の出場予想も勘案するとか、最後の2〜人は多少僕の裁量で決める。まるで紅白歌合戦の出場者を決めているようだ。


 毎年、ボーダーラインの下には10人ぐらいの「落選者」が出る。「この選手入れたかったなあ」という場合もある。今季はどうだったか。
 MDP210号を持っている人は見てほしいが、そこにはオフト監督以外に17人の選手がいるはずだ。さあ思い出しておくれ。今季、この17人以外に、公式戦に出場したのは誰だろう。答えは、長谷部、千島、ゼリッチの3人。途中で移籍(レンタルを含む)した阿部、アリソン、城定も入れると計23人になる。無理すれば長谷部、千島、ゼリッチを入れて20人+オフトで作れないこともなかった。例年にくらべて出場した選手が少なかったということだ。
 ちなみに去年は29人、2000年は28人、99年が29人、98年・25人、97年・25人、96年・22人、95年・24人だった(いずれも天皇杯は含まず)。過去唯一レッズで丸2年監督を務めたオジェック時代とほぼ同じ人数だ。
 試合数も違うので、単純に比較はできないが、今季の延べ23人というのは、かなり少ない数字だ。しかもオジェック時代のような、まずまず好成績を残したシーズンではないのだ。

 オフトの選手起用傾向を見ると、負け続けても、ケガや出場停止以外で16人のメンバーを変更することはほとんどなかった。そのことの是非についてはサポーターからいろいろ聞くが、ほぼシーズンを終えた今となっては、これも「成果」と見ていいんじゃないか。
 というのは、磐田や鹿島について、「長い間同じメンバーでやってきたチームだから(強い)」という評価を下す監督を、過去複数人見てきたからだ。具体的にはチッタ、ピッタ、オフトだけれど。
 ケガが少なかったこともあって、1シーズンをほぼ同じメンバーで戦えたこと。これがメリットとして生きてくるのは来季だろう。今季の先発から少なくとも福田と井原は姿を消す訳で、必ず新しい顔触れは生まれるが、イレブンの大半が同じコンセプトを身に付けていること、オフト風に言うと「同じ絵を描けること」は重要だ。

 「今季は我慢の年」と多くの人が言っていたけれど(僕は言ってない)、最後の数試合はともかく、途中においてはサポーターにとって「至福の2カ月」があった。本当に我慢をしたのは、負け続けようが、サポーターから何と言われようが、同じ選手を使い続けたオフトだったのかもしれない。
 もちろん、そんなことは彼の過程(プロセス)には織り込み済みなんだろうけど。


(2002年12月2日)

<追伸>
 最終節の横浜M戦については、何も語りたくないほど、今季の中でも最低に近い試合内容だった。終盤の数分間は1点を取るために、全員がシャカリキになったのはわかった。あれを90分やれとは言えないが、まだ0−0のときに、ああいう頑張りを見せることはできないのだろうか、と思ってしまう。
 ウルトラマンはカラータイマーが点滅しないとスペシウム光線を出さないので有名だった。しかしウルトラマンはスペシウム光線を出せば、ほとんどの場合勝ったんだから、それでもいいけどさ。