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COLUMN●コラム


#201
弟よ


 レッズユースが、第10回JユースCUP2002Jリーグユース選手権大会でベスト4に進んだ。
 23日、川越運動公園陸上競技場で行われた横浜F・マリノスユースとの準々決勝で、前半先制した後、後半追い付かれ、PK戦に。結局PK3−1で勝ち、26日午前11時から大阪長居第2競技場で行われるサンフレッチェ広島ユースとの準決勝に臨むことになった。決勝は28日午前11時半から、天皇杯準決勝の前座試合として長居スタジアムで行われる。


 とまあ、新聞記事調に書いてしまえばそれまでだが、この日取材に行って二つのことがうれしかった。
 まず一つ。去年の同じ12月23日。東京・夢の島競技場でレッズユースはやはり準々決勝を戦い、ジェフユースに敗れている。このときも前半先制して、後半追い付かれ、PK戦で負けたのだった。PK戦の詳しいスコアは覚えていないが、このとき高校2年生だったGK加藤順大(のぶひろ)選手が先頭キッカーを含め最低2本は止めた記憶がある。しかしレッズ側も決められず、結局ベスト4には進めなかった。
 今年は会場と相手は違うが同じ前半1−0、後半0−1というスコア。そしてGKは加藤。レッズの関係者からは「去年と同じだな」という声が上がった。
 しかし結果は違った。レッズ先げりで始まったPK戦。まず1人目は両方成功したが、加藤はマリノスのキッカーを続く2人目から連続3本止めたのだった。レッズは4人目が止められたが2人目、4人目が決めた。スコア的に書くとこうだ。


 浦和 ○ ○ × ○
 横浜 ○ × × ×  ※×はすべて枠内シュートをGKが止めたもの。


 加藤君はサテライトでも今季最後の2試合に出場しているし、MDPの選手一覧にも二種登録選手として名前が載っているから、馴染みもあるだろう。来年はレッズへの加入が内定しているようだ。身長では恵まれていないが、気持ちの強さと正確なキックは現在レッズにいる3人のGKに引けを取らない(都築は見ていないので…、とりあえず「3人には」と言っておく)。この日もフリーの相手から1本のゴールは許したが、その落ち着いたキーパーぶりは見ている者に安心感を与えるものだった。PK戦でゴールマウスに立った彼をカメラでのぞいていると、きっと止めるだろうという予感がした。入れられた1本も飛んだ方向はピタリだった。


 加藤君をベタほめするのが目的ではない。同じ大会の同じラウンドを取材に行って、同じ選手が去年の雪辱を果たした。そのことがすごくうれしい。「加藤君」と君づけで書くのもこれが最後だろう。来年5人体制になるレッズのGK陣最年少選手として、奮迅の働きを見せてほしい。その結果「都築取らなくても良かったじゃん」とフロントがアホ呼ばわりされても構わない。きっとフロントだって、そんな誤算なら大歓迎だから。


 もう一つのうれしいこと。それは今季最後の下部組織の大会に取材に行って、「ああ、レッズのユースも本当にレッズのユースになったなあ」と感じたことだ。
 この日の観客は531人。去年の夢の島はFC東京の仕切りで、東京サポーターがたくさん来ていたが、今年はどうだろう?選手の家族+αかな、と思っていた。行ってみると人数的にはそう多くなかったが、レッズサポーターも少なくなかった。サテライト並みに応援もあった(審判へのヤジもサテライト並みに激しかったが…)。
 それよりもレッズのスタッフの多さが意外だった。担当している運営グループ全員はもちろんのこと、トップチームのマネージャーやコーチ、落合弘CMや中村修三CM。こちらもサテライト並みの陣容だった。
 レッズユース、あるいはレッズジュニアユースは昨年まで、どこか「レッズが指導しているユース、ジュニアユース」という印象が否めなかった。トップチームと直結しているというイメージが非常に薄かった。よく下部組織は「弟」チームなどと言われるが、「従兄弟」チームか「義理の弟」チームみたいだった。
 それが今年はようやく弟みたいな気がしてきた。東京に就職していた兄貴が田舎に帰ってきたみたいで、まだ少しよそよそしいかもしれないが、レッズユースが名実ともにレッズユースになった気がする。
 まず指導者の数が増えた。かつてはユース、ジュニアユースの監督1名ずつだけだったのが、今は合わせて5人?いや6人?全部紹介してもらっていないからわからないほどだ。来季はまた増えるようだ。それにフィジカル的なケアもしっかりしてきた。「痛い」「休め」では終わらせず、成長期の体のしくみや痛みに関する知識などをこの機会にしっかり身に付けるようなシステムもできた。また、これまでトップチームを横で見ているだけだったユース、ジュニアユースの選手だったが、今年からサテライトの練習にユースから何人か合流させるなど、触れ合いも強まっている。
 下部カテゴリーのうち、ユース、ジュニアユースしかなかったレッズだったが、ジュニアサッカースクールを発足させ、小学生チームを作る足掛かりとしたのも今年だった。


 長年準備してきたものがようやく実り始めたのか、今季からの体制の変化がこれらをもたらしたのか、それは一概には言えない。とりあえず「両方」と言っておこう。とにかくレッズが小学生まで含めたユース組織の充実に本気になってきたことは間違いない。
 下部組織の充実、強化はトップチームの強化につながるだけでなく、県内、関東のレベルアップにもつながる。強いレッズの下部組織に勝つことを目標とするからだ。そして「レッズの下部組織に入りたい」という少年が増え、チームそのものが人的に強化される、という好循環を生むだろう。
 この成果がトップチームにまで表れるには最低あと数年はかかるだろう。しかしスタートしなければゴールはないのだから、今季の変化には拍手を大きな送りたい。


 去年の夏、U−15クラブユース選手権決勝の取材でJヴィレッジに行ったときのことを思い出す。レッズジュニアユースがFC東京を破って優勝したのだが、決勝のスタンドにFC東京の応援団がいっぱいだったのに比べてレッズ側は選手の家族を中心に少なかった。トップチームで見る光景とはまったく逆だった。
 先日レッドダイヤモンズ後援会の運営委員会があったので、「来年、下部組織が全国大会で決勝に出るなどしたときは、後援会で応援バスを用意するぐらいは検討しよう」と提案しておいた。


 今回のJユースCUP、準決勝の26日は用事があるので取材には行けない。ぜひ勝ち抜いてほしい。たとえ大阪でも、決勝には絶対に取材に行くつもりだ。
 28日に予定していたスケジュールがポッカリ空いてしまったこともあるので。


(2002年12月24日)

<追伸>
 デジタルカメラを導入した。来季からの本格稼働に備え、MDPが忙しくない天皇杯で「練習」するつもりだったが、初戦だけだったのでデータが少ない。ユースの試合が川越であったのは、その点でもありがたかった。
 という訳で、デジカメ写真初公開(というほど珍しいものもでもないが、テストを兼ねて)。MDPに登場するのは、来年2月下旬発行予定のMDP・EXTRA(増刊号)かな。
レッズユースの先制点。PKを、ファウルを浮けた小助川慶太が自分で決める   PK戦でゴールマウスに立つ加藤。自信にあふれた顔つき
     
 
1本目は惜しくも決められた   2本目。見事に止める
     
 
3本目。これも止める   4本目。勝負を決めるセービング
     
   
駆け寄るチームメート