Presented by 埼玉縣信用金庫
Weps うち明け話
#043
再び、他会場の結果
 12月3日、レッズが2−0で折り返したハーフタイム。新潟スタジアムで「他会場の経過」が放送された。川崎F1−1G大阪、C大阪1−1F東京。
 大型画面にはいっぺんに表示されていたが、アナウンスを最後まで聞くことはできなかった。レッズサポーターの「ウォリアー」がスタンドに響き渡ったからだ。
 レッズが勝ち、C大阪、G大阪が引き分け以下ならば、レッズの優勝が決まる。悪い状況ではない。しかし、コールリーダーはそんなことに気を取られるな、とばかり「ウォリアー」を叫んだ。レッズサポーターなら誰でも知っている。このコールの目的は、心を一つにすること、試合に集中すること、気持ちを引き締めること、早く言えば「緩むな!」である。
 この日、とにかくレッズは勝つしかなかった。優勝するためだけでなく、自分たちが少しでも納得のいく闘いをしたと思えるシーズンにするために、勝つ。そのためにG大阪やC大阪がどうなっていようと関係ない。後半に集中するぞ。
 僕は「ウォリアー」が聞こえたとき、心の中でうなずいていた。多くのサポーターも同じ気持ちで叫んでいたに違いない。
 後半、4−0になってからはさすがに2試合の経過が気になったが、携帯のサイトを見ようとは思わなかった(見方がわからない訳じゃないぞ!)。試合中だからだ。ゴール裏で応援していたサポーターたちはどうだったろう?
 リーグ戦だから他会場の経過、結果はもちろん気になる。しかし自分たちが闘っている最中に、それを知りたいとは思わない。知ることで気持ちが変わってしまうかもしれないから。気が萎えるか、気が緩むか。燃えることもあるかもしれないが、もともと精いっぱい闘っているのだから、これ以上燃えようがない。闘うときに、目の前の試合以外の余計な要素はなるべく少ない方がいい。
 僕が勝手に代弁して申し訳ないが、レッズサポーターの気持ちはこういうことで共通していないか?

 昨日、あるサッカージャーナリストがスポーツ紙に「試合中に他会場の結果をアナウンスで流せ」というコラムを書いているのを見た。
 その筆者は最終節、長居スタジアムに行ったらしいが、優勝の行方がこういう複合した状況のときは、観客は他会場の様子を知りたいはず。そうすれば観客に新しい楽しみを提供できる。現場(チーム)は嫌だろうが、それがプロのサービス。最終節の前に、そういう提案をこのコラムでしたにも関わらず、実施しないJリーグは情けない、という。
 その筆者はたしか「リーガ・エスパニョーラ」が好きだったと記憶しているが、ではスペインではそういうシステムなのだろうか。
 でも、Jリーグで実施することに僕は反対だ。たしか広島ビッグアーチでは、試合中に電光ニュースのようにビジョンで流していたと思ったが、それを目にしたときはいつも、邪魔だな、と思っている。
 たしかに知りたい人もいるだろう。特にマスコミ関係者は、場内放送があると便利だ。だけど、その筆者もコラムで「わたしが足を運んでいた長居スタジアムでも、多くの観客は試合を見ながら携帯電話の画面にも目をやっていた」と書いているように、今は携帯で簡単に知ることができるのだからから、どうしても試合中に他会場の結果を知りたかったら携帯電話を持ってくればいい。「知りたくない」人にまで無理やりに耳に入れる必要がどこにあるのだろう。
 新潟のスタッフがこの筆者と同じように、チームと一緒になって闘っているサポーターの気持ちが理解できない人だったら、あの試合中に、「C大阪2−1F東京」「川崎F2−4G大阪」と流すかもしれない。そうすれば、数千人のレッズサポーターのうち、ほんの何人かはやる気をなくすかもしれないし、選手も足が止まるかもしれない。それで新潟に点が入るチャンスが生まれたかもしれない。
 でも、もちろん新潟のスタッフはそんなことをしなかった。もし今後、新潟が優勝争いの真っ只中になったとしても、そんなアナウンスをさせないスタッフであってほしいと思う。
 ファンサービスは必要だが、余計なお世話をしないことも、成熟したプロのサービスなのだ。
(2005年12月9日)
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