Weps うち明け話 文:清尾 淳

#367(通算#732)

もう1試合、あと1試合

 リーグ戦が終わってからの練習には独特の雰囲気があるように思う。
 最終節から何日後に天皇杯があるか、にもよるが、まずは若干のオフがあり、オフ明けからしばらくはリーグ戦終了のリラックスしたムードがまだ残ってい る。それが徐々に試合前のモードに戻っていくのだが、次の試合で負けたら即オフになるため、リーグ中の練習とは少し違う雰囲気を感じるのだ。

 この仲間との時間をしっかりと味わっておきたいという、たとえば卒業式を数日後に控えた学校にも似た雰囲気(30数年前と今とは違うか?)がある。
 同時に、卒業式とは違い、別れは自分たちの頑張り次第で少しずつ先送りできるということもある。あるいは、リーグ戦で出場機会の少なかった選手は、今度こそと出番を求めてアピールする。試合形式の練習に、いつもより熱が入っているように感じるのだ。

 そして今季は天皇杯優勝を目指すモチベーションを何倍にも高めるものがある。

  明日の天皇杯4回戦は、原口が急性盲腸炎の手術をしたため、梅崎が名古屋戦で負った右脚のケガのため、欠場が濃厚だ。練習ではワントップに達也とポポが交 代で入っていた。おそらく2人のうち、どちらかが先発、そしてどちらかが交代出場という形になるのではないかと予想される。
 もし負けたら、レッズのユニフォームを着た達也とポポを見るのは、それが最後になる。2人に対する選手たちのリスペクト、親しみの気持ちを考えれば、最 後にしたくない、もう1試合、あと1試合、一緒に戦いたいという思いが、試合の大きなモチベーションになることは間違いないだろう。
 また達也、ポポの2人も、レッズでもう1点、あと1点取ることを自分に課しているようだし、レッズのユニフォームを脱ぐのは元日の国立競技場で、しかも天皇杯を掲げた後で、と考えているはずだ。

 もちろんサポーターも同じ気持ちでいる。
 ピッチとスタンドの気持ちがしっかりと一つになった闘いが明日、熊谷で繰り広げられる。

 ONE MORE MATCH WITH T&P

(2012年12月14日)

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