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COLUMN●コラム

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#330
下から聞こえた「WE ARE REDS!」



 ちょっと焦っていた。余裕を持って会場についたつもりだったが、駐車スペースを探すのに手間取り、取材受付をして撮影用の荷物をほどきはじめたのはキックオフの2分ほど前だった。しかもピッチはそこから3mほど下にあり、準備をしている場所からはまったく見えない。予定は3時開始だが、実際どんな具合なのか、ぴったり始めるのか遅れ気味なのかわからない。
 笛がなった。準備はまだ終わらないが、とりあえずストップウォッチは動かす。そのとき…、
 「WE ARE REDS!」
 聞き慣れたフレーズが、聞き覚えのある声質で下のピッチから響いてきた。
 誰が来てるんだ?ようやくセットし終えた2台のカメラとノートなどを抱えて斜面に作られた階段を降りていくと、ピッチの外のフェンスに「男塾」のダンマクが。去年もあったな、あれ。


 日本クラブユース選手権U−18決勝。2003年8月5日、Jヴィレッジのスタジアムにもそのダンマクは張られていた。レッズユースは広島ユースに0−3で敗れ準優勝に終わったが、スタンドの様子はそれまでレッズが決勝に進出したときとは少し違っていた。かつては選手の家族中心の応援風景だったが、昨年のスタンドにはクラブのスタッフがほぼ総出で駆けつけ、また家族とは思えないファン、そしてトップの試合のゴール裏で飛び跳ねているサポーターたちがいた。スタンドの空いたスペースには、もうクラブ関係者にもすっかりおなじみになった「YOUNG REDS」のダンマクはもちろん、少し泥臭い匂いのする「男塾」などもあった。ユースチームはレッズの一員。将来のレッズを支える若者たち。サポーターの間にそういう認識が浸透してきた感じだった。


 冒頭に書いたのは2004年8月1日、その第28回大会グループリーグの初日だった。日曜日ということもあるだろうが、グループリーグ段階からサポーターが応援に駆けつけていることに少々驚き、そして非常にうれしかった。
 レッズが下部組織の位置づけを強めたのは2002年から。明確にプロ選手の育成を第一の目的とし、おなじレッズのファミリーとして
トップとの一体化を図ってきた。指導者を増やし、独自のトレーナーも置き、練習場を整備。ユースの選手をサテライトグループの練習に入れ、サテライトリーグでも数合わせではなくメンバーの一員として試合に起用してきた。強化指定選手は寮に入れて、プロ選手と同様の生活をさせるようになった。
 そういうクラブサイドの変化に加えて、サポーターも下部組織の試合をトップ並みに見る人が増えてきた。6月26日の埼スタでは、FC東京戦の前座試合としてU−13チーム同士の対戦が行われたが、通常のボーイズマッチとは違い、スタンドのサポーターも声援に熱が入ったようだ。それにこたえて中学1年生たちも、体格で圧倒的に劣るFC東京チームに必死で立ち向かい、1−0で勝利。みごとにトップチームの露払いを務めた。
 トップと同じユニフォームに身を包み、サポーターの声援を受けて試合をすることが、高校生、中学生たちにとってどれほど励ましになるか。トップの試合を観戦するたびに、将来はレッズの選手として、この雰囲気の中でプレーしたい、と感じているだろうが、それを夢から目標に近づけるもの。それが家族や指導者以外の人たちからの応援、ダンマクやコールなのだと思う。そう思うと、この日のキックオフ直後のコールが「WE ARE REDS!」だったのも、「お前たちはレッズの一員だ、俺たちの仲間なんだ」と伝えているようでうれしい。


 日本クラブユース選手権U−18では、過去1回優勝、2回準優勝と、悪くない成績を残しているレッズユース。今回は、このコラムを書いている間にグループリーグを突破したことがわかった。2勝1分けで2位グループの2位という、ギリギリの成績での決勝トーナメント進出だが、ゴルフじゃないから予選の結果は関係ない。
 準々決勝は横浜Mと5日の14時半から。勝てば準決勝は7日の14時からFC東京と広島の勝者と。決勝は8日の14時だ。会場はいずれもJヴィレッジ。決勝はスタジアムで行なわれる。
 4日に会ったサポーターは「毎日応援に来たいけれど、仕事もあるのでそうもいかない。7日には来るので、そこまで残っていてほしい」と語っていた。今年は特にサテライトでもおなじみの大山俊輔をはじめ、知っている選手も多く、僕も取材をしていても熱が入る。さあ今日もそろそろ出かけよう。勝って、土曜日にも、そして日曜日にも、もっと大きな「WE ARE REDS!」を聞きたいものだ。今度はちゃんと準備を終えて。
 Jヴィレッジまでは浦和から車で約3時間。常磐高速に乗って「広野」で下りれば、迷うことなく10分後には会場に着く。

(2004年8月5日)

<追伸>
 大会のレギュレーションを説明しておくと、全国から予選を勝ち抜いた24チームが出場。4チームずつ6グループに分かれ予選リーグを行い、上位8チームが決勝トーナメントに進出する。8チームとは、各グループの1位チームと各グループ2位チームの中で成績を比べた上位2チーム。レッズは大宮ユースに○1−0、枚方フジタに○1−0、FCみやぎに△1−1。勝ち点7、得失点差2で並んだFCみやぎに総得点で下回り、Fグループの2位になった。他グループではBグループ2位の磐田が勝ち点7で得失点差6。ほかの2位は勝ち点5以下だったので、レッズが2位チームの中では2番目の成績となった。すなわち8チーム中8位の成績とも言える。
 
このダンマクはユース専用だそうで
 
関係者にはすっかりおなじみのダンマク。みんな感謝しています
 
「土曜日また来るからな」と試合を終えた大山俊輔に声をかけるサポーターたち