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Weps うち明け話
#086
逆王手
 あせった。
 ワシントンがPKをはずしたときは、誰でも「うそ!」と思っただろうが、僕は二重にあせった。
 最初のPKのとき、甲府の秋本が2回目の警告で退場になった。相手が1人少なくなってすぐに点を取るのが必勝パターン。でないと0−0でもいいと、ガチガチ守られてしまう可能性がある。そこを決められなかったのは残念。
 でもそれだけでなく、僕の頭の中には、「残り3試合の1試合目」「相手が退場」「でもまだ無得点」…、という事柄がパッパッと浮かび、ありゃ2003年の清水戦と同じ状況か?と思ってしまった。一昨日「#85」を書いた後には、「お前があんなこと書くから嫌なこと思い出しちゃったじゃないかー!」という抗議メールは来なかったが、万一このまま勝てなかったら今度こそ殺到するかな、と思いながらハーフタイムを過ごしていた。後半、ワシントンのヘディングシュートが決まったときには、僕も天に感謝したい気持ちだった。

 さて本題。
よくブッフバルト監督が「我々はガンバの試合に対して何も影響を与えることはできない。自分たちの試合に集中するだけ」と言う。そりゃそうだ。だけど、千葉戦、福岡戦、川崎戦、横浜M戦、そして昨日の甲府戦。こうまでレッズのホームの節の度にガンバが勝点を落としているのは、ホントに偶然か?と疑ってしまう。試合時間が同じときなんかは、もしかしたら埼スタからレッズサポーターの声が違う会場にまで届いていたりして。
だからこのところスタジアムでは試合後、2倍、3倍の喜びであふれている。横浜M戦の後なんて、場内放送の朝井さんの「それは本日行われた他会場の結果を…」という声がはずんでいるのを聞いて、結果を知らない僕も(ははあ、ガンバからフロンターレが負けたな)と察しがついたけど、川崎がF東京に負けたというアナウンスのときの歓声は、数分前の試合終了のときより大きかった。
名古屋からの復路は、「甲府戦で決めるぞ」と意気込んでいた往路よりもだいぶ気が引き締まっていた。そして必勝3試合の第1戦はしっかり勝った。それだけでいいはずなのに、またもガンバが引き分けというおまけがついてきた。最終節まで持ち込まれることを覚悟していたのに、これで東京戦で優勝が決まる可能性が出てきた。もちろんうれしい。
26日に勝てば文句なし優勝、引き分けてもガンバが引き分け以下なら優勝、もし負けてもガンバが引き分け以下ならやはり優勝、ということで可能性は高い。そしてこの日に決まらなくても、優位な状況で最終節を迎える。優勝に一番近いところにいるのはレッズだ。
しかし、それは間違いないけれど、まだ優勝していないことも事実なのだ。ネガティブなことを考えるな、といわれそうだが、レッズが26日に優勝しなかった場合、どうなるかを想像することも大事だ。

 もしレッズが負けてガンバが勝ちだったら。これだと勝点差が2になり、ガンバにとっては最終節は「射程距離内」だ。
レッズが引き分けてガンバが勝ち。そうなると勝点はまた3差に戻るけど、この日ガンバが京都に4−0で勝ったらどうなる?現在6ある得失点差は2になる。そうすると最終節で万一レッズが1点差で負けたら、総得点の差で優勝を持っていかれてしまう。
レッズのホームの強さを疑うものではないが、相手も「勝てば優勝」という状況になったら、これまでの相手とは比べ物にならないほどの力を出してくるはず。もちろん「勝てば優勝」はこっちも同じだが。
野球の日本シリーズで相手が3勝して優勝に王手をかけた後で、こっちが踏ん張って3勝3敗にしたら「逆王手」と言う表現をする。相手も王手なのは変わらないのに「逆王手」の方が有利なように思えてしまう。それと同じ現象がガンバにも起こるのだ。
最終節まで持ち越したくない、などと弱気なことを言う気はさらさらない。最終節のホームでガンバを破って初優勝、というシチュエーションにもちょっぴり憧れるが、そんな客席気分でいてはいけない。去年のガンバより早く優勝を決めた方がいいに決まっている。

 どの新聞も申し合わせたように「浦和王手」「浦和王手」と書いているのを見て、もしかして「G大阪逆王手」という見出しも用意してないか?と疑ってしまったので、くどくど書いた。ホントに言いたかったのは、これ。
引き分けでも負けでも可能性があるし、駄目でも最終節がある、なんてことは忘れて、あさって勝って決めましょう。
(2006年11月24日)
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