Weps うち明け話 文:清尾 淳

#406(通算#771)

消費者でも野党でもない

 #386でも書いたが、 Jリーグの人たちが深い考えなしに2ステージ制を企画しているわけでは決してない。ましてや今回のダンマクにいうように「金儲け」のためでないことは間違いない。
 Jリーグを財政的に支えるためには収入が必要だ、という意味では一緒に聞こえるかもしれないが、「金儲けのため」というとニュアンスを打ち出すと話がだいぶ違ってとらえられる。
 大事なことは、Jリーグを維持発展させていくためにどうするか、という課題の解決方法をどこに見いだすかということなのだ。この問題でJリーグの事務局や役員の人たちを悪者にする必要は全くない。
 
 2ステージ制が企画されているのは、チャンピオンシップやプレーオフで世間の注目が集まれば、スポンサー料やテレビの放映権などでの収入が見込めるからということは間違いない。
 だが、その点ではレッズサポーターの言う「目先の」というのは当たっているかもしれない。たとえチャンピオンシップやプレーオフだけが盛り上がって、そこで一定の収入を得たとしても、通常の多くの公式戦の入場者がそのままでは、そこで得たものはすぐに埋もれてしまう。
 毎試合のリーグ戦(ナビスコカップも含む)の入場者をどう増やしていくかということを、サポーターと共に考えて施策を打っていくという方向は取れないのだろうか。
 物事を決めるのJリーグやクラブで、サポーターはお客さんとして来てくれればいい、ということではないだろう。

 サッカーにおいてのJリーグあるいは各クラブとサポーターの関係は、企業とその企業の製品を買う消費者の関係とはだいぶ違う。
 ある企業が「なかなか業績が伸びないので製品の質を落とすか、コストを下げるか、あるいは値上げをするしかありません。他に何か良い方法はあるでしょうか」と消費者に呼び掛けることは考えられない。いや本来、企業の身内でもある株主にも呼び掛けはしないだろう。
 消費者はある商品の質が落ちたり価格が上がったりすれば、別の企業の商品を買うということが容易にできるし、株主は株を手放せばいい。

 しかしサッカーは違う。だったら他のスポーツのサポーター(サポーターとは呼ばないけど)になるよ、というわけにはいかない。
 才能ある日本人サッカー選手が海外に出て行ってしまい、Jリーグで彼らのプレーが見られないという厳しい状況もあるが、その中でもどう試合の質を高めていくのか、どうやってスタジアムに足を運んでもらうのか、それを考えるのはJリーグのスタッフや各クラブのスタッフだけの仕事ではないのではないか。

 Jリーグや各クラブとサポーターの関係は、企業と消費者との関係でもなければ、政府と野党の関係でもない。
 ふだんはエンターテイメントを提供する側、プレーする側、応援する側と、分かれているかもしれないが。大きな課題に当たっては協力・共闘して立ち向かうこともできるのだと思う。
 サポーターもうここまで発信しているのだから、2ステージ制に代わる打開策を打診されて、そんなの知らないよとか、入場者増など自分の仕事じゃねえよ、とは思わないはずだ。

 とりあえず今回は2ステージ性の問題は先送りして、試合の入場者を増やしていくための、Jリーグの努力、クラブの努力、サポーターの努力、それらが噛み合うような形で実施できることはないか。それをみんなで考えてみるというのは有益だと思う。
 日本サッカーの歴史上、大きな出来事になるような気がする。

EXTRA
 ところで#405で書いた、「クラブのオフィシャルメディアというのは報道とは一線を画していることを痛感させられた」ことについて。
 先日行われた全日本少年サッカー大会の県予選、レッズのオフィシャルで派遣されたカメラマンが、レッズジュニアの試合を撮影に行ったところ断られた。レッズだけに撮らせるわけにはいかない、と言われたそうだ。つまりレッズのオフィシャルメディアというのは、他の少年サッカーチームのホームページや会報と同じ範疇なのだ。
 確かに言われてみればその通りだ。他のチームの大人はダメでレッズのオフィシャルならOKというのは変である。
 撮影者がアマチュアであるとかプロであるとかは全く関係ないし、そこで取材されたものが何人の人の目に触れるかというのも関係がない。
 Jリーグの場合は各クラブの公式広報物の重要性が高いが、少年サッカーの世界では違うし、そもそもJリーグよりもずっと前から少年サッカーの大会はボランティアの指導者や役員の手で運営されてきたのだから、そこは尊重されなければならない。
 それなら各チームに1人だけスチール撮影者を認めるという方式を取ればいいのではないか、とも思うが、そこも昔からの写真撮影会社との関係があるから簡単ではなさそうだ。
 今回の大会では初日だけは何とか認めてもらい、2日目はスタンドから撮影させてもらった。
 今後も長年の慣習を破ってごり押しする気は全くないし、その範囲の中でレッズジュニアの発信を「身内」向けにしていこうと思う。

(2013年7月5日)

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