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#298
今季の見どころ・その1「こやし」


 えー、ご飲食中の方は読むのをお控えください。あ、その前に、1日遅れました。すみません。

 先週は、27日にブッフバルト(以下、ギド)監督、エンゲルス(以下、ゲルト)コーチの記者会見があり、翌28日には大原で練習開始。新しいクラブハウスのサポーターへのお披露目とあってフェンスの中だけで500人が訪れた。選手がグラウンドに出ると見学者から拍手が起こるなど、例年とは一味違ったシーズン始動だった。そして昨日、日曜日はレッズフェスタ。新しいユニフォームや背番号の発表などもあり、2万4千人を超える参加者が新しいレッズの出発を見守った、というところか。
 僕自身もMDP増刊号の取材で、犬飼代表、森GMの話を聞き、本格的な仕事が始まった感じだ。じゃあ、それまでの約1カ月は何をしてたんだ?いや、きちんと「充電」していたことは何人かのサポーターが証明してくれる(はずだ)。

 僕が今季のレッズの見どころは、と言われればまず3つ挙げる。
 一つは、まずギド−ゲルト新指導体制がどう推移していくか。次に闘莉王、酒井、岡野、梅田、アレックス(順不同)という即戦力選手5人の獲得がチームにどういう影響を与えるか。そして、現状では8人というA代表、五輪代表選手を抱え、ワールドカップ予選、アテネ五輪予選−本大会に当たるシーズンを、どう乗り切っていくか。
 客観的にサラッと書いてしまった。いつもどおり主観たっぷりに表現を変えてみよう。  

 まず1番目は、「ギド新監督の指導が花開き、実を結んでいくこと」。
 これは簡単なことではない。ギド自身が記者会見で「初めからあまりいい成績は挙げられないかもしれない」「勝ち点いくつ、という数字は挙げられない」と言ったのは、意地悪く見ればあらかじめ批判からのシールドを張ったようだが、そうではないだろう。監督1年生だから、ということではなく、初めてそのチームを率い、しかも主力8人がたびたびチームを離れるという不確定要素の多い中、当然のスタンスだ。
 犬飼代表、森GMの言葉を総合すれば、クラブとしては「リーグで昨年以上の成績を挙げ、何らかのタイトルを獲得すること」を期待しているようだが、現場の監督としては「それに向けて精いっぱい努力する」としか言いようがないだろうし、クラブ側もそれを最低のノルマ、とはしないような印象がある。

 どうも昨年秋のオフト監督辞任劇(「解任」じゃないか?でも、公の場に出たのは「辞任」が先だから)後の感じとは若干違う。「3年任せるはずのオフトを辞めさせるのだから、新しい監督は2003シーズン以上の成績がノルマだろう」と主張するのは一理ある。ただ、今となっては検証のしようもないが、オフト監督の2004シーズンがあったとして、それが前シーズンより良い成績になる保証はどこにもない。派手さはなくとも着実にチームを前進させてきたオフトだから期待はあったし、3年目を見たかった、という気はたっぷりあるが、現実はそんなに順調に行くとは限らないのだ。
 オフトに3年目を任せたとしても、そのあとにポストオフト時代は必ず来る。ならばそれを前倒ししてオフト後の段階への前進を2004年から始めよう。クラブの考えとしてはそういうことのようだ。その考えが正しいのか、それがギド−ゲルト体制でいいのか、そういうことは勝負事だからやってみなければわからない。結果は嫌でも出る。
 「結果が出なかったとき、サポーターはギドにブーイングできるのか」という議論があるようだ。サポーターがブーイングできるか、とか、サポーターからブーイングを受ける覚悟があるか、とか、そんなレベルの話ではないだろう。ギドは、自分の選手としての名声がいったん地に落ち、地獄を見ることがあってもやりぬくことが出来るか。サポーターは大好きなギドのイメージが粉々に砕け散ることがあっても、さらに一緒に戦うことが出来るか。そういう問題なのだ。そんな事態に陥らないことを祈るが、あり得ない話ではない。
 「結果が出なかったら責任を取って辞める」。潔い、不退転の決意、そういう言い方もあるようだが、このフレーズを聞くと僕は、日本代表の監督候補にネルシーニョ氏を挙げておいて、土壇場に加茂周氏に決定したときの長沼健サッカー協会会長(当事)の言葉を思い出す。「失敗したら(「行けなかったら」だったか?)、私が辞めますよ」。冗談じゃない。日本がワールドカップに行けないということは、
サッカー協会の会長辞任ほど軽いことじゃないんだ!あんたが辞めたって何も事態は好転しない!そんな決意なら、初めから辞めててくれ!こう思ったものだ。
 飲んでいる水に泥が混じってきたら吐き出す。飲むのをやめる。簡単なことだ。そうではなくて泥水をすする覚悟が必要なのだ。サポーターは何度も泥水を飲んできた。そうして、去年ようやく甘露を味わうことが出来た。長い人なら10年間の我慢の上に、さらに1年半我慢してナビスコ優勝、リーグ戦優勝争い、というところまで来た。これをベースに上を目指すというなら、たとえ一時的に後退しても踏ん張る決意が必要だ。そこで投げ出してしまってはベースまで失うことになりかねない。期待いっぱいのシーズン前に威勢の良いことは誰でも言える。結果が出ない時期にも前を向いていることが大事なのだ。

 ただし勝負事と言っても、振られたツボの中のサイコロの目を当てるのとは訳が違う。フロント、サポーターがチームをバックアップすることで結果にも影響が出るのだから、腕を組んで高見の見物をしているときではない。
 僕が子どものころ、畑仕事を手伝ったことがあるが、その当時、肥料は人糞だった。イヤ、マジで。僕も運んだことがある。だから学校の先生が「植物がきれいな花を開き、果物が美味しい実をつけるにはこやしが必要やろ。こやしを嫌がっとったら立派な樹は育たんぞ」と言った言葉はよ〜く理解できるのだ。

(2004年2月3日)