Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#009
人間くささ
 山瀬、マリノスのユニフォーム似合うじゃん。というか、サッカー選手はどんなユニフォームを着ても、似合わないなんてことはなく「誰々に何々のユニフォームは似合わない」などというのは多分に気持ちが作用している。サックスブルーのユニフォームを着てカッコいい選手は赤いユニを着ても映えるはずだ。
 15日の日産スタジアム、山瀬へのブーイングがすごかったから目立たなかった訳でなく、片山義継主審はほとんど目立っていなかった。覚えているシーンはいくつかある。少し危ないファウルにはきっちり注意したシーン。マリノスのアドバンテージをしっかり取ったシーン。ロスタイムにエメが河合のタックルで転ばされたときに流したシーン。
 僕から見ると、エメへのチャージはもっと取ってくれてもいいと思うが、全体に流し気味だったから仕方がない。ある人なら最後の場面で迷わずエメのシミュレーションを取っていただろうし、ある人ならアルパイにイエローカードを出していたかもしれない。結局、出たイエローカードは1試合で1枚。片山さんは、あまりカードを使わずに試合をコントロールしていたと言っていいのではないか。あくまで観戦者としての感想で、専門家はまた違う見方かもしれないが。

 Jリーグの人に「ビデオをジャッジに取り入れないんですか」と聞いたとき、「それをやったらおしまい。人間が判定するからサッカーなんです」と言われたことがある。たしかにそうだと思う。判定の一部にでも機械を取り入れたら、あれもこれも、とだんだんその範囲が広がっていくに違いなく、人間が関わる部分がなくなってしまう。
 しかし判定そのものには機械の力を借りなくても、判定の評価にはビデオなどを参考にするべきだろう。試合中にミスジャッジがあったとしても判定そのものは変わらない。それはいい。しかし、あとでその審判が自分の仕事を検証するのに、あるいはJリーグやサッカー協会がその審判の評価をするのに、ビデオは十分有効だろう。
 そのビデオで、ボールが手に当たってゴールインしたとか、相手の足に触れずにボールをさらうタックルだったとかが明らかになったとしても、得点やPKが取り消されたりすることはない。ただ、ミスジャッジであったことははっきりさせていいんじゃないか。その後のペナルティに関しては何とも言えない。アマチュアとプロの審判が混在している現状で、どういうペナルティを課していいのかわからない。ただアマチュアの審判は、試合の割り当てがなくても、本業で給料がもらえるが、プロの審判は試合の割り当てがなくなると食えなくなる(完全歩合制なら)のは事実だ。出場停止になった選手の収入が減るのと似ている。

 僕の頭にいまだに引っかかっている光景がある。4月28日の磐田戦で、試合が終わって引き上げていくときの岡田主審だ。ギドがスタッフに止められながら、何やら食って掛かっているとき、彼はわざわざ立ち止まって「何だ?言いたいことがあるなら言ってみろ」という顔をしていた。
 Jリーグでは試合の後審判団が引き上げるとき、わざわざガードマンに付き添わせる場合もある。何事もなくスムーズに審判を帰すためだ。それなのに、不利なジャッジをされた方の監督が何かを言いにきたときに、なぜ立ち止まる必要があるのか。スタスタ帰ってしまえば何事も起こりようがないのに、あれではまるでギドが自分の体に触れたり、汚い言葉を吐くのを待っているかのようだ。もっと悪く言えば挑発しているようにさえ思える。でも、機械ではなく人間なのだから、誰かが自分に何かを言いに来たら立ち止まって聞いてしまうのも仕方がないのかもしれない。

 審判も人間。自分のチームに不利なミスジャッジをされたときは悔しいが、それも含めて、人間がやっているから面白いのだと思う。それぐらいの度量は持っているつもりだ。だからこそ、「判定はくつがえらないが、あれはミスでした」と認める度量が審判と審判委員会にあってもいいんじゃないか。
 15日の横浜M戦で永井がゴールを決め、タッチライン沿いで仲間の祝福を受けていたとき、「早く戻りましょう」と促していた安食副審は笑顔だった。少なくとも僕の写真ではそう見える。安食さんがレッズの先制点を喜んでいたとはまさか思わないが、周りの選手たちが心の底からうれしいとき、そのムードを受けて「もらい笑い」してしまうことはあるだろう。人間なのだから。
 実は、その写真を見て、岡田主審のあの姿をまた思い出してしまったのだ。だから更新早かったのか?
(2005年5月16日)
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