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#339
ナビスコ決勝チケットの販売に一考、いや二考、三考を


 あらら。
 ヤマザキナビスコカップ決勝のチケット販売方法が発表になった。10月11日(月)10時発売開始。準決勝の翌々日である。11月3日が決勝だから、早すぎるという訳ではない。が、心配だ。去年の経験は生かされているのだろうか。そしてサポーターの希望は反映されているのだろうか。非常に気になる。


 今回の発表を見ると、自由席大人が1,500円と安くなっており、さらにホーム側、アウェー側、という区別がない。これって前進と見ていいのか?もちろん、安いのは歓迎だが。
 一昨年から昨年にかけてはバックスタンドの上段を自由席にするという改善があった。これにより両チームの自由席のサポーターの席割りがフレキシブルになった。
 そして今回はホーム、アウェーの区別撤廃。自分の側の自由席が完売しても迷わず反対側の自由席を買うサポーターが多いだろうが、やはり区別がない方が買いやすい。その限りにおいては前進と言えるが、ただ、気になるのは自由席の売れた先を調べる方法はどうするのか?ということだ。それがわからないと、どっちのサポーターがどれくらい来るのか判断できず、警備がやりづらいだろう。発券したプレイガイドの住所とかで調べるのかもしれないが、今回のベスト4の顔ぶれを見ると、決勝は浦和レッズvsFC東京、または浦和レッズvs東京ヴェルディとなる(言い切ってるな、お前)。都内在住、在勤のサポーターが多いレッズなんだから、東京で発券されたチケットがどっちのサポーターが買ったのか判断できない。まあ埼玉県内の東京(どっちか)サポーターもいるだろうが。それは神奈川だって千葉だって同じことが言える。
 サポーターが実際に買うとき、つまり発券するときに「ホーム側、アウェー側、中立」を指定するというシステムはできないのだろうか。レッズの自由席で、大人、小中の区別は発券のときでいい、というシステムになっているのだから、不可能ではないはずだ。できるプレイガイドだけでもやっていけば、かなり数字が正確に把握でき、バックスタンドのどのあたりに仕切りを設ければよいかの判断材料になるはずだ。


 さて、もう一つ。去年の騒動から、ぜひやってほしいこと。
 それは、決勝に進んだ両クラブにある程度のチケットを譲渡し、販売を任せてほしい、ということ。去年みたいに1,000枚とかいう「焼け石に水」的な数じゃなく。
 これによりクラブはサポーターに対してサービスすることができる。どこのクラブでも、年間チケットとか、ファンクラブとか、形式はいろいろでも、ふだんからスタジアムに来てくれているサポーターが特定できるはずだ。カップ戦の決勝という晴れの舞台にチームが進むというときには、毎試合、応援に来てくれているサポーターたちを、ホンの少しでも優遇してあげたい。どのクラブもそう考えるはずだ。ぜひこの制度を確立してほしい。
 譲渡する枚数は、各クラブに任せればいい。といっても青天井にするとレッズの犬飼社長なら「じゃ、うちは全部もらう」と言いそうだから上限は決める。そうだな、仮に決勝の一般売りチケットが5万4千枚としたら3分の1の1万8千枚を上限とすればいい。これなら両クラブが上限いっぱい引き受けたとしても、3分の1の1万8千枚は残るから、それを一般販売のオンラインに乗せればいい。
 何も1万8千枚全部を引き受ける義務はない。そのクラブが検討して必ず身内でさばける数を1万8千枚以内でJリーグに申請すればいいのだ。たとえばレッズならシーズンシートが1万2千枚出ているから、その人たちが希望すれば必ず買えるようにするために、最低でも1万2千枚は必要だろう。
 「うちは常連サポーターゼロだから1枚もいらない」というクラブがあってもいいし、「うちは(常連サポーターゼロだけど見栄があるから)1万枚くれ」というクラブがあってもいい。Jリーグは、両クラブから申請された数の合計を除いたチケットを一般販売すればいいのだ。各クラブのサポーターで、常連扱いされていない人は、仕方がないから一般販売で買ってもらうしかない。でも常連サポがロッピーなどに並ばなければ競争率も相当下がる。
 ファンあってのJクラブ。嫌らしい言い方をすれば、「お金を出してスタジアムに来てくれる」ファンあってのJクラブだ。自分たちのクラブにお金を落としてくれるファン、サポーターを大事にして何が悪い。JクラブあってのJリーグなのだから、もっとJクラブを大事にしてくれ。クラブが引き受けた分のチケットのマージンは別途相談すればいい。とにかく大事なのはファン、サポーターでしょ。


 ナビスコカップの大会方式は「現実に即して」毎年のように変わるんだから、決勝のチケット販売方法だって「現実に即して」変更したっていいだろう。
 2001年までは、レッズがそんなことを提案しようものなら「は?せめてベスト4に入ってからそういう心配すれば?」と言われただろう。しかし02年、03年と決勝のチケット騒動が起きた訳だし、今年も堂々と準決勝に進んでいる。物申す資格は十分にある。
 別にレッズだけにそういう必要があるとは思わない。関東のチームでなくても、今の新潟が決勝に進めば、かなりのサポーターが日本海側から押し寄せてくるだろうし、仙台がJ1に昇格した場合だって、そういう可能性はある。
 「常連サポーター優先販売」はどのクラブだってありがたがるはずだし、それを面倒くさがるようなクラブは利用しなければいいだけだし。


