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#326
1点の重み


 まずは、6月15日にアップしたつもりだった「幻の」#323を。いま出さないと本当にガラクタになってしまうから。あらためて読んでみると、当時(そんな前か!)は通じても今になると日付など入れないとわかりにくいところもあるので多少注釈を加えた。では。


 *   *   *


 「今日はもう11人を決めた」
 あら珍しい。いつもは「9人〜10人までは決まっているが、あと1人〜2人が決まらない」と言っているのに、明日(6月16日)の柏レイソル戦のスタメンはもう決まっているんだと。A代表も五輪代表も抜けておらずケガ人もいないというのに。坪井が出場停止だけど、それでもスタメン候補(by清尾)が14人いるのに。
 いまさら何だけど、先週の土曜日(6月12日)、試合前に豊田スタジアムでアップしている控えのメンバーを見て笑ってしまった。
 山岸範宏、鈴木啓太、室井市衛、永井雄一郎、岡野雅行。
 これが控えのメンバー。さらにエメルソンが入る。そして7月からアルパイが来る。A代表、五輪代表の合宿がなく、誰も怪我せず、出場停止もなかったら、ギド監督はスタメン11人とベンチ5人に本当に悩むだろうな、と。
 ところが今朝(6月15日)のうちに決めてしまったという。昨日の囲み取材で「こういう状況だとメンバー決定に困るでしょう」と聞くと「うれしい悩みです」と言うから「僕らが(予想を立てるのに)困るんです」と返すと「あなた方は予想するだけだが、私はそれで試合をするんですよ」とギド。さぞ悩んだろうな、と思ったがもう11人決めてしまったのか。MDPのスタメン予想は、6月15日午後3時の時点でまだ固めていない。もうタイムリミット。ええい、これでいけ!はい、決めました。もう印刷にかかります。


 代表や五輪の代表の招集があるたびに2人とか4人がいなくなる今年は本当にやりにくいだろうが、全員いたらいたで悩むのはよくわかる。ギドは、相手の監督と相談して「今度の試合は13人対13人でやりませんか」と言いたくなるのではないか。それほど、「はずしたくない」選手が多い。これだけメンバーがそろっているときに負けるのは許されない。負けるどころか、明日のレイソル戦は3−0が最低ラインとでも言いたくなる。
 試合前にそんなにおごり高ぶってていいのか?
 違う、違う。3−0で勝てるなんて言っていない。最低3−0で勝たないといけない、できれば5−0ぐらいで、と言っているのだ。なぜかというと得失点差だ。
 先日(6月9日)の日本代表―インド代表戦はテレビ朝日の角澤アナがやかましかった。「最大のライバル、オマーンはこのインドに5−1で勝っています。日本は最低5−0で勝たないといけません」と、5−0でないとワールドカップ予選敗退が決定してしまうかに言う。3−0の段階では「これでは許されません!」と絶叫している。後半になってご希望の5−0になってからも「これは最低ライン。もっともっと」みたいなことを言う。まあ「これで本日のノルマ終了」などと言うとチャンネルを替えられてしまうから、引っ張るのは当たり前だが。
 しかし得失点差を気にするのはリーグ戦では当たり前。トーナメント戦だと1−0でも3−0でも5−0でも勝ちは勝ち。あまりたくさん取ったときなど「次に残しておいてくれ…」と思うが、もちろんそれは無理。しかしリーグ戦では得失点差となってあとで効いてくるから、どれほどたくさん取っても無駄にはならない。野球と違って何点取っても試合時間が延びることはないのだから、点を取る意識は常に変えずにいてほしいものだ。


 1stステージ、レッズは12節で4位になってしまった。鹿島アントラーズと勝ち点21で並び、得失点差で1負け。総得点はレッズが9も上なのだが。13日の鹿島―広島戦で中田浩二が最後に決めなければ、いやレッズが12日の名古屋戦でロスタイムに1点入れられなければ、勝てないまでも山瀬、永井、闘莉王…惜しいシュートのどれか一つでも入っていれば、いやその前の東京V戦や新潟戦でもう1点取っておけば…。
 残り3試合に全部勝つつもりでなければ1stステージ3位などとは言えない。しかし全部勝っても鹿島の成績次第では4位に甘んじてしまうのだ。この後当たるガンバやFCも成績次第で上位が狙えるから大量点は難しい。だから、まずは勝ちぐせを忘れた柏に大差で勝っておくことが大事だ。おごりではない。ノルマだ。ふだんだと3−0ぐらいからスタンドがお祭り騒ぎになってしまうこともあるが、明日は何点取っても「角澤精神」でいこうじゃないか。
 その点ではナビスコカップも同じだ。Cグループ1位の市原は勝ち点9で得失点差+8、2位のレッズは勝ち点6の+3。7月に2試合続けて対戦するが、まず第1戦を1−0でレッズが勝ったとしても、勝ち点で並んで勝ち点差で市原が3上になる。つまり第2戦引き分けで市原が上位になってしまうのだ。そうなると勝ち点6で3位の清水が大分に2勝すると、清水、市原、レッズの順になり、レッズはナビスコ予選落ちしてしまう。
 たとえ清水が大分に2勝せずレッズが予選通過できてもグループ2位だと準々決勝はアウェーになってしまう。たぶん相手は横浜Mか東京Vで遠くはないが、ホームで戦うに越したことはない。つまり市原より上に行く必要があり、そのためにはまず第1戦終了時で得失点差を逆転しておいた方がいい。第1戦3−0。うーん、リーグ戦で3−3の相手に、これは簡単ではない。
 あの駒場の清水戦で4点目、5点目を取っていれば…と今さらながら悔やまれる。最終節が近づくと得失点差の計算が盛んになるが、計算して取れるものではない。相手が「もうイヤ」とダレてきた試合では攻めが雑になっていくことがあるがとんでもない。取れるときに取っておかないと後で後悔しても遅いのだ。

