Weps うち明け話 文:清尾 淳

#371(通算#736)

涙を笑顔へ

 明けましておめでとうございます。  本年も、よろしくお願い申し上げます。

 年末の「#369」で書いたとおり、大阪に来ている。  JOCジュニアオリンピックカップ第16回全日本女子ユースサッカー選手権。  浦和レッズレディースユースは昨日の準決勝で、日テレ・メニーナに惜敗した。  面白い試合だった。U20女子日本代表やU17女子日本代表選手7人を擁するメニーナに、序盤は試合を制された。中盤でボールを回され、1対1の場面でもなかなか奪えない。だが我慢強く守り続けるうち徐々に盛り返し、マイボールの時間が長くなる。  こういう時間帯が一番危ない。相手に攻め続けられ自分たちのサッカーができなくても、守備に集中しているうちは失点しないが、少しずつ本来のサッカーを取り戻し攻撃の時間が増えて来たときに、守備が手薄になり失点してしまうことが、ままある。

 しかし今季のレディースユースは、その自分たちの時間帯になったときに、しっかり得点まで持って行くのが特長だ。昨年、大学生との試合で、そういう場面を何度も見てきた。昨日も、その予想どおり前半25分にゴール前で相手の守備が少し甘くなったところを塩越柚歩が判断良く飛び込んで先制した。  だが5分後、少し緩んでしまったのか、ゴール前でボールを回され失点してしまった。身体をしっかり寄せて守っていた序盤とは違った展開だった。さらに41分、ビルドアップのボールを自陣で奪われ、その対応からPKを与えてしまい、逆転された。  1-2で迎えた後半。レディースユースは序盤のサッカーに立ち返った。点を取りにいかないと負けてしまうという状況に焦ることなく、相手の攻撃をしっかり抑えることをまず心がけた。さらに徐々にボールを奪ってから攻撃に転じるときの速さやコンビネーションが良くなり、メニーナゴールを襲う機会が前半より格段に増えた。  32分、石井咲希が右から上げたクロスはエリア手前でルーズボールとなり、後半から入った青木知里が左足を一閃。ややドライブのかかったシュートはGKの頭上を越えてネットを揺らした。  この得点で、取り戻しつつあった流れを一気に引き寄せた。今度は相手に攻撃の手を渡すことなく攻め続けた。39分には中村みづきのクロスを上野紗稀がヘディングシュートし、GKの手を弾いてバーに当たるビッグチャンスもあった。41分には相手ゴール前で混戦になる場面もあった。  この1点がそのまま決勝点になる時間帯だった。

 流れが止まり、メニーナが反撃を見せた。CKのボールをGK清水栞がキャッチしたときは後半46分を過ぎていた。追加タイム表示を確認していなかった僕は、試合展開の感覚から、清水のキックでホイッスルが鳴ると思っていた。だが試合は続き、中盤でボールを奪ったメニーナがボールをつないで、スピードに乗ったまま早めのシュート。レッズゴールに吸い込まれた。45+2分。

 いまレッズレディースで活躍している岸川奈津希や竹山裕子がこの大会で優勝してから3年。久しぶりの出場で優勝を目指したが準決勝で敗れた。だが力尽きてはいけない。今日7日は、地元関西代表のプラセル神戸との3位決定戦がある。  高校3年生の上野やキャプテンの栗島朱里には、レディースユース最後の公式戦を勝利で終えて欲しいし、高校2年生から中学3年生までの選手には、来年度大会での雪辱を期すためにも、昨日の涙を今日の笑顔に変えてもらいたい。  3位決定戦は10時半から。試合の内容や写真は、クラブオフィシャルサイトで(これまでの結果と写真はトップページではなくレディースのページに掲載)。 (2013年1月7日) EXTRA・1  この全日本女子ユース選手権は、出場チームが都道府県選抜から単独チームになった2005年度大会でメニーナが優勝。その後、06年度から08年度まで常盤木学園が3連覇し、09年度にレッズジュニアユースレディースが初優勝した。一昨年度、昨年度はメニーナが連覇している。  今年度から、高校の強豪が出場しないレギュレーションになり、実質的には女子クラブチームのユース年代日本一を決める大会になった。今回の決勝はメニーナ対ジェフ市原・千葉レディースU18(本日13時から)。

EXTRA・2  1月27日の「サポーター望年会」にお申込みいただいたみなさん、ありがとうございました。現在、申し込まれている方々は全員ご参加いただけます。ご案内は開催が近くなってからメールでお送りします。  また一次締切の結果、定員を下回っているため、これからも参加を受け付けます。とりあえず1月14日(月)を二次締切としますので、ぜひみなさんお越しください。

(2013年1月7日)

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