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COLUMN●コラム


#274


 今日が決勝前に更新できる最後の機会か。ようやくMDP特別号の編集も山を越えた。まだ麓に降りてはいないけど。

 サポーターとしての自分はともかく、MDP編集スタッフとしての自分が優勝を意識したのは、つまりは仕事の心づもりをしたのは、いつが初めてだっただろうか。

 92年の天皇杯?いや、あのときはとにかくナビスコカップのMDP全4号を作り終え、あとは試合を見るだけ、と楽太郎を決め込んでいた。レッズが優勝すれば何か仕事が入って来るとは思ったが、何も準備することはなかった。残念なことに、いまだにサポーターの口に上るヴェルディとの準決勝(2−2、PK負け)も、別の仕事があってテレビでさえ生観戦していない。

 95年の1stステージ(当時はサントリーシリーズ)。6月24日の第20節にようやく10勝10敗の五分の星になったと思ったら、その後試合のたびに順位を上げ、残り2試合に勝ち首位のマリノスが一つ負ければ、得失点差の争い、というところまで来た。そうなったらどうする?最終節で優勝しても、2ndステージ(ニコスシリーズ)まで間があるから、事前に準備することは何もなかった。結局、ラス前でヴェルディに敗れて、優勝の目は消えた。

 その後、96年(1ステージ制)、98年2ndステージも、優勝に少し近づいたが、この試合に勝てば優勝、というところまではいかなかった。いずれも、その前の天王山でアントラーズに負けた。96年の天皇杯は準決勝まで進んだが(●0−3ヴェルディ)、12月の29日から準備を開始するなんて、どだい無理な話だから、元旦にMDPを出すなんて考えは早々に消えていた。

 とんでとんで2001年。11月10日にようやくJ1残留を決定付けたような厳しいシーズンだったが、天皇杯ではトントンと3試合を勝ち進み、埼スタで準決勝を迎えることになった。相手は降格が決まったセレッソ。リーグ戦では直前の残留決定で緩みが出たのか不覚を取ったが、逆に今度はいけるはず。元旦決戦の可能性が高まってきた。クラブも浦和市も、「もし」という前提付きながら下準備を始めるたのが伝わってくる。
 それに触発されてMDPも発行の可能性を探ってみた。…無理である。印刷所に無理をお願いするにしても、1月1日に発行するためには(どこで販売するかは別として)、29日には編集作業を終わらなければならない。ははは。降参。優勝したらなるべく早く増刊号を出そう、ということで落ち着き、結局その仕事の準備もせずに終わった(●0−1セレッソ)。

 去年、10月2日の準決勝をVゴールで勝ってから、「ナビスコ決勝でもMDPを」というメールやハガキをたくさんいただいた。発行を求める理由を見て、MDPを闘いのツールとしてなくてはならないものと考えているサポーターがいかに多いか、あらためて知った。いきなり最前線に立たされた兵士とはこんな感じなのか、と思った。武者震い、というやつだ。クラブの担当者も「出しましょう」とすぐに賛同してくれた。
 出版物で、作り手の意図と読み手の受け取り方がピタリ一致することはほとんどない。というか、読み手は多彩な人たちなのだから、それが一致することなどありえない。しかしMDPは、それが一致する部分が多い。同方向のベクトルの中に作り手も読み手もいるのだから当然だ。おまけにこの特別号の5分の1は読み手であるレッズサポーターの投稿でできているんだし。だから、今回のような場合はよけいに心配になる。果たして読み手=レッズサポーターが、決勝の前に読んで満足してくれるものになったのか、どうか、と。
 今回の特別号は、発行することについて、ほとんど議論がなかった。クラブも僕もそのつもりだったし、サポーターからのリクエストが去年に比べると少なかったのも、当然出るものと思っていてくれたからだろう(そうだよね?)。

 分相応、という言葉がある。少人数(見栄張るなよ)での短期集中型の作業では、小回りは利いても出版物としてのクオリティは高くならない。今後、レッズが勝したときに、MDPの増刊号を出すことは考えにくい。それは他の媒体の役目だろう。「マッチデー」に出る「プログラム」なんだから、MDPには分不相応だ。
 その代わり、試合の前に読む闘いのツールという役目をみんなが望む限り、どんなに厳しくても発行する努力をしなければならない。それが僕の「分」に「相応」な仕事だ。

 今回も200人以上のサポーターから決勝に向けてのメッセージをいただいた。それを限られた誌面に凝縮する作業は、予定の24時間を過ぎても終わらなかった。福田の引退試合の特別号では、記念誌的な意味もあったから、メッセージを割愛しても名前だけ掲載したが、今回は読んだときに1人でも多くのサポーターが決勝に向けて頑張ろうという気持ちを高めるのに役立つものに厳選した。載せられないもの一つ一つに「ごめんなさい」と言いながら「delete」キーを押した。
 国立が56,000人の観衆で埋まるとすれば、赤いサポーターは40,000人以上か。しかし全国で、それよりはるかに多い人がレッズの初タイトルを祈っているはず。それと同じ意味なのだ。

 今日31日の午前中で、今回のMDP特別号は印刷に回る。仕事から解放された2日半、どういう思いで、何をして決勝を迎えるのか自分でもわからない(実は11月8日の試合のMDPの準備がもう始まるのだけれど)。ただ11月3日の試合の最中、自分がいる場所はほぼ想像できる。レッズサポーターのすぐ近くで決勝を取材できる自分を幸せだと思う。
 ただ「その」瞬間、自分の「分」を守っていられるかどうか。努力が必要だ。

 あと3日。それぞれのやり方でいい準備をしよう。そして頑張りましょう。

(2003年10月31日)


<追伸>
  きっと突っ込む人がいるな。先に言っておこう。そう、今年の天皇杯準決勝は12月27日。いつもより早い。デザイナー、印刷所の休みとか、販売方法などをまったく考えずに言えば、天皇杯決勝に向けたMDP発行を検討する余地はある。11月3日の特別号の出来とサポーターの必要度を見て考えよう。