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COLUMN●コラム

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#309
200試合


 磐田戦からの帰りのタクシーの運転手さんは、かなりサッカー好きで話好きだった。しかも僕がレッズ関係者だということを知っているから、「あの退場が痛かったですね」と気を遣ってくれるところがうれしい。どうやらラジオで聞いていたらしい。
 もう一つの静岡のチームとの試合帰りだったと思うが、レッズが負けた後に乗ったタクシーで「いやあ、今日は気持ち良かったですね」と話しかけられて、ムッとしたことがある。それはそれでサッカーどころらしくていいのだが、やっぱり僕としては「そうですね」とはもちろん言えないし、「気持ちいいわけねえだろう!うるせえよ」などと言って駅まで遠回りされても困るから、「はあ」とそっけなく答えるしかない。まあチームの貫禄の違いもあるのかな。そう思うとまた悔しいのだが。


 その磐田の運転手さんは言う。
 「でも、今年の磐田はそんなに強いですかね。そうは思えんのですが」
 ンナロ、余裕だな。
 「いやダイレクトでパスがどんどん回るところなんか、Jリーグの中でも抜けてると思いますよ。誰がどこに動くかもうわかってて次の出しどころをちゃんと見てますもんね」
 いま見てきた様子を正直に答えた。
 「そんでも、選手もそんなに替わっとらんでしょう。中山はもう顔だけだし、名波も藤田もだいぶトシだし。だもんで、どこまでやれるか思うんですわ」
 だから強いんじゃないかあ!

 この日ベンチ入りした16人のうち、去年いなかった選手は磐田ではゼロ。GKの佐藤がレッズ戦(8月16日)にはいなかったが、その後移籍してきて天皇杯からプレーしている。ちょっと調べてみよう。


<上の11人が土曜日のスタメン、下5人がリザーブ>

【磐田】       【浦和】
佐藤 04〜0    都築 03〜20
鈴木 95〜236  坪井 02〜60
田中 94〜221  内舘 96〜131
菊地 03〜7    平川 02〜52
西  99〜104  山田 94〜293
福西 95〜217  鈴木 01〜70
服部 94〜263  アレク04〜0
藤田 94〜297  長谷部03〜28
名波 95〜223  エメ 01〜62
中山 92〜261  永井 97〜120
グラウ02〜38   田中 01〜68
山本 01〜28   山岸 02〜36
山西 97〜130  室井 00〜57
河村 01〜44   三上 03〜4
成岡 03〜12   酒井 04〜0
前田 00〜42   山瀬 03〜24


 最初の数字がそのチームでリーグ戦にデビューした年(入った年ではない)。後の数字は、そのチームで昨年までにリーグ戦に出場した数。レッズの場合はJ2も含めている。レッズの場合、3ケタに達しているのが内舘、山田、永井の3人。アレクと酒井はJリーグ出場数とすれば100や200を超えているが、レッズではゼロになる。
 一方、磐田の場合はチームで100試合以上プレーしているのが9人。先発だったフィールドプレーヤー10人のうち7人が200試合選手(西だって100試合選手)なのだから、「ファミリー」もいいとこ。高い個人技に加えてお互いのことを知り尽くしているから、あの目をつぶってもつながるようなパス回しができるのだろう。もちろん回しているだけではなく、相手の陣形に隙が出たときを狙って誰かが飛び込み、そのタイミングで縦パスが入る。そういうプレーの成功率も高くなる。


 オフにマスコミを賑わせるのは目立った動き。つまり人事に集中することが多い。磐田と言えば誰だ?カレン・ロバートぐらいか?運転手さんは、このオフに磐田があまり話題に上らなかったこともあって、「今年はそんなに強いんですかね」と思ったのだろうが、だからこそ強い、とも言えるのだ。だって去年も優勝こそ逃したが1stステージ2位、2ndステージ3位、年間2位なのだから。その力を維持するだけで優勝候補であることは間違いないのだ。
 将来はわからない。逆に言えば、それ以外の選手は経験が多くない訳で、磐田は世代交代がカギだとも言われている。だけど今年について言えば、まだまだ「もつ」(失礼)だろう。


 なんだか磐田礼賛になってしまった。
 勝負はスタメン選手の出場数で決まる訳じゃない。それじゃカードゲームだ。
 サッカーは個人がやるチームスポーツ。でも今季のレッズはその「チーム」としてまだ固まってはいない。顔ぶれの豪華さでシーズン前に騒がれたが、その騒がれた理由のために(ケガもあるが)いまだにスタメンも固定されないし、フォーメーションも同じではない。200試合同じメンバーでやらないとチームにならないとは言わないが、少なくとも田中とアレックスという、近いポジションにいた2人は公式戦で初めて一緒にやった訳で、コンビネーションが今ひとつでも仕方がない。かと言って実戦でこの2人を使っていかないとチームは強くなれない。今季は最初からそういうジレンマを抱えたスタートだった。


 オフト監督のスタート時は、その前年末から「我慢だ、我慢だ」というのが合言葉みたいになっていたが、今年はシーズン前にその言葉はほとんど聞かれなかった。どっちかというと「優勝だ、リーグ優勝だ」と。しかし今こそ我慢が必要な時期なんだろうなと思いながらタクシーを降りたのだった。
 2ndステージの磐田戦は8月29日。それまでに、どこまで我慢の成果が出ているか。ありゃ!アテネで決勝まで行くと、五輪のメンバーは磐田戦に出られないのか。


 200試合かあ。でも、よく飽きないよなあ。そういう問題じゃないか。


(2004年4月6日)


<追伸>
 1日更新が遅れました。お詫びします。