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COLUMN●コラム


#251
敬意を持ってブーイング


 試合によっては、「ああ、こんなときはピッチでなくスタンドにいたいなあ」と思うこともある。仲間と思いっきり喜び合いたい、という気にさせる試合だって、あることはあるのだ。たまに。
 もちろん他のサポーターからすれば僕のような立場はうらやましい限りなのだろうから、そんな贅沢を言ってはいけない。


 かつてのレッズの選手が、敵として対峙する。その違和感に初めてぶつかったのは95年の8月23日だった。国立での柏レイソル戦。1stステージではホーム、アウエーとも勝たせてもらったJリーグの「新参者」に0−2の完敗だった。2点とも得点者は柱谷幸一。「三菱サッカー部」を「浦和レッズ」に変えた立役者の1人だ。ウブだった僕は、2点目を決められたとき「そこまでしなくてもいいじゃないか。かつての味方なのに‥」などと甘いことを思っていたものだった。


 あれから8年。選手の移籍が普通のこととなった今、そういう気はない。福田の引退試合のMDPを作っていてしみじみ思ったのだけど、レッズの選手もあちこちに散らばっている。彼らが中心になっているチームも少なくない。レッズで発揮し切れなかった(発揮させてもらえなかった)力を出しているのだから、本人たちにとってはいいことである。
 もちろん複雑な気持ちもする。それがレッズ相手に結果を出されたりすると、もっと悔しい。


 FC東京、原監督。ヴィッセル神戸の岡野、アリソン。ベガルタ仙台の福永、阿部、石井。そういう試合がこれからホームで続く。向こうは古巣相手に一段と燃えているだろうから、こっちが感慨深く思っている暇はないのだけれど。


 選手紹介のときに拍手かブーイングかで意見が分かれるようだ。どっちもしない、という選択肢もあると思うが、聞かれれば「敬意を持ってブーイングじゃないですかね」と僕は答える。個人的には好きだし、会えば話もする。しかし試合では敵。特にレッズのホームでは、ウォーミングアップのころからスタンドのムードを盛り上げていくようにしているので、選手紹介の時間は完全に試合モード。個人としては敬意を払いながらも、試合の敵として、しかも要注意の選手としてブーイング。そう思っている。


 だけど昨日、テレビでヤス、福永泰を見て、ちょっと気持ちが揺らいだ。1年3ヵ月ぶりにケガから復帰。しかもケガしたのは去年、初めて彼がレッズと対戦した試合。そういう福永には、まず「復帰おめでとう」と言いたくなってしまうかもしれない。7月26日、埼スタのスタンドにいなくて済むことにホッとしている僕がいるのも事実だった。いっそあと2試合、福永が大爆発してくれれば、そんな感慨も少しは薄れるのかもしれないが。2試合だけね。

(2003年7月7日)


<追伸>
  5日の大分戦は、いろんな意味で2日のヴェルディ戦を思い出すものだった。エメルソンのFKは同じくポストに当たりながら2日ははじかれ、5日は入った。達也は見事に流れを変え、逆転ゴールをアシストした。永井はニアにスライディングで飛び込むという「らしくない」プレーで結果を出した。そして1点リードを最後まで守りきった。オフトは「去年までだったらあのまま負けていたかもしれない」と言っていたが、去年どころか、今年の前半でも危なかった。今年のレッズは、引っぱたかれないとわからないじれったさはあるが、痛みをきちんと教訓にしているところもあるな、と思った。
 そうそう、主審のジャッジでもヴェルディ戦を思い出した。ただし3月15日の、だけど。