image
 
●INDEX
image
●バックナンバー
●ご意見・ご感想
COLUMN●コラム

image

#297
テキ&トモ


 なんでだろう、なんでだろ。いや、それはテツ&トモ。


 菊原志郎が94年、レッズにレンタル移籍でやってきたときは、「ええーっ!ヴェルディから?」と思ったが、そのころヴェルディと言えばカズ、ラモスのイメージが強く、レギュラーという訳でもなかった菊原への違和感はあまりなかった。
 菊原はケガのためほとんど試合に出ることがなかったが、その後グランパスから浅野哲也がシーズン中にレンタルで来て、他のチームでトップを張っていた選手がレッズに移籍してくることにも慣れてきた。95年のトニーニョ、98年の礒貝洋光、99年の中村忠、路木龍次、2000年の室井市衛、阿部敏之、01年の井原正巳、トゥット、エメルソン、そして去年のエジムンド、山瀬功治、都築龍太。


 相手選手へのヤジが一番激しいのはレッズサポーターではないかと思うが(下品となるとまた別のチームがありそうだが)、彼らがレッズの選手になればヤジと同じくらいの「絶対値」で応援してきた。「手のひらを返したように」という表現がピッタリだがそれは当たり前。別に個人が嫌いでブーイングをしていた訳では(ほとんど)なし、逆に相手の主力だからこそ、ヤジり倒そうとしてきた、とも言える。それが味方になるのだから、本来は心強いはず。
 そういう意味では、浅野への対応の変化がまず印象深い。なぜなら、あの「おじいさんの古時計」の替え歌にされた第一号はグランパス時代の浅野だったから(ちなみに相棒は沢入重雄)。次はトニーニョかな。だって95年は1stステージの7月12日に日本平でエスパルスの選手として対戦していたのに、その約1ヵ月後の2ndステージの開幕戦で赤いユニフォームを着ていたのだから。ちなみにゴールも決めていた。ガンバの司令塔だった礒貝が来る、と聞いたときも違和感たっぷりだった。彼も「古時計」の的にされた選手だったし。
次は井原。そしてエメルソン。間に1チームはさんでいるものの、マリノス、あるいはコンサドーレ時代には「やられた」気持ちの残っている選手だったから、「ほんまかいな」という気がどこかでしていた。


 レッズへの思い入れが深いサポーターほど、相手選手への敵がい心は強いだろうし、その選手が敵チームの中心なら、ますます「嫌い度」は高くなる。だから、そういう選手の移籍話が噂に上ると、「ええーっ!」「いらねえ!」「使えねえ!」「○○(今のレッズにいる選手)で十分!」というのが一次反応だ。無理はない。
 サッカーでの「敵対心」「嫌い」というのが、試合という限られた時間と空間の中でのものだ、と思うのはこういうときだ。その選手がレッズとの試合で活躍しているから「嫌い」。別に本人を良く知っている訳でも、本人から個人的に嫌な仕打ちを受けた訳でもない。でも試合では大嫌い。試合の中での「嫌い」がだんだん広がって、いつの間にか本当にその選手個人が嫌いになったかのように錯覚することもある。


 今季のレッズが移籍で獲得した選手は5人。とりあえずはこれで終わりだそうだ。その中で最もレッズサポーターの「嫌い度」が高かったのは三都主アレサンドロだろう。僕の個人ランクでは過去の移籍選手のベスト3(ん?この場合はワーストか)入り間違いない。争うのは礒貝、井原、エメルソンかな。
 しかしアレックスの場合は、現役バリバリの日本代表選手だし、昨年はエスパルスでキャプテンマークを巻いていたし、エスパルスとは去年4回も対戦したし、11月15日に負けたばかりだし(もし天皇杯の3回戦でレッズが勝っていたら12月20日にも対戦していた)…、という訳で今の気分では堂々1位の座でもおかしくないほどだ。
 …。なんだか本人が読んだらレッズと契約したのを後悔しそうな流れになってきたな。違う、違う。そうじゃない。アレックスの場合もファイティングスピリット満々の選手であり、ドリブルもパスもFKも一流の選手であり、と、エスパルスには欠かせない中心選手だったから「嫌われて」いたのだ。代表で、アレックスが上がると逆サイドの山田が上がれないから嫌い、なんて話もあったが、それは筋違いの恨みだ。さっきの「絶対値理論」(理論なんてあったか?)から言えば、「嫌い度」1位は「期待度」1位と言っていい。
 去年、犬飼代表は柱谷コーチを招聘した理由の一つに「純血より混血の優生」ということを言った。あれは若手の指導についての話だったが、トップチームにもそれは当てはまるはずで、これまでのレッズにはいなかったタイプ、しかもエスパルスの核だったアレックスがレッズに戦力として以外のどういうプラス効果をもたらすか、その点でも期待は大きいはず。
 1月24日に行われた移籍記者会見でアレックスが語った「レッズやレッズサポーターについての印象」は、去年まで真剣勝負をしていた者としての真実味があった(詳しくはクラブのホームページ参照)。
 去年の敵は今年の友。

(2004年1月26日)


<追伸>
  「混血効果」はアレックスだけではない。酒井、梅田、闘莉王、岡野。この時期に5人もの移籍選手が入るのは久しぶりだ。いずれもトップチーム経験者だから、5人ともレギュラー争いに名乗りを上げておかしくない(94年にもかなり移籍選手が入ったのだけど、トップであまり出ていなかったり、そもそもレッズのカラー自体が定着していなかったりして、どうも印象が薄い)。フィールドの10人のうち半数が去年はいなかった選手、なんて現象が起こっても不思議ではないのだ。

<追伸2>
 アレックスに聞きたかったけど、記者会見の場ではちょっとはばかられて聞けなかったこと(だって、真っ赤な目でムチャクチャ疲れてそうだったから)。「去年のナビスコ準決勝2戦目で、都築が退場になるとき、かなり熱心に声をかけていたけど何を言っていたのですか?」。みんなも気になるでしょう?合流して機会があったら聞いてみよう。

〜予想回答例〜
1・「もう6点も取ってて、レッズの勝ちは間違いないんだから」。
2・「アン・ジョンファンがうまかったってことで、納得してくれ」。
3・「来年は俺がレッズに入って、あそこまで突破されないようにするから」…こりゃないか。

<追伸3>
  あらら。礒貝のレッズ加入が98年になってる!これはまったくの間違いです。正しくは97年。97年といえば、ケッペル監督、雷雨の再試合、そしてびっくり礒貝、という順に印象深かったのにどうして間違えたんだろう?すみません。こっそり直しておこうとも思ったけど、間違って覚えた人がいるといけないので追伸で訂正しておこう。みなさ〜ん、礒貝洋光選手のレッズ移籍は97年で〜す。そういえば当事のワープロ(古い!)に「礒貝」を単語登録したなあ…。

<追伸4>
 「アレックスの真実」その1。えー、「追伸2」の疑問、本人に聞けました。以下、なるべく発言通りに。
「ああ、あれはですね。もう5−1でレッズが決勝行けるのは決まってるんだし、レッドカードはリーグ戦で出場停止になって、決勝には出られるんだから…。そういうことを言いました」。いい人じゃないか!なんだか俺はうれしいぞ!(清尾淳の「じゅん」は単純の「じゅん」)みんな、なるべく本人の希望通り「アレックス」と呼ぼうね。