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#341
ジュニアユース


 浦和レッズのジュニアユースが県大会で優勝した。第13回埼玉県ユース(U−15)選手権。県内のクラブチーム(U−15)と中学校のサッカー部が一緒に参加する大会で、U−15年代の埼玉県一を決めるものだ。


 知っている人にはくどくどしい(から次のパラグラフまで飛ばして読んでほしい)が、わからない人のために説明すると、U−15、つまり中学生年代のサッカーチームには二種類ある。中学校のサッカー部とクラブチームのU−15チームだ。サッカーの場合は登録制度がきっちりしていて、チームとしてサッカー協会に登録し、かつ選手個人がそのチームの所属メンバーとしてサッカー協会に登録しなければ、公式試合には出られない。また1人の選手が2つ以上のチームに登録することはできない。たとえば、中学生がどこかのクラブチームに入っていたら、通っている中学校のサッカー部では登録できないし、中学校の公式大会に助っ人みたいな形で出場することはできない。


 さてレッズの話だ。今回優勝した県大会は高円宮杯第16回全日本ユース(U−15)選手権の埼玉県予選を兼ねていた。
 クラブチームには日本クラブユース(U−15)サッカー選手権という全国大会があるし、中学校サッカー部には全国中学校サッカー大会という全国大会がある。で、全日本ユース(U−15)選手権というのはクラブチームと中学校サッカー部が一緒になって行う大会だ。つまり中学生年代の日本一チームを決める大会だと思えばいい。レッズの前身に当たる、浦和スポーツクラブのジュニアユースチームが第7回大会で優勝している。中学2年生の千島徹が出場していた。
 全日本ユース(U−15)に出場するには、県大会で2位以内に入って関東大会に進み、関東大会で上位5以内に入らなければならない。浦和レッズのジュニアユースなら、とりあえず県で2位になるのは順当で、関東5位以内も何とかなるだろう、と思うかもしれないが、
そうでもない。県内のクラブチームの強豪どころは、レッズと大きな力の差はないし、対戦するとなると指導者も選手もJクラブの下部組織であるレッズジュニアユースには並々ならむ闘争心を燃やしてくる。
 まあ、そこをねじ伏せてこそプロの予備軍だし、各チームの良き目標なのだが、今季のレッズは今ひとつ調子が出ない。夏の日本クラブユース(U−15)選手権は、県予選で4位。準決勝で大宮アルディージャに敗れ、3位決定戦ではクマガヤSCに負けた。県で6位以内が関東予選に出られるから、そこで雪辱を期したが一次リーグで敗退、宇都宮チェルトというチームには勝ったが、三菱養和SS、厚木FCに敗れ1勝2敗という成績だった。
 今回の県大会は9月4日から始まったが、その前に掲載された埼玉新聞の展望には優勝候補にも挙げられていなかった。これだけJクラブの下部以外にこれだけ負けたのだから無理もなかった。


