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Weps うち明け話
#028
代償
「鹿島戦の、退場に関しては反省しています。水曜日の千葉戦の1点目のことも多少は頭にありました。本当にレッズに勝ってほしいから、あの場は熱くなってしまいました。これを最初で最後にしたいと思います。
 これからも今まで通りのプレーをして、サポーターに楽しいサッカーを見せていきますので、残りの試合も変わらずサポートしてください」(9月10日・MDP267号から)

 9月3日の鹿島戦でプロ生活初の退場処分を受けた闘莉王は、「サポーターに伝えてほしい」とこう言ってきた。
 柏原主審の不味い試合さばきはもう多く語られているし、自分の下手さを選手に指摘されるとカードで黙らせようとする性格も、長くJリーグを見ている人には半ば常識。そもそも日本で一番熱くなることが確実なカシマスタジアムでの鹿島−浦和戦に、あの人を割り当てたことにイエローカードを出したいね。
 しかし、それと闘莉王の退場は切り離して考える。もちろん主審のジャッジなのだから密接不可分なのだけど、不味いジャッジはジャッジとして批判しても、闘莉王の2枚目のカードの原因となった行為は間違いなく警告だし(1枚もらっていることを本人が自覚していたかどうかはともかく)、そのあとさらに詰め寄ろうと(つかみかかろうと?)した行為は、仲間が止めなければ大変なことになっていた。だから深く反省するのは当然だ。クラブから言われた訳でも、記者から質問された訳でもなく、自分から反省のコメントを出してきたところに彼の潔さを感じる。
 だが、退場の代償は鹿島戦ではなく、次の大分戦に来た。誰もが闘莉王不在の大きさを言う。もちろん敗因はそれだけではないが、セカンドボールがなかなか拾えなかったあの試合、ロングボールへのファーストコンタクトが闘莉王だったら、もう少し展開が違っていたかな、と試合中思ったものだ。

 出場停止明けの広島戦。始まってすぐの接触プレーで左ハムストリングを痛めながら戦っていた闘莉王だったが、2−2の後半9分、広島のカウンターでガウボンがフリーでドリブルを始めるや、猛烈に追いかけた。真後ろから見ていた僕は後ろからのタックルで闘莉王が退場になることも覚悟した。(せめてエリアの手前で)などと思ったことも告白しよう。
 しかしガウボンの足の遅さも幸いしたと思うが、肩を入れる正当なチャージでブロック。ルーズになったボールを都築が抑えて事なきを得た。しかし、このプレーで闘莉王の左脚の後ろは肉離れを起こしてしまった。彼が防がなければかなりの確率で2−3と逆転されていたから、彼の負傷は広島戦の勝利の代償と言っていい。
 そして診断の結果4週間の戦線離脱。本人は17日後の「ナビスコ準決勝に出る」と無茶を言っているが、果たしてどうか。

 鹿島戦と広島戦、字も似ているが、闘莉王の「活躍」(鹿島戦は「」付き)でチームは勝ち点1または3を得、その代償として翌節の試合(以降)を本人が欠場、という状況も似ている。しかし翌節の結果まで同じにする訳にはいかない。横浜M戦は絶対に勝つ。そう思っていたら…。
 21日のスポーツ各紙に闘莉王の診断結果の記事が載っていた。この時期に4週間の離脱は痛い。確かにそれはそうだ。だが、これでレッズの優勝が難しくなったと言われると、ちょっと待てよ、と思う。中には、「浦和逆転優勝に赤信号」などという見出しもあった。信号は「青が進め、黄色は急げ、赤は勝負」だと言うやつもいるが、もちろんそういう意味ではないだろう。「赤信号」とは無理ってことか?

 大分戦にはもう一人、出場停止の選手がいた。こういう言い方をすると出ていた選手に申し訳ないが、大分戦は闘莉王だけでなく、堀之内聖も警告累積で出られなかったことが決定的に痛かった。そう思う。
 レッズをよく見ている記者なら気がつくはず。今季、堀之内が3バックの中央を務めた試合は負けていない。引き分けもあるが、守備の選手としては負けていないことで、まずは十分のはず。それどころかゴールも2つ挙げている。広島戦でも交代出場してすぐに惜しいヘディングシュートを放っている。
 闘莉王という代表クラスの、しかも個性たっぷりの選手の陰で、目立つ存在ではないが(ホリの性格はMDP264号に詳しい)、他のチームにいれば当然レギュラーの実力を持つ。試合に出たり出なかったり、という一番コンディションの維持が難しい位置にいるが、出たときにはきちんと仕事をしている。レギュラーではない必死さ、坪井、平川の同期に先を越された悔しさが、プレーでプラスに作用している。
 闘莉王の「活躍」の代償は確かに小さくないが、ホリの真ん中でのプレーが見られるという楽しみもあるのだ。
 昨日21日、本人に聞いたら新聞記事は見ていないという。
 読め、ホリ。闘莉王がいないとレッズはダメ、みたいに短絡的にいう新聞を見て、ホリのエネルギー源でもある「悔しさ」を充填するといい。
(2005年9月22日)
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