Weps うち明け話 文:清尾 淳

#415(通算#780)

未来に関わる問題として

 土曜日はJリーグの関係者も国立に来ていた。

 2015シーズンからのJリーグの大会方式変更は、今日のJリーグ理事会で決まってしまうのだろうか。
 来シーズンからの導入は7月の段階でなくなった、と認識している。逆に言えば、もし7月の段階で決まっていれば来シーズンから導入できたということだろうか。
 だとすると、2015シーズンからの導入を図るのに、今年の9月に決定するのは早すぎるのではないか。ふと、そう思った。
 ただ、そんなに単純なものではなく、2ステージ制とプレーオフ導入を決定する、という事実が今季中に必要なのかもしれない。外的な要因で。

 この話題は何回か書いてきたし、それほど新しいことは述べられない。特に今回出ているプレーオフの案について、どうこういうつもりはない。
 問題は「年間を通したホーム&アウェイのリーグ戦で最も成績の良いチームがチャンピオンになる」という大原則を崩すのか崩さないのかということであり、大原則を崩した後のレギュレーションについて、ああした方がいいとか、こうした方がいい、というのは、ある意味では議論のすり替えに思えるからだ。

 以前にも書いたが、現在のリーグ戦の方式が最も公平であり、「正しい」やり方であることはJリーグの役員、事務局スタッフも認識しているはずだ。先日、あるスタッフに直接お会いして話す機会があったが、その根源的な部分で、2シーズン制導入に反対する意見とズレはなかった。
 にも関わらず、今回の導入に至った理由は何か。
 それはもちろん、Jリーグの体制そのものが維持できなくなるほどの財政的な危機が見込まれるからだ。必死の努力をしても、かなりの変革を行わなければそこから脱することができない。だから、リーグ戦の大原則を曲げてまでの改革を提案しているのだろう。

 だが思う。
 これが「かなりの改革」なのか?
 これが「必死に努力した」末の提案なのか?
 たしかにリーグ戦の大原則を崩すというのは大きな改革には違いない。だが要するに、そこに目をつぶれば大幅なスポンサー収入が見込める、ということに過ぎない、と断じるのは乱暴だろうか。
 断腸の思いで2シーズン制導入に踏み切ってしまえば、そしてサポーターから受ける批判や抗議の矢が過ぎ去ってしまえば、あとは広告代理店が話をつけてくれるのだろう、というのは外野の的外れな言い分だろうか。

 焦点になっているのは、Jリーグの注目度だ。93年のスタート時のようなフィーバー(古い表現だけど、当時は「Jリーグフィーバー」と呼ばれた)は異常かもしれないが、世間的な認知度、盛り上がり、話題性などがもっともっと高まっていかなければ、すべてのプロスポーツの収入の柱である(大金を出してくれる)スポンサーがつかない。そういうことだろう。
 Jリーグ事務局も、世間の目がJリーグに行くように、努力はしてきたと思う。「あだっちー」こと足立梨花さんや、乃木坂46の登用なども、その一つだろう。目に見えないところで、テレビ局への働きかけなども行っているだろう。

 だが思う。Jリーグの注目度を上げる王道は、多くの人に試合に来てもらうことだ。もちろんスタジアムには多くても7万人しか入らないのだから、テレビ中継を見る人の数には叶わない。だが、たまにはスタジアムに行って試合を見ようという人が、ふだんテレビで試合を見るのであり、スタジアムに足を運ぶ人というのは、山で言うと頂上に近い部分。逆に言えば、頂上に近いスタジアムに行く人の数が多ければ、山の裾野であるテレビ観戦の人の数も増えることになると思う。

 こういう2シーズン制に戻す、という提案に至る前に、日本代表だけでなくJリーグを日本のメジャースポーツにするために、みんなで頑張りましょう、という提案はできなかったのか。
 論語に「由らしむべし知らしむべからず」という言葉がある。いろいろな解釈があるようだが、「民には、頼りにされるように仕向ければいいのであって、いろいろな情報を知らせることはない」という為政者の姿勢を説いたもの、というのが一般的だ。
 ファン・サポーターに情報を広く開示し、あるいは行動を提起し、そこに依拠してJリーグの社会的地位を上げる、というのは僕にしたら普通の発想なのだが、「おカミ」には「シモジモの者」などアテにできなかったのだろうか。

 たとえば、各クラブの年間入場者を昨年の1.2倍にしよう。そのためにJリーグと各クラブ、そしてファン・サポーターが創意工夫をししよう。という呼びかけが、いま行われたらどうだろうか。そうすれば、2ステージ制は先送りできる、という条件をつけて。そうしたら、いろんな発想や手段でみんな頑張るのではないか。
 数字的に何の根拠もなく例示してしまったが、Jリーグをメジャーにするため、ファン・サポーターの発想と行動を、という呼びかけと運動はこれまでなかった。そんな泥臭い活動は、オシャレなビルの中にいる人たちからは浮かんでこないのかもしれないが、その結果出てきたのが今回の案、というのはあまりにも寂しくないか。

 サッカーのサポーターというのはアクティブな存在だと思う。しかし、ここに至るまで情報もほとんど開示されず、行動の呼びかけもなく、したがって何もできないまま(ゲーフラをスタジアムで上げること以外に)、リーグ戦の原則を変えられてしまうのは残念で仕方がないはずだ。
 たとえがふさわしくないかもしれないが、CO2削減の問題は、今では誰もが認識している。政府や大企業の力だけでは達成しえないから、広く国民によびかけた結果だ。自分たちと子どもたちの命、未来に関わる問題は他人事ではないから、多くの人が少しずついま努力している。

 Jリーグ各クラブのファン・サポーターにとって、リーグ戦を2ステージでやるかどうかは、自分たちの生きがいと日本サッカーの未来に関わる問題だから、みんなこれほど真剣になっている。そのことをJリーグの運営に携わる人たちはよく理解し、自分たちだけで問題を解決しようとしないで欲しい。

EXTRA
 あきらめたくはないが、Jリーグの理事会はもう始まるころだ。始まってしまえば決定は仕方ないのかもしれない。
 だが2015シーズンからのことであれば、まだ猶予はある。たとえば、新レギュレーションは2017年までの3年間に限定し、その時点で再検討する。それまでに、みんなで自分のクラブの入場者を増やし、Jリーグをメジャーにする努力をしよう。
 などという付帯事項だってつけられなくはないのではないか。

(2013年9月17日)

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