「小野伸二復帰、どうですか。サポーターの中でも賛否両論あるじゃないですか」
ないない。「否」はないよ。
土曜日、サッカー誌の編集者から電話をもらい、冒頭の問いかけに即座に答えた。
たしかに去年の暮れに「戻ってくるかも」という話を聞いたときも「まだ早い」という意見はあった。でも、それはレッズサポーターだけに共通する確信があったからだ。小野伸二は将来必ず浦和レッズに戻ってくる、という。それがなくて、どうしてあれだけの選手がレッズに来るというのに「まだ早いんじゃない?」などと余裕かましていられるものか。
だけど気持ちはわかる。UEFAカップは取ったもののリーグ優勝はしていない。オランダリーグだけでなくイングランドとかスペインとかイタリアなど他のヨーロッパリーグで活躍する姿を見たい。俺たちの小野伸二は絶対にそれができるはずだ、と。そういう意味では消極的な「否」ではあったかもしれない。
サポーターの多くには、もう一つの確信があるはずだ。小野伸二はもう一勝負するだろうな、という。
まだ26歳。小野のプレーは年齢が上がってさび付くものではない。レッズでしばらくプレーして、もう一度ヨーロッパへ出て行くチャンスはあるはず。もう一度来る別れ。サポーターはそれも覚悟しているだろう。
ずっと「浦和の小野」でいてほしい気持ちと、「世界の小野」を証明してほしい気持ち。どっちが理性でどっちが本能か悩む。
世界の小野伸二は本籍浦和レッズ。この4年半も勝手にそう思っていたが、来年のACLで優勝すれば、現住所も浦和のままで世界に挑戦できるじゃないか。それも、天皇杯優勝でもう出場権は得ているがそれに安住せず、今季のリーグを仲間と一緒に制して欲しい。これが今の僕の本音だ。
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