(2004年6月15日)

<追伸>
 「余らせてしまってもったいない」ものがポケットにある。6月9日午後3時まで有効な吉野家の玉子or味噌汁サービス券。「あ、まだ5枚もある!」と気がついたのが7日の夜。頑張って食べたけど、2枚余ってしまった。食べられるときに食べておかないと…。


 
 *   *   *


 てな内容でした。僕は当時これがアップされたものだと信じていたから、6月16日の柏戦が1−1の引き分けに終わったとき、(ああ、恥ずかしいものを書いちゃったなあ)と思ったものだ。「ほら、清尾があんなこと書くから、3−0どころか勝ち点3も取れなかったじゃねえか!」と苦情メールの1本も来るかと思っていたのだが…。
 それは市原戦を前にした今日も同じで、「3−0なんて言ってると勝ちだって危ないぞ」という考えもあるが、やはり言っておきたい。サッカーはとにかく1度に1点ずつしか得点できない。6人抜きでゴールしようが、50mのロングシュートを決めようが、1点は1点。3−0で終わるとしたら、その前に2−0の時間帯、1−0の時間帯が必ずあるのだ。サッカーで2−0ならば快勝の部類だが、さらに3点目を狙う姿勢がないとそういう結果にはならない。
 僕がこんなことを言わなくてもわかっている人は多いだろうし、得失点差よりまず勝利が大事なのはもちろんだけど、来週の第6節が終わったときに、「ああ、先週あそこでもう1点取れていれば…」と悔やむことだけは避けたいから、何度でも口にしてしまう。
 うちは得失点差、総得点の重みを何より知っているチームのはずだから。

(2004年7月16日)

<追伸>
 でも今日の話題は五輪最終メンバーなんだろうな。珍しく僕もちょっと気にしている。シドニーのときもアトランタのときも、こんな感覚はなかった。五輪メンバーに選ばれればナビスコの第6節と、2ndステージの開幕から最多で3試合出られないのは知っていてもできれば4人全員が行ってほしいと思う。日本のため、というより彼らのため。レッズとの掛け持ちでヘトヘトになりながらここまで頑張ってきた彼らの苦労が報われてほしい、という気持ちが強い。もちろん、日本チームにはあの4人の力が欠かせないだろう、という思いもある。さらには、4人がレッズからはずれた場合、どういうメンバーがスタメンを構成して、それが今季のレッズにどう生きてくるか、というドライな気持ちも少しはあるのだが。


<追伸2>
 16日、予定の午後2時をだいぶ回って開始された記者会見。達也と闘莉王はそれぞれ8番と13番のユニフォームを着て現れた。それを見れば、もう後ろを見る必要はなかったのだが、やっぱり他の2人が続いて姿を見せることを一瞬期待してしまった。去年の5月、僕が初めてあのチームを取材に行ったU−22代表時代のニュージーランド戦。ゴールを決めた山瀬の遠慮がちなガッツポーズと、レッズでは当時見せなかった大声を出して仲間に指示する啓太の顔が、記者会見の間中、頭の中にチラチラしていた。席に座って話す達也と闘莉王に喜びの表情はほとんどなく、沈痛な面持ちと言ってよかった。五輪メンバーの選考について言いたいことはあるけど、何を言っても啓太と山瀬の無念を晴らすことにはならないだろう。今は、2人がレッズの試合で爆発的なプレーをしてくれること。そして達也と闘莉王が五輪代表として、ケガなくかつ群を抜いた活躍をしてくれることを願う。
 
達也は8番、闘莉王は13番のユニフォームを着て会見に臨んだ。2人とも、厳しい表情を崩さず、特に闘莉王は終始憮然としていた