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Weps うち明け話
#076
クラブユース
 先週は、お盆休みだった人が多いんだろうか?8月は全体的にそうなのだけど、特にこの時期は市内の道が空いていたり、お店が閉まっていたりして、僕も休み気分になってしまう。でも、実は他の時期よりも疲れた一週間だった。12日(土)のF東京戦快勝の後、美酒の会に誘われたけど数杯で切り上げて…、

13日(日) サテライト仙台戦/ユアスタ(仙スタ)
14日(月) クラブユース高田FC戦/Jヴィレッジ
15日(火) 国体少年の部関東予選/栃木県壬生町
16日(水) クラブユース広島戦/Jヴィレッジ
17日(木) クラブユース京都戦/Jヴィレッジ
18日(金) MDP製作/浦和
19日(土) クラブユース清水戦/Jヴィレッジ→Jリーグ鹿島戦/カシマ

 車の走行距離はどうだったろう?カウントしておけばよかった。当初の予定では12日と13日もJヴィレッジのクラブユースに行くつもりだったけど、試合時間の都合が悪く、Jリーグとサテライトの試合に間に合わないのであきらめた。
 どの試合も内容が詳しく報道されないから、こんなときこそこのコラムで速報したかったが、更新が休みということで断念した。体は疲れたけど、充実した一週間だったし、ふだんとは少し違う仕事で頭はリフレッシュしたかもしれない。ではたまったものを放出していこうか。まずは、レッズジュニアユースが3位になった第21回日本クラブユース選手権について。

 知っての通り、昨年のレッズジュニアユースはクラブユースと高円宮杯の二冠を制したことで、全国から注目されている。ところが今年の中学3年生で、昨年レギュラーだったのは1人だけ。大会メンバーに登録されていた選手は少なくないが、去年の中学3年生のレベルが高く、ほとんど出番がなかったのだ。だからチームは優勝し、自分もメンバーに入っていたものの「全国二冠」という肩書きは自分のものではない。今年こそ、自分たちの手で全国制覇を、という気持ちが強かった。それが事前取材で感じたことだ。なお文中、敬称略。そして長いよ。

<高田FCに0−4!びっくり>
 4チーム中2位以上が通過するグループリーグで連勝。2位以上を確定し、僕が取材した最初の試合が14日の高田FC戦だった。こちらも2勝で予選通過を決定。どちらがグループ1位になるかという気持ちに余裕のある試合だったが、駐車場がいっぱいで、やや遅れて行ってびっくり。いきなりPKを決められて0−1。まあ、面白くなったかな、とカメラをセットしているうちに、サイドを破られ0−2。あれ?とカメラを持って座り直したが、またもシュートを決められ0−3。結局、前半にもう1点奪われ、そのまま0−4で負けた。
 僕はこのチームが負けるのを見たことがなかった。関東大会では準決勝と3位決定戦で敗れたが、その試合は見ていないし、スコアも2試合とも2−3の惜敗だった。Jの下部組織でないチームに、0−4の大敗。それも後ろからポーンと蹴って、ゴール前の高さで勝負、などという一か八かのサッカーではなく、ドリブルで持ち込み、間合いを詰められたらパス、という個人技と組織力が融合したサッカーだった。レッズは最初のPKによる失点で浮き足立ってしまったのかもしれないが、頻繁にオフサイドにかかり、1点も取れなかった。
 決勝トーナメント進出は決まっているとは言え、僕も少々ショックだった。選手たちがうまく切り替えられるか心配だった。それと勝手な都合を言わせてもらえば、グループ1位で通過すれば決勝トーナメントは1回戦から準決勝まで、すべて11時開始の試合になった。それが2位通過だと全部1時半開始になる。時間の使い方を考えれば11時の方がありがたかったのだ。

<うれしかった加瀬、森田の活躍>
 16日。決勝トーナメント1回戦の相手はサンフレッチェ広島。グループリーグを3戦全勝して上がってきた。今大会の優勝候補という説もあったが、レッズが勝った。前半に先制し、後半PKで追いつかれたが、延長前半に決勝点を挙げた。
 この試合でうれしかったのは、高田FC戦で前半のうちに交代した両サイドバック、加瀬と森田がゴールに絡んだことだ。高田FC戦では、失点に絡んだことで、気落ちしたと監督が判断したのかもしれない。DFの選手にとって、失点してから交代するのは屈辱だったろう。しかし加瀬は広島戦で先発し前半29分にCKからきれいなヘディングシュートを決めたし、森田は同点にされた後に交代出場し、延長前半3分に得意の右クロスで葺本のヘディングシュートをアシストした。俺は負けちゃいないぞ!という心の声が聞こえてくるようだった。

