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#357
46試合


 ふだんから感覚が世間とズレ気味なのかもしれないが、この季節は特にそうだ。先週なんか、週末でも五十日(ごとおび)でもないのに
やけに道が混んでるな、と思ってふと気づいたら、そうか12月か。
 偉いお坊さんも走る、というほど忙しい師走だが、今の気ぜわしさは年末のそれではない。たぶん、みんなもそうだろう。「12月19日」というのは天皇杯でF東京と当たる日であって、あと10日で御用納め、という日ではなかった。だから、もちろん12月25日は、レッズが初めて天皇杯の決勝進出を決めるはずの日であって、キリスト教の始祖の誕生日だなんてことは全然頭になかった。


 準決勝に進むのは4回目だが、今シーズンは過去3回と比べて決定的に違うことがある。リーグ戦30試合+チャンピオンシップ2試合、ナビスコカップ予選リーグ6試合+決勝トーナメント3試合、そして天皇杯がここまで3試合。戦ってきた計44試合は、今季J1のどのチームよりも多いということだ。
 リーグ優勝の横浜Mは30+2+6+1+2=41試合で終わった。ナビスコカップを持って行ったF東京は30+6+3+3=42試合で終了。
 天皇杯ベスト4の東京Vは30+6+2+3=41、G大阪は30+6+1+3=40、磐田は30+6+3=39。あと2試合あったとしても、いずれも44には届かない。
 試合数が多いことを威張っている訳じゃない。厳密に言えばプレシーズンマッチの数はチームによって違う。ゼロックススーパーカップや、アジアチャンピオンズリーグ、A3など、前年シーズンの成績によって出られる大会もある。選手個人は日本代表や五輪予選、本大会などを数えると紙合数の凸凹はもっとある。
 今季の日本の大会にすべて勝ち進んできた幸せ。忙しさの中に、それを感じる。これまでナビスコ決勝トーナメント、チャンピオンシップ、天皇杯など、他のチームが試合をしているときに指をくわえてテレビを見ていた。あるいは知らないフリをして酒でも飲んでいた。だが今年は違う。日本中でここしかやっていない、という試合に3回出場した。もちろんそういう試合で勝てなかった悔しさも多く経験した訳だが、「こんなことなら、この前で負ければよかった」なんて言うヤツは1人もいまい。
 もう1つ勝てば、レッズの年間公式戦は46試合となる。これが2004年の国内三大大会で挑戦できる全試合だ。そして、もう1つ勝つということは、初の元旦決戦を迎えられるということ。2つのタイトルをPK戦で持って行かれた悔しさを晴らすチャンスが来るということだ。
 12月25日は、単なる準決勝ではなく、2004シーズンの準決勝。そういう気がする。


(2004年12月20日)


<追伸1>
 19日の勝利は、ナビスコカップ決勝の雪辱という意味でも、タイトルへ一歩近づいたという意味でも重要なものだったが、歴史的にも大事な1勝だった。何かというと、99年から続いていたホームスタジアムでの敗戦で天皇杯を終える、という歴史にピリオドを打った、ということだ。
 天皇杯は優勝しない限り負けて終わるのは仕方がないが、92年は国立(東京V)、93年は栃木グリーンスタジアム(横浜F)、94年博多の森陸上競技場(C大阪)、95年万博競技場(G大阪)、96年国立(東京V)、97年鳥取バードスタジアム(G大阪)、98年丸亀陸上競技場(清水)が、それぞれのシーズンを終えた場所だった。ところが99年は駒場(柏)、00年も駒場(C大阪)、01年は埼スタ(C大阪)、02年は駒場(福岡)、03年も駒場(湘南)。5年連続して自分たちのホームスタジアムで終焉を迎えてしまっていたのだ。その屈辱をストップしたのだから、これは新しい歴史が始まる予兆に違いない。
 磐田、鹿島を連破して旧勢力に引導を渡すのか、Jリーグ開幕戦でG大阪に負けた記憶を天皇杯決勝で払拭するのか。どちらにしてもまずは準決勝だ。12月25日午後3時、久しぶりの国立ホーム側。残念ながら今度も僕はゴール裏で応援する訳にはいかなくなった。それぞれの場所で会いましょう。


<追伸1の追伸>
 磐田、鹿島を連破?鹿島はもうガンバに負けたぞ。すみません、東京Vでした。決勝の相手が東京Vだとすると、これまた因縁が…。どっちにしても、まず磐田に勝ちましょう。


<追伸2>
 このコラムの面倒を見てくれている人の事情で、今週いっぱいは「ご意見ご感想」にメールを送っても僕に転送されない。何か急な情報や意見などがあったら直接MDP編集室へ。HAG03546@nifty.ne.jp


<追伸3>
 やっぱり突っ込みがきたので、本文を少し修正した。突っ込みの内容は、横浜Mの試合数に日本で行われたACLのホーム3試合を入れないのは変で、それを入れると45でレッズより多い、というもっともなもの。本コラムの趣旨は「こんなに試合数が多くて疲れているのにレッズは偉いだろう」というものではないから、前シーズンの成績によって出場資格を得るACLやA3は含んでいない。全チームが仕切り直しして、ヨーイドンで始まる大会で全部の試合に出場している、という趣旨なので、まぎらわしいからスーパーカップも除いた。