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COLUMN●コラム


#291
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 あけましておめでとうございます。


 サポーターの皆さんからMDP編集室あてにも年賀状をたくさんいただいた。以前はそれを予測して、年内に写真入りの年賀状を作り、年が明けてからお返事を書いていたけど、今は年が明けてから作っている。何故かというと、写真の絵柄はそのシーズンの応援風景で最も好きなものにしているのだけれど、年内に作るとなると締め切りが早いから、どこまで進むかわからない天皇杯でどんなに感動的な場面があっても、その写真は間に合わないことになる。その年の年賀状らしく、去年の写真に松の絵を入れて作るのではなく、元旦の国立の風景をお届けする可能性を最後まで残しておきたいから。
 じゃあ、去年は選ぶ時間がたっぷりあったろ?うーん、まあそうとも言えるが…。


 パソコンの中に山とある応援風景の画像を見ながら、一つ一つの試合を思い出し、候補を絞っていく。もちろん絵的にカッコいいことも条件だし、そのときの自分の気持ち、その試合にかけたサポーターの気持ちなどが織り合わさって…。結局、選んだのは10月8日のナビスコ準決勝第2戦の風景だった。バックスタンドから白のデカ旗が下がり、両側を赤・黒のタスキが締めている。そして空中には大量の紙吹雪。


 レッズがナビスコカップでホーム&アウェー方式の決勝トーナメントを初めて経験したのが97年。準々決勝でジュビロと当たり第1戦を駒場で0−0、第2戦をヤマハ(磐田)で2−3、敗退した。
 次は99年。2回戦で大分トリニータと対戦し、初戦をアウェーで0−1。それで原監督の解任が「内定」し、第2戦の駒場で3−1と逆転勝ちした直後に発表があった。そして3回戦では初戦でアントラーズに2−0と先勝したが、アウェーの第2戦で追いつかれ、Vゴール負けした。
 J2での2000年は、1回戦でフロンターレに0−3の大差を付けられ駒場に戻ってきた。第2戦は先制したが2−1で終わり、トータル2−4と初戦敗退した。
 J1復帰の01年は1回戦でモンテディオ山形に0−2。唖然としたが駒場できっちり3−0の逆転勝ち。2回戦のガンバ大阪戦はアウェー(万博)3−1、ホーム(駒場)3−2と完勝だった。そして準々決勝の第1戦は、駒場でアントラーズに1−0と勝ちながら、カシマスタジアムで0−1とタイにされVゴール負け。エメルソンと井原が退場になり、9人で踏ん張ったが力尽きた。そして数日後、チッタ監督が辞任した。


 第1戦、第2戦の順番によって多少有利、不利があるにしても、恨みっこ無しのホーム&アウェー。少しまだるっこしい感じもあるが、決勝トーナメントをホーム&アウェー方式で勝敗を決めるのは、両チームの実力に加え、サポーターの力が大きく左右する気がする。そうなればレッズにとっては有利な方式なのかな、と思う。ナビスコの決勝トーナメントに限って言えば、レッズは駒場スタジアムで負けたことがないのだ。ちなみに1回勝負だった02年も、駒場で戦った準々決勝の柏戦は勝っているし、03年の準々決勝、FC東京戦はロスタイムに同点に追いついた。
 それは一般的なホーム有利、という状況を超えている。単なるジンクスとか、偶然ではないはずだ。
 水曜ナイターという集客が難しい状況で、さすがにリーグ戦並みとはいかないにしても、レッズのホーム駒場には他会場よりも多くのサポーターが集まる。それがこの圧倒的な勝率を生んでいる、と言っていいと思う。
 たしかに水曜ナイターの観客はリーグ戦に比べて少ないが、多くの人は「行けない」のであって「行かない」のではないはず。土、日のリーグ戦には来られるが、水曜日のホームゲームにはどうしても来られないサポーターたち。さぞかし無念だろうし、その日はギリギリした思いで午後7時を迎えているだろう。万一、負けたりしたら「自分が駒場に行かなかったせいかも」と後悔するだろう。
 そんな葛藤を乗り越えて集まった水曜ナイターのサポーターたちだから「勝たせる」思いもひとしお、なのかもしれない。

 10月8日。準決勝第2戦の入場者は18,486人。はっきり言って、異常な数字。ここ数年の水曜ナイターとしては、99年2ndステージ第12節のジェフ市原戦(11月17日、19,279人)に次ぐものだ。
 1週間前の第1戦で0−1。去年の借りを返しに国立に行くためにはこんなところで終わっていられない。絶対にはね返そう。そういうサポーターの思いが、この数字を生んだ。
 そして繰り広げられた応援も、その思いにふさわしいものだった。前にこのコラムで11月3日のナビスコ決勝の応援を見て「ここホームじゃないんだよな」と思い直したことを書いたけれど、10月8日は、カメラをのぞきながら「ホントに今日は水曜日かよ!」と思ったことを覚えている。
 引き分けでも負け、というビハインドを背負って戦う試合では、入り方が重要になる。点が入らない時間が続くと、知らず知らずに焦りが出てくる。それも選手よりサポーターの方に先に出てくる。それが応援に反映し、ひいては試合に影響する、ということにもなりかねない。
 しかしこの試合のムードはビハインドを負ったそれではなかった。直前のリーグ戦でセレッソに完勝した影響もあるが、「1点?関係ないよ、ここはホームだぜ。絶対に負けない」という雰囲気を、大観衆と応援パフォーマンスで見事に作り出した。選手たちは「重圧」としてのプレッシャーでなく、背中を後押しされる「推進力」を感じていたはずだ。2003シーズンを象徴する試合だったと思う。


 という訳で、年賀状をくれたみなさんには、10月8日の応援風景をプリントしてお返事を出すので、お待ちください。
 本年もよろしくお願いします。

(2004年1月5日)