<京都の戦術に目が点。でも作戦勝ちか>
 17日。2回戦で京都サンガと対戦。始まってびっくりした。京都はマイボールでほとんど攻めてこない。4バックのDFが「ていねいに」回し、たまに守備的MFに当てるが、レッズが詰めると前を向くこともなく、ダイレクトでDFに戻す。振り子のようにDFラインを往復するうちに、レッズの対応もズレて来るから、たまにはサイドハーフにも渡る。さあ、来るか!と緊張するが、ドリブルでもパスでもコースが少ないと、何の逡巡もなく戻す。横パスではなくノーリスクで真後ろに戻す。「慎重」という言葉では不十分なほど勝負に行かない。前半のボールポゼッションは70パーセント以上京都だったろう。レッズはレッズで様子を見ていることが多く、たまにボールを奪っても、引いたDF複数につぶされシュートにいけない。カメラのシャッターをあまり切らないまま35分が終わった。
 不気味だった。もしかして、このテンポに慣らしておいて、一気に速攻を仕掛けて来るんじゃないか。何かとんでもない切り札を隠しているんじゃないか…。記録を見ると、グループリーグでは札幌に8−0、大宮に2−0と勝っているし、1回戦も2−2でPK勝ちだった。ここまでの総得点はレッズより多いじゃないか(笑)。
 後半、レッズは勝負に出た。前半は相手の最終ラインまでは詰めていかなかったが、どんどん積極的にアタックにいった。それが奏功して、京都のファウルを誘い、やや遠めのFKを得た。キッカーは大里。実は前半の唯一惜しい場面は、この大里のロングシュートがバーを叩いた場面だった。期待した。大里が直接ゴールを狙ったボールがカベに立っていた京都の選手の手に当たりハンドの判定。このPKをキャプテンの石沢がしっかり決め、ついに均衡を破った。後半の6分だった。
 レッズは相手に反撃の機会を与えず、FW礒部が前線からプレッシャーをかけにいき、CKを奪う。これを葺本がファーサイドでヘディング。2点目を得た。もう京都は勝負に来るしかない。もともとパスが正確なチームだから、レッズもたびたびサイドをえぐられる。しかし2点をリードした余裕もあって、しっかり守りきった。正直言って前半からこういう戦いだったら勝敗がどう転んでいたかわからない。京都の他の試合を見ていないから何とも言えないが、もしかして「浦和レッズ」の名前が京都にこういう戦術を採らせたのか?

<2点を追う後半、怒涛の攻め>
 19日。今日勝てば決勝進出で、高円宮杯出場権を得られる。関東予選でも負けないと思うが、やはり権利は確保しておきたい。準決勝から会場はスタジアムになる。選手たちのモチベーションはさらに上がるはず。
 今日はダブルヘッダー。このあと、カシマスタジアムへ移動してJリーグ鹿島戦だ。何時間かかるか未知の道(大ウケ)だが、たぶん何とかなるさ。
 相手は清水。東海地区予選優勝の強豪だ。立ち上がりは互角。だが徐々に中盤を清水のパスワークで抜けられるようになる。19分、右サイドをえぐられゴール前に送られたところを詰められ失点。速攻ではなかった。人はいたが、うまく回されてしまった。さらに28分、中央から持ち込まれ、やはり回されて2失点目を喫した。清水のシュートは前半この2本だけ。レッズは挽回を狙って前に急ぎすぎ、縦パスが前線に合わないことが多かった。
 35分ハーフで2点のビハインドはきつい、と思った僕が間違っていた。記録を見るとレッズのシュートは後半12本、清水は3本。怒涛の攻撃と言っていい。しかも前半のように前線にいきなり合わせるのではなく、サイドをていねいについていく。9分、右サイドハーフの矢島がドリブルで抜け出し、シュート。これはGKに防がれた。しかし、その1分後左スローインから池西がクロス。矢島が飛び込んでヘッド!写真を見ると、矢島の頭から汗が飛び散っている。この1点でペースをつかんだ。20分、矢島が右サイドをドリブルで駆け上がる。DFをかわしてクロス。中央から走りこんだ利根川がドンピシャヘッド。同点。池西が抱きつく。石沢も来る。残り時間は15分、完全にレッズのペースだ。
 タッチラインに8番が立つ。左ヒザを高田FC戦で痛め、1回戦、2回戦をベンチ外で応援していた原口。この試合、ベンチ入りしていたものの、左脚に巻かれたテーピングを見れば出場は難しいと思っていたが、ハーフタイムに右足で強烈なシュートを何本もゴールに叩き込み、出る気満々だった。「原口が入ったぞ!気をつけろ」と清水の選手からも声が飛ぶほどの存在。過剰反応ではない。彼のドリブルを止められるDFは少ない。さっそく左サイドを破ってクロス。後半から入った高瀬が懸命に脚を伸ばすが届かない。なれば、と遠目から自分でシュート。GK正面。32分には原口から葺本と渡って最後は矢島!
 35分で2点はきつくなかったが、3点はきつかった。延長。カシマスタジアムへの移動時間が心配になるが、頭から振り払う。

<3位の表彰式>
 延長は10分ハーフ。の前半も流れはレッズで、原口を軸に攻め立てるがゴールを割れない。8分、逆襲を食らう。またゴール付近で回され、失点。延長前半の清水のシュートはこれ1本だった。
 後半。PK戦になって、カシマスタジアムに行くのが遅れてもいいから、もう一度同点にしてくれ。できるはずだ、と思っていた。だが9分、今度は中央からシュートを決められる。2点差は…。選手たちの最後まであきらめない姿に、もう一度カメラを手にする。
 準決勝で敗れたチームは、その場で3位の表彰式がある。誰もうれしいはずがない。取材する方だってつらい。だが、君たちには次がある。高円宮杯全日本ユース選手権。中学校が入ってくる分、クラブユース選手権より狭き門になるが、この大会で学んだことを忘れず、埼玉県予選、関東予選を勝ち抜いてくれ。そして12月の冬休み。国立での決勝に顔を出してほしい。もちろん、その試合の後には浦和レッズが天皇杯の準決勝を戦うはずだ。
(2006年8月22日)
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