Weps うち明け話 文:清尾 淳

#409(通算#774)

初めて×2

 8月17日の大分戦後の記者会見でミシャ監督は「20年監督業をしているなかで、最初立ち上がりの段階で3本のクロスが3失点につながるというのは、これまでに経験したことのない、初めての出来事」と語ったが、20年レッズを見ている者にとっても初めての経験だった。

 12分に先制されたときは、僕ももちろん残念だった。だが「今季のレッズは先制すると負けない」という強みはあっても、「先制されたら勝てない」というわけではない。磐田には2試合とも先制され2試合とも勝っている。必ず逆転する、という気持ちで見ていた。今季第3節の大分戦では開始5分で2点取られた。それに比べれば…、と思っていたらすぐに2点目。さて、2点先行されて逆転勝ちしたことはあったかな、と記憶をたどっているうちに3点目を入れられた。

 さすがに力が抜けたが、キックオフ後のレッズを見ると、0−3のスコアにやる気を失ってもいなければ、気負い過ぎてもいなかった。いつもどおりの試合運びで、やや前へのパスを意識していたかな、という程度だった。
 イライラした人もいただろう。3点ビハインドなのに、ゆっくりしてんじゃない、と。だが、昨季からどういうサッカーを続けてきたか、どういうサッカーで点を取ってきたか、と思い起こせば、やるべきことは明らかだ。
 ビハインドのときこそ、自分たちの一番得意な形に立ち返る。そういうところは、成長した部分だと言っていいだろう。

 その後の結果はみんな知ってのとおり。
 さて冒頭の文章にある「20年レッズを見ている者にとっても初めての経験」なのかどうか、調べてみた。リーグ戦で、前半のうちに3点を先行された試合が、これまでどのくらいあるのか。
 前半3点を先行された試合は今季7月13日の川崎戦までで、全部で6試合あった。そのうち93年11月13日の名古屋戦(駒場)、94年9月10日の平塚戦(大宮)、00年6月10日の新潟戦(新潟)は前半のうちに4点目も入れられている。
 3点目を決められた時間だが、これまでで一番早かったのが94年9月10日の平塚戦で、前半30分で0−3になっている。今回の大分戦はその「記録」を10分も更新してしまったことになる。

 川崎戦までの6試合でいずれも共通していることは、すべて負けていることだが(0−3からの逆転勝ちが初めてなのだから当然だ)、もう一つ、レッズが前半のうちに1点も返していないことがある。
 いずれも失点は3点に留まらず、さらに4点目、5点目、あるいは6点目を奪われているのに対し、レッズは3試合で1点を返したのみ。あとの3試合は大差の完封負けになっている。その反撃の1点も、後半にやっと入っており、前半のうちに1点返したのは今回の大分戦が初めてだと言える。
 早い時間に3点を失っても、チームがバラバラにならず、とにかくまず1点を返そうと、自分たちのサッカーを続けた結果、前半のうちに足掛かりを作り、後半早々にさらに一歩登ることができた、ということだ。

 ワーストな初めてと、そのワーストがなければ生じなかった初めての逆転勝ち。
 今のレッズは、間違いなく成長してはいるが、まだ成熟には至っていないのだと思う。
 人間にたとえれば、20歳を過ぎたばかりの若者。酒も飲めるし選挙権もある。制度上は成人だが、まだ危なっかしいところがあるから、目が離せない。何せ、ここに来てまだ初めての体験がいくつもあるのだから。

(2013年8月21日)

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