Weps うち明け話 文:清尾 淳

#383(通算#748)

浦和レッズだから

 16年前の冬、ロンドンで、チャールトン・アスレティックの試合を見に行った。チャールトンは、その翌年イングランド・プレミアリーグに昇格するのだが、当時はディビジョン1(現チャンピオンシップ=2部リーグ)所属。特にここが見たかったわけではなく、平日の夜で、泊まっているホテルにその日のうちに帰れるのが、その試合だけだったからだ。それと、クラブカラーが赤だったから。

 チャールトン駅からスタジアムまで住宅街を通り10分足らず。歩いていると道路に面した家のドアが開いて、家族連れが出てくる。それも、そこかしこから。みんな、チャールトンのスタジアムに行くようだ。

 そう言えば、子どものころの夏休み。お盆の3日間は、どの家も早めの夕食を済ませ、みんなで盆踊り会場へ行く。道すがら、ほかの家の人たちと一緒になり、会場に着くころはけっこうな人数になることもあった。

 チャールトンの町の光景は、それを思い出させた。

 この町の人たちにとってホームゲームは、子どもたちにはお祭りであり、大人たちにはもしかしたら学校の同窓会であり、年配の方には近所の寄合であり…、とにかく生活そのものなんだろうな、と思った。

 日本もいつかは、こうなるのだろうか。僕は、当時もホーム、アウェイすべてのレッズ戦に行き、勝った負けたを中心に考えていたから、なかなかその感覚にはなれなかった。

 

 今年はJリーグ20年を振り返る機会が多い。Jクラブの数、スタジアムの設備、試合会場のホスピタリティなど、目に見えるもので、整備され、向上してきたことは多い。日本代表のレベルアップもJリーグなしにはあり得なかった。

 一方、目に見えない変化はどうだろうか。

 人々の心情は、じっくりと変化してきたのではないか。クラブをファミリーとしてとらえ、2週間に1度ペースのホームゲームを生活の一部とする気持ちが培われてきたと思う。そして20年が40年になれば、それは次の世代に受け継がれていく。

 リーグが百年以上の歴史を持つ国とは比べものにならない。だが20年前の日本と比べれば、確実にファン・サポーターの意識はサッカー先進国のそれに近づいていると思う。

 

 チームが勝つこと、上位へ行くこと、優勝することを願わないファン・サポーターはいない。それとは別の次元で、多くのファン・サポーターは、愛するクラブが――必ずしも自分の町にあるとは限らないが――あることをうれしく思っているはずだ。誇りにしている、と言ってもいい。

 タイトルを獲ることと、多くのファン・サポーターに愛され続けるクラブになること。この2つは矛盾するわけではないが、イコールでもない。浦和レッズはその両方を追究していかなければならない。

 ビッグクラブだから?

 そうではない。浦和レッズだから、だ。

 We are REDS!

 それは、闘いのときだけの言葉ではない。

(2013年5月17日)

EXTRA・1

 見ていてサッカーが楽しい。多くの人がそう口にする今季のレッズは、ホームゲームの楽しみと優勝への道、まさに両方を追究していると言えるだろう。サガン鳥栖が明日も堅く守って来るとしたら、そこに勝つ、というのも上位を維持すると同時に、ファン・サポーターのモヤモヤを晴らすことになる。

EXTRA・2

 浦和レッズに限らず、どこのファン・サポーターも、自分のクラブの楽しみ方を知っているはず。何も2ステージ制に退行して、目先の盛り上げを図る必要などないだろう。

(2013年5月17日)

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