 10月11日一般発売開始、ということを決めてしまったから、これは変えられない。しかし今からでも変更できることはある。ベスト4のクラブに「決勝に進んだらチケットは何枚必要か?」という問い合わせは今からできるし、各クラブは準決勝の前に「決勝に進んだら、常連サポーターにはこういう方法で優先販売をします」という告知をしておけばいい。本当は優先販売期間が先にあって、その後に一般販売、というのがスムーズだが、今回はもう仕方がない。
 レッズで言えば、妥当な線はやはり1万2千枚のシーズンチケットホルダーかな、と思う。予選リーグと準々決勝のチケットの半券を4試合分以上持っている人、とか後援会への配慮もあっていいが、数の事前把握ができない。駒場では指定席だが、国立では自由席が欲しい、というシーズンホルダーも多いだろうが、そのシフトは今回難しいだろう。
 それじゃ、シーズンシートを持っていない人への逆差別だ、という声もあるかもしれない。シーズンシートを持っていないから、毎回苦労してホームゲームのチケットを入手し、応援してきたサポーターの立場は?
 たしかにこれが100%の解決方法だとは思わないが、そもそも需要>供給なら100%が満足する解決方法などない。サポーターの熱さに序列をつけるようでイヤだが、シーズンホルダーが確実にチケット入手できるとなれば、一般販売の競争率はかなり緩和されるはずだ。まずはそこから始めていいのではないか。それがうまくいけば、来年はチケット半券保持者とかにも枠を広げていけばいい。


 今からそんな準備をするのは、JリーグもJクラブも大変だと思うが、サポーターの負担を少しでも軽くしようとするなら、努力してみてほしい。もっと早く提案すれば良かったのかもしれないが、やはり予選リーグ中だと「まだ準々決勝にも行っていないのに、何浮かれてんだ!」と言われそうだったから。
 僕は浦和レッズがサポーターの利益を真剣に考えてくれるクラブだと信じているし、そういう努力をしてくれていることも知っている。先のボーダフォンカップで雷雨中止となったマンU戦観戦予定者には、ナビスコ準々決勝のチケットとオリジナルタオルマフラー贈呈をしてくれた。内容には賛否両論あるかもしれないが、あの中止にレッズは何の責任もないのだから、これはサポーターの無念な気持ちを思いやるクラブの誠意と僕は受け取っている。
 その誠意で、Jリーグを揺さぶってほしい。もう時間があまりないが、ぜひお願いしたい。今からだと、「一考したが無理」と言われてしまうかもしれながい、ぜひ二考も、三考もして実現してほしいものだ。

(2004年9月22日)


<追伸>
 新潟戦の山瀬のアクシデントは僕のほぼ目の前だった。
 山瀬が、ドリブルでペナルティエリアの中に入ったとき、新潟のDFの足が山瀬の左足にかかったように見えた。
 ファウル!
 とっさにそう思ったが、山瀬は倒れなかった。少しバランスを崩しながらもゴールを狙うのか、と思った。
 しかし倒れた。アドバンテージによるプレーオンだと思っていたから主審の笛を待ったが、鳴らなかった。一方、僕の目には体をうつ伏せに起こしながら芝をたたいて痛がる山瀬が映っていた。もうPKなど、どうでもよかった。
 あの山瀬が、のたうち回って痛がっている。尋常な事態ではない。ドクターの仁賀先生が走って来た。試合が止まっているのか続いているのかもわからなかった。先生は、いきなり両手で×のポーズ。早すぎる。患部を見ている時間もなかったはずだ。山瀬が自分で言ったとしか考えられない。となれば一度経験している、じん帯のトラブルだから自覚できたのか。
 担架に乗せられ運ばれる山瀬を僕はずっと見ていた。新潟のサポーターが担架に向かって罵声を浴びせているのがわかった。ふだんなら睨みつけて写真の1枚も撮っているだろう。ただ、そんな低劣な奴らはどうでも良かった。レッズに来て1年9ヵ月、リハビリから始まり、サテライトで始動、トップ復帰、先発復帰、レッズ初ゴール、ナビスコ決勝ゴール、そして今のトップパフォーマンスに至る過程が、頭の中に流れていった。

 
 約2年前のケガと同じ、前十字じん帯断裂。足が逆の左というだけだ。同じ苦労をまた繰り返すのか、という思いと、前回も治ってここまで復活したのだから今度もまた治る、という確信が交錯する。唯一の光明は、前回は約4カ月間札幌にいて、年明けから浦和でリハビリを再開したが、今回は初めからヒザの権威、仁賀定雄ドクターに診てもらえ、一貫した治療、リハビリ計画が立てられるということだ。それでも、どこまで短縮できるか。
 いまレッズがこの位置にいる。そのことに大きく貢献してくれた山瀬。誰もそのことを忘れるはずがない。今後も山瀬と一緒に闘う。それならば来季、山瀬が復帰したとき、レッズはチャンピオン&カップウイナーとして存在していなくてはならない。
 10月17日のMDP246号で、山瀬功治と、現在リハビリ中の坪井慶介、両選手に対するサポーターの思いを特集する。次回、9月26日のMDP245号で募集するので、ぜひ参加してほしい。