Weps うち明け話 文:清尾 淳

#369(通算#734)

次の畑に向かう人

 12月23日、天皇杯準々決勝がなくなったので、浦和駒場スタジアムで行われた、第5回埼玉県女子サッカー選手権の決勝を取材に行ってきた。浦和レッズレディースユースが武蔵丘短期大学と対戦し、3−2で競り勝った。レッズの優勝は2年連続3度目だった。  相手の武蔵丘短大は関東女子リーグでも戦ってきたチームで、順位はレッズが4位で武蔵丘短大が5位だったが、レッズにとっては2敗した相手で、雪辱を果たしたいチームだった。

 関東リーグでの試合と同様、武蔵丘短大のうまさにポゼッションで上回られ、苦しい立ち上がりだったが、そこで失点せず粘り強く戦ったことで徐々に互角の展開になり、前半にレッズが2点を挙げた。  後半は、逆にレッズがペースをつかみ、武蔵丘短大がカウンターを狙うという立ち上がりで、その中で後半11分までに同点に追いつかれてしまった。

 嫌な流れだった。前半2−0から追いつかれた試合を、先ごろ見たからだ。  10月13日、皇后杯全日本女子選手権の関東予選。勝てば全国大会に出場できる、日本体育大との一戦だった。体力的に勝る相手に、しっかりボールをつないで前半2点を先制。しかし後半、徐々にペースが落ちて同点とされ、延長の末、PK戦で敗れたのだった。  大学生相手に前半2点のリードを守り切れず、振り出しに戻されたのは同じ。デ・ジャヴのような感覚に一瞬とらわれた。だが、それがすぐに払拭されたのは、その後のレッズの試合ぶりだった。前半のような粘り強さを取り戻し、相手に攻撃を組み立てさせなかった。  結局、後半17分に勝ち越し点を挙げ、そのまま勝ちを収めた。

 前日の22日、レッズレディースが皇后杯準決勝で敗れ、1週間前にはトップチームが天皇杯4回戦で姿を消していた。埼玉県大会とはいえ、公式戦で浦和レッズが優勝した試合を1年の最後に取材できてうれしかった。  もっと、うれしかったのはレディースユースの選手たちの成長ぶりだった。関東リーグで2戦して勝てなかった相手に勝ったこと。後半2点差を埋められるという嫌な流れに飲み込まれず勝ち切ったこと。そういう結果のみならず、試合を見ていて、それぞれの選手がうまくなっているのがはっきりわかった。  考えてみればレッズレディースユースの選手たちは中学3年生から高校3年生までと若い。この日先発した11人の内訳は、高3が2人、高2が3人、高1が3人、中3が3人だった。伸び盛りの年代にある彼女たちは、1年と言わず半年、2〜3か月の間で大きく変わることもある。「3日会わざれば括目して見よ」とは、何も男子に限った話ではないのだ。  この選手たちが近い将来、さらに力をつけて浦和レッズレディースの選手としてなでしこリーグで活躍するのは非常に楽しみだ。そういうところはレッズユース、ジュニアユースとトップチームの関係と同じで、この仕事をやめられない理由の一つでもある。

 

 ああ、だけどムラさんは、そのときレッズレディースの監督ではないのか。

 22日、村松浩レディース監督の退任が発表された。2008年から5シーズン指揮を執り、2009年にはレッズレディースとして初のリーグ優勝も果たした。ぜひ今年の皇后杯で優勝して、退任の花道として欲しかったが、残念ならが準決勝で惜敗した。  レディース監督と女子部門の総監督を兼任し、全体の強化のために中1から高3までだったジュニアユースレディースを、昨年から中2以下のレディースジュニアユースと中3以上のレディースユースに分けた。その成果はまずレディースユースで表われている。来年になれば、もっと顕著になると思う。だが、レッズレディースにまで反映されるには、まだ時間がかかる。  育成の仕組みを作った中心のムラさんが、その成果を自分の手で確かめられないのは残念だが、決まった以上は仕方がない。

 そもそもアカデミーセンター長として、レッズユース、レッズジュニアユースの育成システムや選手の獲得の仕組みを2002年から改革した中心もムラさんだった。その第一期生である山田直輝たちがユース最終年代になる2008年、ムラさんはアカデミーセンターを離れ、レディースの監督に就いた。本音を言えば直輝たちがユースで日本一となり、その後プロになって活躍していくところをアカデミーセンターの責任者として見守りたかっただろうが、そのときも「残念だけど仕方がない」と思った。詳しくは「#138」に書いてある。  次の職場はまだ知らせれていないが、レッズのスタッフでいることは変わらないだろう。今度は2人で隣り合ってレッズレディースの試合を観戦し、「あの子が高校生(中学生)のときは…」などと話す、そんな仲になるのかもしれない。

 ムラさん。5年間、お疲れ様。来年から、また新しい畑を耕し種を蒔く、そんな仕事になるんですかね。及ばずながら俺も手伝います。頑張ってください。 (2012年12月26日) EXTRA  来年1月4日から7日まで、大阪のJ−GREEN堺で全日本女子ユース選手権が行われるが、この浦和レディースユースが3年ぶりに出場する。2012年の最後をレディースユースの優勝で締めたのだから、2013年は同じくレディースユースの優勝で明けたいもの。  ということで、年明け早々から取材に行って来ます。オフィシャルサイトで報告しますので、ご注目を。

(2012年12月26日)

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