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COLUMN●コラム


#211
記念レプリカ


 限定850着ぅ?なんだそりゃ。
 福田正博記念グッズのうち、記念レプリカが850着しかないと聞いて耳を疑った。
 そうかい。俺の「お願い」は、しょせんそんなもんかい。
 そして26日の夜、「限定」が無くなってすべての注文に応じることになったと聞き、再びびっくりした。
 なんでや?


 この話はきちんと整理しないと、うまく伝わらない。普通に考えると、限定850着なんて、予想される需要とは一桁違うような数を聞いた人は、「ユニフォームが変わることでもあるし、こりゃ、もしかしてレプリカ在庫一掃セールか?」と思うだろう。実は僕もそう思った。僕がこのコラムで、「記念グッズ、特に選手のメモリアルグッズは、数を限定せずに希望者全員に行き渡るようにしてほしい」と書いたのは、何も独り言をつぶやいたわけではなくて、ちゃんとクラブの担当者にも話したことだ。にも関わらず「限定850着」‥。僕が多少ムッとしても無理はないだろう。
 そういう思いで、25日のレッズフェスタリハーサルに出かけていった。そこで聞かされた「850着」の理由。
 生地がないのだ。レッズのユニフォームの生地は毎回オリジナル生産で、市販されている布ではない。その01〜02シーズンバージョンのユニフォームに使われている生地が、もう850着分しか残っていないらしい。もっともっと需要があることはわかっているし、もちろん限定にもしたくない。しかし作りたくても、もう作れない。そういう状況らしい。
 だったら、ほかに方法はなかったのか。たとえばキッズサイズにしてもっとたくさん作るとか、違う布で作るとか、850しかできないんだったら、そもそも記念レプリカをやめちゃうとか‥。まあ、「だったら、こうしたら‥」という意見はいろいろ考えられるが、そういうことを全部検討した上での決定なのだから仕方がない。こんな「言い訳」はクラブからできないだろうから、話の流れ上、このコラムで僕が説明しておこう。そう思ってレッズフェスタに行った。


 その夜飲んだサポーターの口から「限定が無くなった」と聞いて、あわててクラブの関係者に電話した。(コラムのネタがなくなっちゃうじゃないか!)いや、そんなことではなく‥。
 生地から作るんだと。
 原料の糸を染めるところから、つまり初めからやるんだと。
 僕はアパレル関係に詳しくないから、どういう工程があってどういうコストがかかるのかは知らないけど、要するに新しいレプリカをデザイン以外一から作るようなものだから、ロット=生産単位が1000や2000ではとうてい採算が取れないはず。でも、あえてやるんだと。
 やるじゃん、レッズ。850着段階と値段は変わらないのだから、いかにヒットユニオンの協力工場に泣いてもらっても、注文数しだいでは赤字を食うかもしれない。でも、福田正博の記念レプリカは福田を愛するサポーター全員に届けたい、その思いがこの決定を生んだのか。
 だったら、初めからそうしろよ。
 口でそういうのは簡単だ。でも、物を生産する会社に勤めている人ならわかるだろう。サッカークラブであると同時に企業としても存在していかなければならないレッズにとって、これがある意味「英断」だということを。一瞬、遠回りはしたものの、福田正博に関してサポーターとクラブの思いが同じになった。素直にそう思いたい。


(2003年1月27日)