 それでも2回戦、3回戦は順調に勝った(1回戦はシード)。そして準決勝、つまり関東大会に進めるかどうかのポイントとなる試合は9月23日に埼スタ第3グラウンドで行われた。相手は坂戸ディプロマッツFC、去年もベスト4まで進んだチーム。僕は朝イチで望月三起也先生の原稿(MDP用)を引き取りに行き、その足で(車だけど)埼スタに向かった。キックオフは11時半。夜はFC東京とのリーグ戦、その後は徹夜でMDPの作業、と長い一日の始まりだった。
 あんぐり。前半3分にDFラインの裏にボールを出され、そのまま決められて失点。あんぐりしたのはそのときではない。その2分後にほぼ同じようなパターンで2点目を決められたからだ。35分ハーフの前半5分で0−2。2得点した坂戸の大野翔太郎君の飛び出しと決定力は素晴らしかったが…。
 まさか、このままでは終わらないだろうが、2点のビハインドは小さくない。何よりも向こうは「レッズに勝ってる!」と気持ちが乗っている。11分に池西佑樹が少し遠目からシュート。これが決まって1−2。これでだいぶ流れが変わった。レッズペースと言っていい。だが追いつけない。シュートがDFやGKの正面を突く。つまり坂戸の守りが堅いのだ。後半になっても同様の試合展開。攻めるレッズ、守る坂戸、そして時々ロングボールから坂戸のカウンター。
 19分、坂戸のFW(たぶん大野君)が抜け出した。シュートの体勢に入るが倒れる。PK。
(ああ、こういうパターン、何度も見てきたなあ。あと1点を追いかけて優勢になりながら、PKで突き放されて万事休す…)と頭の中で思いながらカメラを構えた。GKの富居大樹が右へ飛ぶのとキッカーが蹴るのとほぼ同時に見えた。弾いた。まだ終わらない。
 GKがPKを止める、というのは流れが良くなるような活力を味方に与える。それからのレッズは、残り15分間という時間のこともああるだろうが、必死さが増した。しかし時間は過ぎる。レッズの攻撃が失敗に終わるたびに、坂戸の応援席から拍手が起こる。浦和レッズを破って関東大会に出場、という最高の場面が近づいて来るのだから当然だ。
 33分、高橋大樹が左からクロス。ボールはファーまで流れ、ゴール前では合わない。取りに行くGKと白いユニフォーム(レッズはセカンドだった)が交錯。ボールがネットを揺らした。あら。
 ごめんなさい、僕の位置からはゴール越しだったのと、ファーに流れていくと思って山崎家光の土壇場の同点弾の写真はない。


 規定により10分ハーフのVゴール方式延長戦。それまでと同じような流れだった。ときどき坂戸のカウンターがヒヤッとさせるが、GK富居の飛び出しも良くて、守りは大丈夫。しかし得点も入らない。そろそろ前半の10分が終わる。僕は移動の準備を考えていた。延長の場合、ハーフタームはほとんどない。選手がエンドを交代したらすぐに始まる。ゴールの後ろでカメラを構えている人間は、GKよりも長い距離を動いてキックオフに備えなければならない。Jリーグのスタジアムと違って周りがせまい第3グラウンド、どうやってスムーズに移動するか…。
 笛。坂戸の反則だった。時計は10分を回っている。レッズのFK、これがおそらく前半最後のプレーだろう。ペナルティエリアから5mくらい後ろ。中学生に直接ゴールはないだろう。が、ゴール前に詰める構えの選手たちを片目で見ながら、FKのキッカーにカメラを合わせる。キック。あ、狙ってる。ボールはGKの手を越え、ゴールを揺らした。Vゴールを見るのはいつ以来だろう。
 とりあえずホッとした。ホッとはしたが大喜びする気にはならなかった。坂戸の選手たちは本当に気の毒だったから。僕は、7月のナビスコ予選リーグで倒れこんだジェフの選手たちを見るときのような気持ちとはまるで違った。やっぱり、この年代の取材では、「相手」ではあるが「敵」ではない。


 関東大会は10月30日から。16チームが4チームずつ4グループに分かれて予選リーグを行い、各グループ上位2チーム(だから8チーム)で決勝トーナメントを行う。まずは予選リーグを勝ち抜くこと、そして決勝トーナメントの1回戦(準々決勝)に勝てばベスト4だから全国出場だ。負けたら、敗退4チームによる5位決定トーナメントに回り、そこで2回勝てば5番目の切符を手に出来る。関東大会になると、おそらく横浜Mや鹿島、柏といったJクラブのチームが出てくるだろうから、簡単ではないが、とにかくこのチームを全日本大会で見たい。関東大会の会場は各地。組み合わせは10月16日に決まるから、わかったらまた報告する。可能なら一緒に応援に行こう。

(2004年10月1日)
 
関東大会出場を決めた浦和レッズジュニアユース   前半11分、池西佑樹が1点を返しペースをつかむ
 
GK富居大樹。立ち上がり2失点したが、その後はカウンターによく対応して、ゴールを許さなかった。後半19分にPKを止めたのは大殊勲(その写真は別の媒体に掲載)   後半33分、土壇場で同点ゴールに追いついた。左から2番目が得点した山崎家光
 
同点ゴールは高橋大樹のこのクロスから   Vゴール。直接決まると知っていればもっと大きく撮っていたんだが…