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COLUMN●コラム

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#358
飛行機の速度


 年2回、盆暮れには家族3人で石川県の実家に行く。最近は「帰省」という言葉を使うのがためらわれる。「帰る」という意識がだんだん薄れてきたからだ。両親も暮らしている18歳まで育った地は忘れられないが、浦和に住み着いて今年でもう24年目。その半分をレッズとともに過ごしたおかげで僕の「浦和度」は急速に高まってきた。
 そんなことはともかく、交通手段は夏はお盆のピークをなるべく避けて車で、冬は早めに予約して飛行機で、というのが定番になっている。天皇杯でレッズが決勝に進んだら僕だけは飛行機をキャンセル、と決めているのだが、悔しいことにキャンセルしたことがない。多くのサポーターが元日までの進撃を信じて決勝のチケットを買っているのだから、僕もいっそ飛行機を予約するのをやめようかと思ったことが何度かあるが、臆病者だから去年も12月31日の羽田−小松便を3枚取ってしまった。
 こっちに帰ってきたのは1月2日。飛行機の車輪が羽田の滑走路に着いて、体に衝撃が来たとたん、あることがひらめいた。それが今日の本題。


 飛行機が上空を飛んでいるときの速度ってたしか時速800km前後だったと思う。車の時速60km、電車の80km、新幹線の200kmに比べて大変なスピードだ。でなけりゃ落ちちゃうんだから当然だが。
 だが気流が悪いとき以外は、そのスピードは感じない。10分の1以下で走っている電車や車の方がスピード感を味わうことができる。飛行機のスピードを一番感じるのは着陸の瞬間だけかもしれない。さすがに速度は800kmから相当落としているだろうけど、車や電車よりは早いはず。それが地面に着いたときの衝撃はかなりのもので、急速にブレーキがかかるその感じと合わせて自分たちがどんな速さで動いていたかがわかる。


 2004年のレッズは間違いなく過去最高の強さだった。タイトルこそ取れなかったが、初戴冠の2003シーズンよりも安定した戦いぶりだった。公式戦45試合で、29勝5分け11敗(チャンピオンシップは1勝1敗で計算するのが妥当かな、と)。国内公式大会での獲得賞金2億2千万円(1stステージ4千万+ナビスコ5千万+2ndステージ1億+チャンピオンシップ1千万+天皇杯2千万)は「賞金王」(マリノスが次のスーパーカップで勝っても1億6千万にしかならないはず)。数字で見ても明らかだ。
 ただ矛盾する言い方だけど、レッズの強さをある意味で一番感じたのは、勝っているときよりも勝てなかった試合のときだったかもしれない。シーズン終盤の試合で言えば、逆転勝ちのリーグ清水戦や天皇杯東京戦。10人で勝ったリーグ広島戦などは、もちろんレッズの底力を感じてうれしかったが、今思い返すと2ndステージ初黒星のFC東京戦や、2ndステージ以降の横浜F・マリノスとの試合も、レッズが強くなったんだということを証明したようなものだったような気がする。
 滑走路に着地して初めて飛行機の速さが実感できるように、相手が必死になってあらゆる手練手管でレッズを止めようとしてくることで、自分たちの実力を知る。そんな試合が確かにいくつかあった。それも2003シーズンまでにはなかった感覚だったのだ。


 2004シーズンは残念ながら必死の相手に止められた。2005シーズンはそこに勝っていかないといけない。圧勝でなくてもいい。僅差であろうと最後の関門で勝つ。その積み重ねが、シーズンを終わってみればレッズの圧勝ということになるのだ。
 あと2勝していれば二冠だった。いやナビスコの決勝で1点、チャンピオンシップの第2戦であと1点取っていれば二冠だったのだ。「そこでの1点」を取りこぼさないために、さらに磨きをかける。2005年のシーズン前にそういう準備をしてほしい。
 勘違いしてはいけない。去年、二つのタイトルに王手をかけた、PK戦までいったからといって、今年が決勝からやらせてもらえる訳ではない。チームはゼロからではないが、勝負はゼロからのスタートだ。相手はどこまで強くなってくるかわからない。選手の補強にせよ現有戦力のスキルアップにせよ、レッズもさらなる強化は絶対に必要だ。2ndステージで3位になって「来年こそ」と意気込みながら、降格してしまったのが6年前だ。
 年も明けた。2004シーズンの成績を語り草にするのは、次にタイトルを取るまで箱に仕舞っておこう。その箱が玉手箱にならないうちに、チャンピオンになることを誓いながら。


(2005年1月4日)


<追伸>
 謹賀新年。
 昨年12月28日の午後、天皇杯のことや1年のことを最後に書こうと思ってパソコンに向かい、サイト管理者からのメールを確認して驚いた。「最終更新は28日」だと思っていたら「28日の午前まで」とある。「午前」の文字を見落としていた。
 という訳で、2004年のコラムが尻切れトンボみたいな終わり方になってしまったことをお詫びします。今年も週1回の更新を絶やさぬよう頑張ります。