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#316
記録と記憶
昨日の６日、鹿島戦を録画であらためて見直そうと思ったら、冒頭、テレビのアナウンサーが「レッズは相性の悪い鹿島が相手…」とか何とか言ったところでひっかかった。鹿島に相性が悪いとは全然思っていなかったからだ。もちろん、ここのところの話だが、向こうの方がレッズに相性の悪さを感じていると思っていた。何となくだけど。
でも数字を見たら、ありゃりゃ。リーグ戦通算４勝１分け２１敗（５日の前まで）。９９年の５月以来、勝ち星なし。こりゃ数字だけ見てアナウンサーが「相性が悪い」と言い切っても不思議はない。ただ、あの放送を見て（聞いて）「？」と思ったサポーターは僕だけではないはずだ。
たとえば大野勢太郎さんや上野晃さんが実況をしていたら、「レッズはリーグ戦では鹿島に４勝１分け２１敗と、大きく負け越しているんですが、どうもこのところの感覚としては苦手意識はなくなっているように思います」とでも言うに違いない。過去２年を見ると、リーグでは１分け３敗だがナビスコでは３勝１敗だ。とくに去年の後半はナビスコの決勝で完勝し、リーグの最終節でも鹿島を優勝の表彰台から引きずりおろした引き分け。その感覚が大きい。「優勝できるチームに行きたい」と、レッズの誘いを蹴って鹿島に行った大岩選手の気持ちは？とか、皮肉に思ってしまうほどだ。
記録に残るか記憶に残るか、という言い方をよくするが、これなどその典型だろう。数字だけ見たときの評価と、実際の感覚の違い。５日を終えてもリーグ戦では５勝１分け２１敗で、まだ勝率は２割以下だ。２ｎｄステージで対戦するときはまたその数字を挙げられて「鹿島に相性の悪いレッズ」と言われるかもしれない。いやカシマスタジアムでは１勝しかしていないのだから、データ的には最低に近い。まあ、それはどんどん宣伝してもらってもいい。苦手意識はないけれど、油断はしない。そういう状況が一番良いわけだから。
試合の後、選手に「前の２試合（清水戦と広島戦）と比べて一対一でも勝っていたし、前に前にという意識が見えたね」と聞くと、ほとんどの選手がまず「鹿島戦だけではなくて、どの試合も積極的にいくつもりでやってます」という。でも現実に局面でも勝ち、試合結果でも勝った、その違いが表われた理由について聞くと「ホーム」という言葉が出てくる。「あれだけたくさん来てくれたことが影響しないわけはない」と。
うれしいのと残念なのが半々だ。自分たちの応援が力になっているという思いと、まだこのチームはホームでなければ勝てないのか、という気持ちと。アウェーでもレッズサポーターは多いし、声だって負けていないが、メーンスタンド、バックスタンドはやはりアウェーの雰囲気だ。そこでも負けず、ホームでは満員のサポーターの力をさらに加えて快勝する、となれば最高なのだが。
記録、記憶ともに良くないのが新潟のアウェー戦。Ｊ２とＪ１という戦うステージの違い、新潟市営とビッグスワンというスタジアムの違いはあるが、アウェーの新潟戦と聞いて嫌な顔をするサポーターは少なくないだろう。だが、新しいサポーターと選手にはそんな感覚はない。選手で言うと、Ｊ２時代にレッズで出ていたのは、山田、岡野、内舘、室井に「もちろん」永井。都築、闘莉王、坪井、平川、酒井、啓太、山瀬、アレックス、長谷部、エメルソン、達也…たちは知らないのだ。何も彼らにまで記憶を分けてやることはない。
アウェー今季初勝利とアウェー新潟戦初勝利を、とここで声高に言っても始まらないが、その後の試合を見ると、味スタで東京Ｖ、アウェーで名古屋とあり、最終節はＦＣ東京だ。日本平に関しては来季に持ち越しだが、１ｓｔステージのうちに嫌な記録と記憶には全部終止符を打っておきたいものだ。
（２００４年５月７日）
＜追伸＞
リーグ戦４勝２分け２敗。ホームは全勝でアウェーは２分け２敗。記憶に目をつぶり記録だけで言うと、２敗はいずれもレッズに退場者が出ている試合。１１人で戦ったときにはアウェーでも負けていない、と強がることもできるが、これは現地に行った人の記憶と合致するだろうか。２９日のナビスコで清水にリベンジしていれば、そういう気にもなれたろうが。
あなたは記録派？記憶派？俺は都合のいい方派、だな。
＜追伸２＞新潟に住むレッズサポーターからメールをもらった。
最近の清尾さんのコラムを読んで気になることがあってメールさせていただきました。アルビレックス新潟は紙ふぶきや紙テープの投げ込みが禁止なので、ＭＤＰや清尾さんのコラムで案内していただけないでしょうか？Ｊ２時代のこともあり、あまり良い印象ではないようですが、「レッズサポーターはマナーが悪い」と思われたくありません。よろしくお願いします。
毎号のことだけど、ＭＤＰには次のアウェースタジアムの禁止事項について掲載してある。特に新潟は項目が多かった。他のスタジアムでは「紙テープ、紙吹雪の使用禁止」となっているのが、新潟の場合は分けて書いてある。別に行数かせぎではなく、それだけ厳しくするということだろう。マナーがいいとか悪いとかよりも（こんなこと書くから「甘いよ」とかいうメールが来るんだろうな）、係員ともめるなど応援以外のことで、エネルギーは使わない方がいい。