Weps うち明け話 文:清尾 淳

#416(通算#781)

温度差の理由

 MDP437号(9月21日の甲府戦)の作業を終えた。
 今季のリーグ戦は残り4分の1に差し掛かる時期で、浦和レッズは昨季よりもやや首位に近い位置で優勝争いに絡んでいる。当然、監督のメッセージも、選手のコメントも、サポーターの投稿も、それが中心になる。

 先日来、2ステージ制をめぐる論評をいろいろ読んだし、サポーターと話した。Jリーグのスタッフにメールも送った。そして今回のMDPの編集を終えてあらためて思ったことがある。
 リーグチャンピオンを決めるには、ホーム&アウェイのリーグ戦を1シーズン通して行い、その成績のみで決めるという現行の方式が最も妥当なもの。そのことについては、レッズファン・サポーターはもちろん、他のクラブのサポーター、Jリーグのスタッフ、評論家、メディア関係者…。多くの人の間で異論はないようだ。#415でも、そう書いた。

 だが温度差はかなりある。
 埼玉新聞に掲載されていたからおそらく共同通信の配信だろうが、中西大介Jリーグ競技・事業統括本部長がこう述べていた。
「当初は僕も大会方式に手を付けてはいけないと主張した。思考の順番はサポーターと一緒」。
 この言葉がアリバイ的なのものだとは決して思わない。事実だろう。
 だが「思考の順番は一緒」でも、順番を変えるハードルは低かったのだろう。

 一つのチームを真剣に、ときには寝食を忘れ、仕事を二の次にして応援し続けたことのある者たちと、そうでない人たちの差。温度さの要因はそれだろう。
 レッズでいうと、1シーズン闘って優勝した06年の喜び。最後まで必死に闘ったがわずかに及ばなかった05年や07年の悔しさ。「喜び」「悔しさ」とサラッと書いてしまったが、どちらにしてもあの感情の幅の大きさは、実際に闘ったものでないとわからないのかもしれない。
 今回の改革案を05年や07年のレッズに当てはめると、スーパーステージに出場できてチャンピオンになれる可能性があるんだから、いいじゃない? そういうことではないんだ。2位の悔しさは、味わいたくはないものだが、それも日常ではなかなか味わえない大きな「感動」なのだ。ましてや34試合の苦労が、チームによっては過去数年分の思いが一気に弾ける優勝の感動は、何ものにも代えられない。
 あまりに情緒的すぎるだろうか。でもスポーツを見る理由、個人やチームを応援する理由は、極めて情緒的なものだろう。

 そういう経験を持った人がJリーグの実行委員や理事、事務局スタッフの多くを占めていたら…。
 経済環境は変わっていなかっただろうが、ここまでのアプローチは変わっていたに違いない。「大会方式に手を付けない」ことを「当初は」ではなく絶対の前提として、改革の議論を重ねてきただろうし、早くからファン・サポーターに現状を訴えて、「Jリーグファミリー」として打開にあたろうと呼び掛けていたかもしれない。
 97年の「鳥栖フューチャーズ問題」、98年の「横浜フリューゲルス問題」のとき、あるいは一昨年の東日本大震災のとき、ベガルタに対して、全国のJリーグサポーターが、どう自主的に行動したか。それを認識していれば、スタジアムでの情熱を、スタジアム外で、Jリーグのステータスアップのために協力してもらえないか、という発想が出てきてもおかしくないはずだ。

 MDPの編集を終えるたびに、サポーターの力というものを考えさせられるが、今回は特にそうだった。でも文句だけ言っていても始まらない。決定の過程には、とうてい納得できないが、Jリーグの盛り上げについては、引き続き考えていきたい。Jリーグ内部の問題と共に。

 今日の「週刊サッカー王国」の「クロスボール」も「2ステージ制」。さて野地アナと野田さん、土地さんの意見はどうだろう。興味のある方は20時ごろからhttp://www.nhk.or.jp/saitama/oukoku/index.htmlで聞けます。

EXTRA

#413で書いた、カシマツアーの件。http://www.urawa-travel2013.jp/
 数人に方から「清尾のバスが出るなら行く」というメールをいただいたので、そうすることにした。何度も言うが、「清尾と一緒にカシマに行こう」とかいうものではなく、「知らない人たちと一緒のバスはちょっと…」とか「中心になってるのがコワイ人たちなんでは…」と躊躇している人に参加してもらうための企画だ。言わば「望年会」と同じ発想。
 とはいえ、「代表者・清尾で50人申込みます」と1台分借り切ってしまったため、バスがガラガラでは相当な赤字が襲ってくる。なので「じゃあバスの中で清尾の自慢話でも聞いてやるか」とか、「清尾ってどんな顔してるのか見てやろう」という人、ぜひ一緒に行きましょう。

 今日から申込み受け付けます。
・申し込み先 hag03546@nifty.com
・件名を「バスツアー○○○○(○○○○は代表者の名前)」とし、参加者全員の名前と、代表者の〒住所、携帯電話番号、メールアドレス(PC、携帯とも)を教えてください。「サポーター有志」の方では申し込まないでください(ダブってしまうので)。
・会費3,000円は、立て替えておきます。当日いただきます。
・締め切りは先着49人。特に締切は設けませんが、いっぱいになった時点で告知します。
・備考 埼スタ発のバスです。車中禁酒・禁煙です。その他は「サポーター有志」のサイトを参照してください。

(2013年9月20日)

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